タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース

●ニュースNo.207(2005年12月15日発行)

立川反戦ビラ弾圧」裁判・二審 「逆転有罪」判決を弾劾する
証拠開示をめぐっての攻防

大井町ビラまき報告


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立川反戦ビラ弾圧

東京高裁第3刑事部

(裁判長‐中川武隆)の

不当な

「逆転有罪」判決を

弾劾する

□「立川反戦ビラ弾圧」裁判   二審「逆転有罪」判決を弾劾する

 12月9日、東京高裁第3刑事部は「立川反戦ビラ弾圧」裁判の一審無罪判決を取り消し、逆転有罪を言い渡した。言うまでもなく、裁判長は私の再審請求を棄却した中川武隆である。治安判事の正体を示してあまりある判決といえよう。こんな三百代言的言辞を弄する人物が裁判官としてまかり通り、ロー・スクールへの「天下り」を狙っているというのだから、「司法改革」のまやかし性も明らかというものだ。
 「立川反戦ビラ弾圧」は、自衛隊のイラク派兵に対して「派兵反対」のビラを自衛隊の官舎に配布したことをもって「住居侵入」で逮捕・起訴・75日間拘禁した不当弾圧である。国外への侵略が強行されるとき、国内で治安弾圧が横行するの見本であり、権力の意に反する意見はそもそも表明することすらゆるさないという国家意志・国家暴力の発動にほかならない。じっさい、杉並の公園のトイレの「反戦落書き」への「器物損壊」逮捕・起訴・有罪、葛飾区での共産党のパンフレット配布への逮捕・起訴、町田・世田谷・江戸川でのビラ配布への逮捕、米軍厚木基地・嘉手納基地監視行動への逮捕等々、枚挙に暇がないほど不当弾圧が連続している。
 一審無罪判決(2004年12月17日)は、こうした暴虐に対する広範な怒りに包囲されるなかでかちとられた当然の権利の追認であるが、貴重な成果であった。

 だから、
 「判例からすると有罪の可能性が濃厚だったが、表現の自由の趣旨に照らし、無罪とした判決は画期的で高く評価できる。政治的議論を封鎖することにつながる事件の背景を性格に見抜き、違法性を形式的に解釈せず、実質的にとらえたもので、国民感情にそった血の通った判決だ。」(村岡啓一・一橋大教授、「毎日」2004/12/17)
というまっとうなコメントが、素直に受け入れられたのだ。

 そして、
 「無罪の結論は支持できる。憲法の表現の自由の保障に照らし違法性がないというもので、適切だ。ただ、事件の基本的問題点が正しく司法判断を受けたかというと疑問もある。そもそも「基本的に無党派の立場」(判決文)で活動する市民グループの運動に、刑事罰と過剰な強制捜査で対応したこと自体、批判の対象となるべきだ。起訴価値が大きいとは考えにくい。「住居侵入」で起訴した検察側には首をかしげざるをえない。一連の捜査の過程で失われたものは大きいはずで、この種の捜査・起訴を繰り返してはならない。」(白取祐司・北大教授、「朝日」2004/12/17)
という指摘は当然である。商業紙の、検察の拘留延期の請求を認めた裁判所の責任を指摘する主張も広範な世論の存在を背景として生み出されたのだ。
 「日本ではあまりにも政治的自由が主張され過ぎて私的領域の個人の自由への配慮が不足しており、改める必要があると思う。ミスを犯した判決だと思う」(渥美東洋・中大教授)「宿舎の管理者が立ち入りを拒否しているのは明白で、立入禁止に(強い弱いの)程度はない。裁判所は立ち入り拒否の程度やプライバシー侵害の程度が低いと判断したが、住居侵入の違法性がゼロでない限り、居住者は保護されるべきであり、量刑で判断すべきだ」(土本武司・帝京大教授)という反動的愚論と、先述のまっとうな刑事法学者のまっとうな判断のどちらが説得力をもつかは明白だ。金と権力にあかせて「政治的自由を主張し過ぎている」小泉政権の下僕である司法権力のさらに下僕の渥美は、この腐りきった現実をまともに批判したことがあるのか。野放図に投げ入れられる宅配ピザのちらしはともかく、「自衛隊員募集」のちらしが意図的に野放しであることに土本は触れようとしない。税金で食っている自衛隊員(建前は「公務員」のはずだ。実態は「私務員」とはいえ)がイラクに派兵されようとするとき、官舎に「殺しに行くな、殺されに行くな」「殺しに行かせるな、殺されに行かせるな」というビラを配布するのは「国民としての義務」というべきではないのか。自衛隊のイラク派兵があきらかに「交戦権の行使」であることは、形式論者にも否定できない事実ではないか。これでは御用学者としても水準が低すぎて御用済みになるのを心配した方がよいのではないか、と余計なおせっかいを焼きたくなる。

