とうとう有事法制3法案が国会に上程され、審議が始まりました。ついにここまで来たということです。日本が本気で、他国・他民族に対して武力攻撃をやろうとしています。それは帝国主義強盗同士の戦争と侵略戦争以外ではありません。 小泉首相は「備えあれば憂いなし」と述べています。何に対する「備え」なのでしょうか。「日本が攻められる、侵略される」と言いたいようです。しかし、本当に日本が攻められる、侵略されるようなことがあるのでしょうか。まじめに歴史を学べば、全くの嘘で、近代以降の日本は攻めっぱなし、侵略し放題だったことはすぐわかります。「ソ連が攻めてくる、占領される」、「テポドン」「拉致疑惑」「不審船」・・・みんなためにするデマゴギーで排外主義と愛国主義を煽りましたが、ソ連など消滅してしまったではありませんか。真剣に考察すれば、唯一日本が「攻められ、占領される」リアリティーがあるのは、アフガニスタン侵略にみられるように、アメリカだけです。反対に、「いつ日本の経済侵略が武力攻撃に変わるか警戒を怠れない」というのがアジア人民の現実ではないでしょうか。侵略戦争と帝国主義同士の権益をかけた戦争への「備え」、本気で戦争をやるための「備え」、しかも漠然とした「備え」ではなく当面はアメリカといっしょになって北朝鮮、中国―アジアへの侵略戦争をやるための切迫した具体的「備え」、これが小泉首相の言う「備え」です。いよいよ「戦争国家づくり」もここまで来たといわねばなりません。 「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」、いずれも逆さまな言い方をしていますが、正体は「日本の武力行使法」「日本軍隊法」「首相大権法」です。法案にいう「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃が発生した事態」だけではなく「そのおそれのある場合」や「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」がすべて含まれるのみか、「武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処」も盛り込まれています。いくらでも拡張解釈できるようになっているので、いつでも「国家の緊急事態」「国家有事」を宣言して自衛隊の武力行使が可能です。「国権の発動たる戦争」「国の交戦権」の復活であり、憲法第9条の破壊に他なりません。 アメリカ・ブッシュ政権は、昨年の9・11以降、「対テロ戦争」を掲げて民族解放闘争の絶滅、資源略奪、世界市場の再分割をかけた侵略戦争を開始しました。「悪の枢軸」論にみられるようにアフガニスタン、パレスチナからイラク、イラン、北朝鮮へと拡大し、さらに対中国、帝国主義間戦争、第3次世界大戦をも想定しています。この弱肉強食戦に、むきだしの軍事力で他国を侵略し、支配できる力を持たないかぎり生き残れないことを知り抜いているからこそ、小泉政権は必死の凶暴さで戦後憲法体制を根本から覆して、軍事独裁体制と国家総動員体制をつくりだそうとしているのです。 もう少し法案をみていきましょう。 国・地方公共団体・指定公共機関の戦争協力は「責務」であり、「国民の協力」は義務であると明記されています。あらゆる機関とそこに働く労働者が戦争に動員されるのです。 さらに関連法案を「二年がかりで制定」のうえに、次期通常国会で教育基本法を改悪するというのだから、戦争国家の担い手の創出という目論見は誰の目にも明らかというものです。 こう見てくると、「司法改革」の狙い、役割はきわめて明瞭ではないでしょうか。 司法審(「司法制度改革審議会」)の中間報告に「司法改革」は「最後の要」とありました。改憲を先取りして、軍事独裁体制と国家総動員体制が不可避に生み出す人民の抵抗と反乱を弾圧・一掃するための「戦時司法」を目指すものであることが、有事立法の登場で浮き彫りになったのではないでしょうか。 公判にあたって。争点整理の段階で困難にぶちあたります。審理計画は「目撃証人の信用性」にしぼられたとしても、多分、「目撃供述調書」は検察官面前調書しか開示されないでしょう。原審でも事前開示は検面調書だけでした。さあ公判開始、ところが証人尋問を始めようとしたら、たちまち裁判官から「争点整理にもとづく審理計画を逸脱するから」と制止されます。被告である私だけでなく弁護人も弁護活動を制限され、それでも頑張ったら懲戒請求されて弁護士資格剥奪となりかねません。それどころか「証人保護」の名目で「不出頭許可」ということだってありえます。ということで防御・反証活動ともに為す術もなく公判は進行して「有罪」。そのまま控訴審・上告審と進んで、確定。執行。満期出獄。 さて、再審請求したいのですが、どうしましょう。「目撃供述調書」は検面調書しか開示されておらず、員面調書(司法警察員面前調書―警官が作った調書)の存在は知り得ないのだから(原審では証人尋問をみっちりやり、検察官を弾劾し、裁判官を説得して、員面調書の開示を実現した。さらに、「目撃供述調書」が34人分あることも引き出した。これができなくなるとはどういうことかを考えていただきたい)、途方に暮れるしかありません。 かくして再審開始は殆ど絶無に近くなることでしょう。それでも再審請求が絶えることはありません。なぜなら今以上に冤罪そして誤判が増えるからです。 不屈に粘り強くたたかいぬいてきた富山再審闘争が広範な人民と合流・結合するときがきたのです。声を大にして「一人は万人のために、万人は一人のために」の実践を訴えれば訴えるほど、それが巨大な物質力となるときを迎えました。有事立法粉砕・改憲阻止、まやかし「司法改革」粉砕のたたかいの高揚とともに再審開始・無罪実現の勝利をかちとりましょう。 (富山保信) |
STOP!有事法制 5・24大集会 STOP!有事立法&まやかし「司法改革」 6・5弁護士・学者・労働者・民衆の集い |
今回の大井町での署名集めの結果は、
でした。 署名板を持って駅頭に立ったものの「体調が今ひとつだな」とボォーとしていたのに、始めてすぐ、30代の女性が近づいて来て署名してくださいました。そのあとも続けて署名する人がいて、結局4名で1番。うり美さんからは「棚ぼたじゃん」と言われ、富山さんからは「なんで私がまいたビラを受け取ってそっちで署名するわけ?」というジトッとした視線を浴び、常勝の亀さんからは「フフン、たまにはね」とあしらわれた次第です。 (山村) 「明日の為の第25歩目(数えていなかった)。 というお便りとともに2000円お送り頂きました。ありがとうございました。 |