●ニュースNo176(2003年5月1日発行)

東京高裁前でビラまき
横浜事件の再審開始決定出る
有事治安立法と司法改悪に反対する集い 「憲法と人権の日弁連をめざす会(「めざす会」)」が呼びかけ

大井町ビラまき報告


 

6月7日(土)の集会にご参加ください

証拠は誰のものか----真実究明は証拠開示から

と き
ところ

6月7日(土) 午後6時開始
きゅりあん5階 第2講習室(JR大井町駅・東急大井町線大井町駅下車)【地図

《講演》

「『司法改革』と証拠開示問題」(仮題)
 指宿 信さん(立命館大学法学部教授)

◎阿藤周平さん(八海事件元被告)
◎原田史緒弁護士(富山再審弁護団)

 

■東京高裁前でビラまき

 4月23日、東京高裁前で6月7日の集会と「高裁第三刑事部は検察官に証拠開示を命令せよ」のビラまきを行いました。当日は時々霧雨が降るという状態でしたが、断固実行。「雨にも負けず」です。予定より少々早めに終了したものの、裁判(所)見学の学生達を含め350枚を配りました。

 富山さんは、「国際的(越境)組織犯罪防止条約」が衆院外務委員会で批准採決されそうだというので、ビラまきが終わったら国会に直行。雨に濡れながら抗議集会・抗議行動、議員説得に駆け回ったとか。元気なものです。まだまだ大丈夫、これからもおおいに奮闘していただきましょう。

■横浜事件の再審開始決定出る

 4月15日、横浜地裁は「横浜事件」の再審決定を行いました。ついに請求人、弁護団そして「横浜事件の再審を実現しよう!全国ネットワーク」(代表・木下信男さん)をはじめとする支援の方々の執念の努力が実ったのです。

 横浜事件(42年9月細川氏逮捕、43年5月木村氏ら逮捕)からじつに60年(!)。第一次再審請求(86年7月)からでも17年という歳月を思うとき

 「歴史が動いたことを肌で感じ、この時、この場にいることの冥利と、畏れのようなものを思った」

という木村まきさん(再審請求人)のことばは重いものがあります。再審開始を待ち望みつつ、この決定をみることもなく亡くなった方々の無念の思いをかえりみるとき、私たちも先人の苦闘を正しく継承して再審の扉を大きくこじ開け、人権の確立と強化のたたかいを前進させていかなければならないと改めて思います。

 倦まず弛まず、けっして挫けず諦めないで再審開始・無罪までがんばりましょう。

 まったく許し難いことに、検察側は18日に即時抗告しました。再審開始の是非が東京高裁で争われます。連帯して再審開始・無罪まで、ともにたたかいましょう。

【集会のご案内】

 「憲法と人権の日弁連をめざす会(「めざす会」)」が呼びかける「有事治安立法と司法改悪に反対する集い」が、5月22日に「クレオ」(弁護士会館2階・地下鉄霞ヶ関駅下車すぐ)で行われます。この集会の意義は「めざす会」が参加を訴えるビラを読むと一目瞭然です。簡潔明瞭なので、そのまま借用します。

 「(本当の犠牲者数がわかれば)我々はこの戦争が起こした大虐殺にぼうぜんとするだろう」(米『タイム』軍事専門家インタビュー)。石油権益をねらった米英の侵略に抗して、イラク・中東・イスラム民衆の「民族自決」の闘いと、それに連帯した反戦闘争がますます世界に拡がる一方、「次は北朝鮮」というブッシュ戦争計画は日本において戦争国家化=有事立法成立の動きを加速しています。

 その国家総動員体制の要として、治安立法と刑事司法の改悪がいま私たちの目の前にあります。

 「共謀罪」新設法案が国会に提出されました。なんらの実行行為がなくとも2人以上の者が意思を通じただけで、5年以下の懲役または禁固とされ、適用される罪種は500余り。ナチス刑法や治安維持法すら超えた究極の治安立法です。

 裁判の一審手続の上限を2年とする「裁判迅速化法案」も国会に提出され、「障害者」を一生施設に閉じこめる「心神喪失等医療観察法案」は参院で審議中です。さらに、解雇の自由を原則化する労働基準法の改悪。

 〈市民参加〉をうたって立法化が進められている「裁判員制度」はトンデモナイものになりそうです。裁判員候補者には出頭の強制、被告人には防御が困難な連日出廷、そのうえ過半数で有罪認定、およそ〈陪審〉とは似て非なる制度です。「裁判の公正を妨げるおそれ」ある行為、つまり裁判の報道や批判も禁じられます。

 〈人権擁護・権力のチェック〉という戦後憲法下の司法の役割を、〈戦争国家の治安強化〉へと転換するこの攻撃に、弁護士・学者と労働者民衆が連帯した陣地を築きましょう。

 なお、この「裁判員制度」ですが、「めざす会ニュース31号(4/21)」によれば、

 政府司法制度改革推進本部の事務局がとりまとめた「裁判員制度」のたたき台によれば、有罪・無罪の判断、量刑とも「裁判官と裁判員の合議体の員数の過半数」で決するものとされています。有罪の判決をするのは「犯罪の証明があったとき」すなわち「合理的疑いをいれない程度」に証明されたときでなければならない、という大原則も無視です。しかも、有罪と決まれば、無罪の主張をした裁判員も量刑決定に参加しなければならず、「良心の自由」まで奪われます。

 また、「何人も、裁判員に事件に関する偏見を生ぜしめる行為その他の裁判の公正を妨げるおそれのある行為を行ってはならない」とされ、公判中の裁判はもとより、捜査についても批判、評論は一切禁止されます。大衆的な裁判批判運動の結果、無罪を勝ち取った松川事件のようなことは今後は許さないとする制度です。

 「裁判員制度」には、刑事司法を改善する契機は全くありません。百害あって一利無し。葬り去るのみです。

ということのようです。念のために付け加えると、「裁判員候補者」は拒否すると罰せられるというのだから〈陪審〉どころか〈有罪儀式の構成員〉でしかありません。まやかし「司法改革」は粉砕あるのみ。

 5月22日の集会に参加しましょう。そして、当日の参加者に《6/7富山再審集会》への参加を訴えましょう。

 

 

有事法制に反対する人 みんな集まろう!

午後6時30分・明治公園へ
(JR千駄ヶ谷駅/地下鉄銀座線・外苑前駅)

 4月のビラまきは、雨はまぬがれたものの強風に見舞われ、皆、立っているのが精一杯という状態だった。特に、山村さんは、あっちこっちへヨロヨロしていて、それを観察して一人で楽しんでいる私だった。その時、全身、カーキ色の雨ガッパに身を包み,帽子を頭までかぶった二十代位の男性が、私の目の前を通り過ぎた。思わずギョッとした私は、ビラをまいていた手が止まり見入ってしまった。そうすると山村さんの方へ近寄り、ビラを受け取ってなにやら話を聞いている様子。しばらくすると納得したかのようにペンを握り署名をしたのだった。「僕も大きな権力は嫌いですから」と言って署名をしたそうだ。

 この日は、山村さんに軍配があがり、富山さんと私は「ビラまきだけが上達してしまう」という惨憺たる成績であった。(うり美)

 大井町のYさんから
 「明日の為の第三十五歩目
今年はめりはりがあります。
きっと今年は前進があります」

というお便りとともに二千円いただきました。ありがとうございます。きっと前進をかちとりましょう。