 二審・「逆転有罪」判決は、国家権力・裁判所がよってたつはずの憲法すらあからさまに踏みにじり、治安弾圧にフリーハンドを与えるものだ。公務員・教職員・外国人のいっさいの意思表明の権利を奪い、封殺して、クーデターに等しいやり方で一気に憲法改悪をやりとげようという「国民投票法」の制定への道を掃き清める役割を果たそうとしている。いっせいに非難と弾劾の声があがったのは当然だ。大切なのは、現実の裁判においても無罪をかちとり、治安弾圧・治安判決を叩きつぶすことだ。
 こんな反動判決がまかり通っていて、再審が実現するはずはない。あんな不当判決を下した中川が大手を振って社会生活を送ることなど絶対に許してはならない。「立川反戦ビラ弾圧」とたたかうみなさんと連帯して、無罪獲得をめざしてともにたたかおう。
(富山)

□検察官は隠し持っている証拠を開示せよ!

裁判所は、検察官に対し証拠開示命令を!

 ―証拠開示をめぐっての攻防

 ニュース203号で、弁護団の証拠開示要求に対し、検察官は開示を拒否するのみか、弁護団への回答すら拒否していることについて述べた。その後、5ヶ月が経過しても、検察官から弁護団に対しなんらの回答もない。許しがたいことである。
これに対し弁護団は、証拠開示の必要性とともに、検察官の対応について明らかにした書面を作成、10月24日、裁判所に上申書として提出した。この上申書には、1994年6月20日の再審請求以降、今日までの、証拠開示についての検察官および裁判所との折衝経過が23ページにわたって一覧表として添付されており、一読すれば証拠開示をめぐっての経過が詳しくわかるようになっている。
弁護団は、上申書を提出した翌25日、東京高裁第4刑事部と折衝をおこない、上申書の内容を説明、開示を拒否し続ける検察官の不当性と証拠開示の必要性を明らかにし、検察官に対し裁判所が証拠開示命令を出すよう強く求めた。
 弁護団の上申書を掲載する。

