タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース

●ニュースNo.208(2006年01月15日発行)

新年のあいさつ
「かちとる会」にきた年賀状から
松元ヒロさんのソロライヴへのお誘い
書評『目撃供述・識別手続きに関するガイドライン』

□大井町ビラまき報告(休載)


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今年もよろしくお願い致します

□新年のあいさつ

 1995年12月19日の出獄から、もう10年がたちました。世の中全体に「これまで通りにはやっていけない」という認識が広く、深く定着するなかで、「富山事件」=無実の訴えが着実かつ確実に市民権を拡大しつつあります。しかし、本当に〈貫徹力〉が発揮されなければいけないのは、今であり、これからです。原点に立ち返り、がんばります。今年もよろしくお願いいたします。 (富山)  

□新年のあいさつ

 新たな年が明けた。今年こそ「開かずの扉」といわれる再審の門を開かせたい。その為には富山事件が冤罪であることを広範な人々に認知させ継承すること。そして、たゆまない運動の継続の必要性を感じる。
 再審闘争は、まさに茨の道ともいえる。好き好んで歩む人はいないだろう。しかし、闘わなければ再審開始、再審無罪はない。人間の尊厳にかけても再審無罪を勝ち取らなくてはならない。(うり美)

□新年の一言

 最近は小泉によって世の中が戦争へ向かって進んでいる。
 権力から個人の自由、人権を守らなくてはいけないと思う。
 裁判も権力に左右されないようにお願いしたい。 (大井町のAさん)

□亀の一言『虚偽問題』

 日本の社会を揺るがしている建築物の耐震強度・構造計算偽造問題。米国ではブッシュ大統領が開戦の理由にした「イラクの大量破壊兵器(核兵器)保持」が全くの虚偽であった。韓国ではESねつ造。等々、次から次に明らかになる偽造、ねつ造は怒りなくして語れません。
 嘘をつく人達に共通しているのは、それによって殺される人々や被害に遭う人々の痛みや苦しみをなんとも思わない、自分たちの利益や都合を優先させて犠牲は顧みない、真実などどうでもいいと開き直っていることです。自分たちこそ正しい、社会を動かしているのだから当然だ、と思いこんでいるとんでもない人たちです。
 なぜ、何時からこんなことになってしまったのか。それは自分の周りに平然と嘘、虚偽が正されず居座っているからです。
 富山事件がそうです。富山さんを事件現場で見たという証言は全て嘘です。怒り無くして語れない証人にA証人がいます。
 この証人は有罪を立証する「有力な証人」と裁判所が認定した人物です。しかし、とんでもない嘘つきです。4つのことを指摘します。
 視力と距離の問題。視力0・2から0・4のAが、16・45bの距離から人の顔の識別ができたという嘘。実験の結果、その視力と距離では顔の識別は絶対に不可能であることが明らかになっています。
 Aは事件現場を見たのか。Aには同伴者がいます。その同伴者は、A証人とは違う証言をしている可能性があります。この同伴者の証言は、当然、警察で調書に取られています。Aと同伴者のどちらの言っていることが正しいのかは、調書を開示すれば明らかになります。しかし、調書はいまだに開示されず、隠されたままです。
 1人の人間を3人の人間が殴っている場面よりも、そこから数メートル離れて立っていた人物の方に興味がいったのでよく見ていたという嘘(他の証人のなかには、「『逃げろ』の声を聞いて初めて事件の関係者だとわかった」と証言している人がいる)。
 社会的地位が高いから信用がおけるという裁判所の認定。それでは、米国の大統領、姉歯一級建築士、建設会社の経営者たちは信用出来る人たちだったのか、彼らこそ嘘つきではなかったのか。等々。
 この富山再審闘争で明らかになっている嘘を司法に認めさせ、「無実は無罪に」を実現させることが、嘘が大手を振ってまかり通る社会を作り変える第一歩です。富山さんの再審・無罪を実現するためにがんばりましょう。 (亀)