2005年10月24日付東京高等裁判所第4刑事部あて上申書

 請求人富山保信にかかる殺人等再審請求異議申立事件につき、下記の通り上申いたします。

  記

 弁護人らは、御庁に対して、2004年11月2日付で本件に関する証拠開示を求める上申書を提出しました。その後、本年5月24日に行われた御庁との折衝において、御庁より、証拠開示に関する検察官の意向はどのようなものかについて質問をいただきました。
 これを受け弁護人らは、あらためて、本年7月1日に東京高等検察庁検察官に対して面会を申し入れ、公判未提出の記録、証拠物に関する証拠開示を求めました。さらに、その趣旨を同月8日付申入書に記載して提出しました(遺憾なことに、これに対する回答は今日に至るも弁護人らのもとに届いておりません)。
 そこで、御庁に対しては、上述の最近の折衝経過に関する報告を含め、再審請求申立以降、これまでに弁護人らが裁判所及び検察官に対してどのように証拠開示を求めて来たか、これに対する検察官の対応はどのようであったかを明らかにしておく必要があろうと考えます。その資料として、別紙「証拠開示についての折衝経過」(以下、「折衝経過」と言います)を添付いたします。
 「折衝経過」によれば、弁護人らは検察官に対して、本件における証拠開示の必要性を繰り返し説明し、担当の検察官も、各々、検討を加えたことが判ります。1998年7月30日折衝以降のN検察官の対応(「折衝経過」2頁以下)、2000年12月11日折衝以降のO検察官の対応(同10頁以下)が、検察官としての検討状況を示しています。
 検討の結果、検察庁としての結論は、いずれも開示には応じられない、というものでした。しかし、O検察官が、「裁判所から命令が出れば仕方がないと思うが、裁判所がどう判断するか、裁判所が相当性を認めればこちらも開示しやすい。」(「折衝経過」16頁)、と述べるように、検察庁としては、自ら開示を行うことはできないが、裁判所の証拠開示命令があればそれに従う、との意向を示しているように思われます。
 その後のK検察官、Oa検察官の対応も、この問題に関しては、裁判所の判断如何であると考えていることを示しています。
 ところで、本年11月1日施行の改正刑事訴訟法は、「公判前整理手続」において、新たな証拠開示の制度を定め、とくに、検察官手持ちの証拠に関して、316条の15(類型証拠開示)、316条の20(主張関連証拠開示)の二つの開示規定を定め、検察官が開示をしなかった場合には、316条の26により裁判所に対して裁定を求めることができることとなりました。刑事訴訟法は、証拠開示に関して、大きな一歩を踏み出しました。
 この趣旨は、本件においても充分に尊重されなければなりません。たとえば、Yの供述調書、請求人は犯人ではないと供述しているK、Kyらの供述録取書・事情聴取報告書、その他の目撃者の供述調書等、及び、目撃者に対する面通し等に関する捜査報告書等は、改正刑事訴訟法では316条の15、1項6号の「被告人以外の者の供述録取書等であって、検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの」に該当し、請求人の逮捕写真は、同項1号の「証拠物」に該当します。また例えば、請求人のアリバイに関する捜査資料等は、同条の20が規定する、「(弁護人の)主張に関連すると認められるもの」に該当すると考えられます。そして、上記各条項が要求する開示の要件が存在することは明らかです。本件が改正刑事訴訟法の下で審理され、公判前整理手続が行われていたとすれば、これらの証拠は、弁護人に対して当然開示されなければならず、検察官が開示していないときは裁判所が開示を命じなければならないものであることも明らかです。
 以上、弁護人らとしては、検察官に面会して何度も証拠開示を求めたにもかかわらず、検察官は任意に証拠開示を行おうとはしておりません。御庁におかれては、今こそ、弁護人らの請求に基づく証拠開示を検察官に対して命ずるべきだと考えます。
 以上

大井町ビラまき報告

亀・・・・・0
うり美・・・・0
山村・・・・0
富山・・・・・0

 寒かった。そして、なんとなく日が暮れるのが早く感じられる暗い日だった。
 私は寒さには強い。獄中にいる時も、夏の暑さに比べれば冬の方がまだましだった。なにしろ獄中ではいくら暑くても裸になる以上のことはできない。そして、その裸になることが簡単にはできないときている。では、寒さはたいしたことはないのかとなると、これまたたいへん寒いのだが、それでも身近に獄中で凍死した例を知らない。反対に、大阪刑務所で数房隣の若いやくざ氏が一晩で暑さと熱(42度)のために死んだ(殺された)のを体験している。結局、暑さで弛緩するよりは身が引き締まるくらいの寒さの方が怠け者の私にとってはためになるということもあって、元々好きな寒い方が獄中にあってはまだ好ましかったのだ。その私が「今日はこたえる。誰かやめようと弱音を吐いてくれないか」と考えるくらいだった。
 ところがである。うり美様はいつもより元気なくらいで、にこやかにしているではないか。そうだ、彼女は北国育ちだった。寒さには強いはずだ。おまけにこちらの魂胆を読んで、「誰かやめようと言わないかと思っているんでしょう」と小癪なことを言う。これではやめるわけにはいかない。負けるわけにもいかない。沽券に関わるというものだ。
 ところがである。こういうときに限って邪魔が入るものだ。詳しくは述べないが、ある妨害要因が登場して気勢をそがれてしまった。というよりは、憤慨させられてしまい、気持ちを落ち着かせる必要が生じてしまった。
 気を取り直して、なんとか一人でも署名獲得をと立ち向かったが、あえなく返り討ちとなった。しかも、今日は亀さんまでゼロ。こういう日に署名してもらっていれば名誉回復をはたせたのだが、残念至極である。(富山)

大井町のYさんから

休載

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