 今年も新たな年が明けた。

 1987年11月の上告棄却後、再審を準備し始めてから18年、1994年6月20日に再審請求書を提出してから11年半が経過している。日々は時間に追われ忙しく過ぎ去っていくが、過ぎてみるとなんと長い歳月か。富山さんにすれば、逮捕以来31年であり、奪われた月日を思う時、こんな感慨に浸っているどころではないだろうが、最近、頓に、つくづく長い闘いだと思うことがある。そして、思うのは、長期にわたる闘いだからこそ、常に原点に立ち戻ってみることが必要ではないかということである。もう一度、原点にもどってみよう。長期の闘いであるからこそ、原点を見失ってはならない。
 もうひとつ思ったのは、最初から見直してみるということである。これまでの記録や証拠類をもう一度見直してみようと思った。これまで当然と考えていたことも、別の見方ができるかもしれない。別の観点から見えてくるものがあるかもしれない。もっといろいろな闘い方があるかもしれない。異議審は正念場であり、やるべきことは山積している。しかし、だからこそ、もう一度、最初から見直してみることも必要ではないかと思った。
 ということで、今年もまた頑張ります。 (山村)

□「かちとる会」に来た年賀状から

(阿藤周平さん)     (青柳晃玄さん)

(再審準備中のIさん)   (大槻泰生さん)

(Mさん)  (Mさん)

(杉並のYさん)   (櫻井善作さん)

(杉並のAさん)   (伊藤純子さん)

(小野正春さん)   (広島の松野さん)

(袴田再審のために奮闘中の平野雄一さん)   (神戸市民救援会議)

(飯島豊さん)

(救援連絡センター)

(三浦和義さん)   (国賠ネットの土屋翼さん)

(大井町のKさん)   (森研一さん)

【松元ヒロさんのソロライヴへのお誘い】

 3月8日(水)から12日(日)まで松元ヒロさんのソロライヴがあります。

笑う門には福来たる。お時間のとれる方はぜひお出かけください。おなかの皮がよじれること請け合いです。

○詳しい日程などは、(ファンクラブ「松元ヒロを応援する愉快な仲間たち/ヒロポンの会」ホームページ)に紹介されています。

http://www.winterdesign.net/hiropon/

□書評『目撃供述・識別手続きに関するガイドライン』

(「現代人文社」発行・2800円)

土屋翼(国賠ネットワーク) 

 目撃証言は曖昧である。曖昧さ故に目撃証言をでっち上げられた冤罪は多い。2000年11月に立ち上がった「法と心理学会」は、設立当初から、目撃のガイドラインを作ることを意図し、できあがった労作が本書である。英・米にはすでにガイドラインがある。この列島にも早急にガイドラインに沿った第三者機関を立ち上げたいものである。第三者機関といっても、マンション構造偽造に端的なように、万全ではないが、われわれが見守り人権が守られる列島を早急に構築したいものである。
 本は三部構成である。T部は目撃供述・識別手続きに関するガイドラインのガイダンスである。「目撃供述は、あくまで事実についての仮説であることを忘れてはならない。そこには種々の誤謬の可能性がひそむ。その誤謬は、収集された目撃供述を証拠段階で発生するだけでなく、何よりも収集段階で発生する。したがって目撃者にたずさわる者は、仮説検証的姿勢をとることを基本原則とすべきであり・・・」という基本的姿勢で、目撃供述聴取手続き、識別手続き、写真面割を行うべきであり、その全課程は可視化され、全面開示されなければならないとある。U部はT部の解説で8章に分かれており、それぞれにその章の執筆者以外の人から、解説さらに判例がある。この1章には「証拠は動く」の例として富山さんの事件があり、7人の目撃者の供述が3ヶ月半の期間で、例えば年齢が20歳〜35歳だったものが、24歳〜28歳に収束していくことが書かれている。
 V部は「法と心理学の架け橋をもとめて」で、目撃証言(知的障害園児)が大きく裁判を動かした例として「甲山事件」が紹介され、知的障害者、子どもなどの目撃供述の聴取の仕方のガイドラインが詳細に丁寧に書かれている。
 「既知の人の目撃は信用されやすいがそうではない」ともある。沢山の眼から鱗がある。ぜひこの本を読まれることを薦める。
 「被疑者特定前の写真面割」は、犯人絞り込みには使われるにしても特定は否定されるガイドラインではあるが、特定に使われた被害者として、御崎さん(逮捕令状国賠原告)の勝訴判決が書かれている。そして、その後の二審では逆転敗訴しているので、ぜひ継続した本の出版を強く望むものである。さらに要望としては、この本の執筆者は22名、法学系9名、心理学系12名、弁護士1名である。裁判官、検察官の執筆者は論外としても、この継続版には多数の弁護士の執筆を希望するものである。

【『救援』第441号・2006年1月10日発行より、筆者の許可を得て転載しました】

大井町ビラまき報告

休載

大井町のYさんから

休載

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