タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース

●ニュースNo.249(2009年6月25日発行)

東京高裁申し入れ報告
申入書
集会アンケート(前号のつづき)

大井町ビラまき報告


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東京高裁申し入れ(2009年6月24日)

かちとる会―東京高裁に申し入れ

 6月24日、富山さんと「かちとる会」は東京高裁に対して、証拠開示、そして再審開始を求めて申し入れを行った。関東学院大学教授の足立昌勝先生、国賠ネットワークの土屋さんも参加してくださった。
  裁判所から、蓮尾訟廷管理官、他二名が出席した。
  まず、富山さんが用意した「申入書」を読みあげた。そのうえで富山さんは、
「1975年1月の逮捕から34年が経っている。一貫して無実を訴えてきた。一審は私の訴えを認めたが、二審では逆転有罪、無罪判決を覆された。憤りに耐えない。訂正してほしい。
  二審で捜査責任者が、取り調べた目撃者が40人いて、34人分の調書があると言っている。これらを開示すれば無実を証明する証拠があるはずだ。検察官は、これらの証拠をすべて開示して、これだけのものがある、『君は有罪だ』というのなら開示すれば解決する問題ではないか。それを開示しようとしない。
裁判所の立場にたっても、すべてを開示させて明らかにすれば真実がはっきりするはずだ。それが依然として実行されないのは納得がいかない。証拠開示を強く求める。
  足利事件が問題になっているが、DNA鑑定に誤りがあったということだけが問題なのではない。他の証拠などから見ても菅家さんが犯人だというのはおかしいと裁判官が当然気づくべきだったのだ。
  足利事件を取り上げたNHKの「クローズアップ現代」で木谷明先生が、裁判所は被告は無実かもしれないという立場にたって証拠を吟味すべきと言っていた。虚心坦懐に事実を見てほしい。誰もが納得するように。目撃者34人の供述調書の残り27人の調書を開示して再審に対する回答を出してほしい。」
  続いて足立昌勝先生が以下のように述べた。
「(訟廷管理官に)昨年もお会いしましたよね。私が言いたいことは、簡単に言えば、裁判所って何するところなの?ということ。人を裁くところ、真実を発見するところではないのか。嘘をつくところではないはず。被告人が納得できない裁判で服役させられた。そして、再審を求めている。だったら隠している証拠をすべて出して明らかにすればいい。出せないのなら、裁判所は出せない理由をはっきりさせるべき。
  裁判員制度が始まった。公判前整理手続きでは、証拠の目録を出して、必要なものは開示することになっている。同じく再審でもすべての証拠を出してもいいはず。
  何回も申入れに来ている。裁判所は、検察官に開示するよう命令してほしい。開示できないのなら、その理由を弁護人に明らかにすべきだ。」
  次に土屋さんが、「国賠ネットワークの土屋と言います。今日は名刺を作ってきました。あなた方は公務員なのに名刺もないのですか。」と切り出し、以下のように述べた。
「沖縄返還協定をめぐっての密約事件で、西山さんは再審申立をせずに、国家賠償請求を行っている。アメリカの公文書の中でも、吉野文書でも密約があったということが明らかになっているのに、国は絶対に認めようとしない。
  あなた達は、裁判所の組織の入口にいる。裁判官に富山さんの訴えを必ず伝えてほしい。間違ったことを直すのは当然のことで、ぜひやって頂きたい。証拠は出すのがあたりまえ。隠すのはおかしい。それが普通の良識だと思う。
  毎年、毎年、申入れに来て、そのたびに残念な思いをしている。ぜひ、なんとかしてほしい。」
  次にうり美さんが以下のように発言した。
  「足利事件の菅家さんが釈放されて再審開始決定が出された。菅家さんは警察、検察を許すことはできない、謝ってほしいと言ってた。その後、県警が直接謝罪したけれども、菅家さんの気持ちは至極当然のことのように思う。
  しかし、冤罪を作ってしまった原因は警察、検察だけにあるとは思わない。裁判所に責任がないとは、決して思わない。裁判官にも謝ってほしいと菅家さんは言っていた。当然。その点で言えば、裁判所も同罪なはず。
  富山事件では、目撃者の証言が唯一の証拠で逮捕されている。当初、目撃者は富山さんとは似ても似つかない犯人像を供述している。(目撃供述の変遷表をみせて)Aの人は、丸顔、身長165p、中肉、20才と言っていたのが、警察、検察の取調を経るにしたがい、富山さんの容姿に近づいてくる。おかしい。人の記憶は、犯行をみた直後が一番正確なはずだ。
  他の目撃者の供述も当初富山さんとは似ても似つかない犯人像を言っていたのが、警察、検察の取調を経るにしたがい富山さんの容姿に近づいてくる。この過程は再審請求審で浜田寿美男先生の鑑定書で詳細に書かれている。
  しかも、員面調書は最初開示されていなかった。弁護側が争ってようやく開示れた結果、この変遷の過程がわかってくる。この変遷表を見ても作られた調書であると言える。裁判官がこのような単純なことが見抜けないのだろうか。
  裁判所には、刑事裁判の鉄則である『疑わしきは被告人の利益に』にのっとって、私達が請求している証拠を開示し、再審を開始してほしい。」
  山村は以下のように述べた。
  「一審の時から傍聴してきた。一審の無罪判決の時も、二審の逆転有罪の時もこの目で見てきた。富山さんが無実なのは裁判の経過を見るだけでもはっきりしていた。今、再審を求めているが、証拠開示について強く訴えたい。
  法廷に出た目撃者以外の目撃者の中には、犯人は富山さんではないと言っている人がいる。富山さんの写真をみて、こんな男じゃないと言っている人がいる。その目撃者についての捜査報告書があるということは、再審になってから検察官が認めている。存在を認めておきながらなぜ検察官は開示しないのか。
怒りに耐えない。
  開示されている7人の供述調書からも富山さんが犯人でないことは証明することができる。目撃証人の供述は、当初は富山さんとは似ても似つかない特徴を述べていた。それが警察官、検察官の誘導によって富山さんの特徴に合わせて変遷している。身長165pから、富山さんの身長にあわせて180pと変わっている。
  この目撃証言について、捜査官による誘導があったとして一審は無罪判決だった。二審は、警察官の誘導はしていないという証言だけで有罪判決を下した。
  富山さんの写真を見て『こんな人ではない』と言った目撃者もいるのにそれをどうして出さないのか。全く納得出来ない。裁判所はすべての証拠を見て判断してほしい。
  アメリカでは、有罪になった人がDNA鑑定で再審無罪になるケースが多数明らかにされてきている。目撃証言が危険な証拠だというのは世界的な趨勢だ。目撃証言が証拠の場合、証拠開示が重要、検察官にとって有利な証拠も不利な証拠も全て開示すべきというのが世界の趨勢だ。どうして日本ではなされないのか。ぜひ出してほしい。
  今、開示を求めている証拠は、裁判員制度における公判前整理手続きであったら、出さなければならないものだ。真実を追究するのが裁判所の役割のはず。ぜひ、証拠を開示するよう検察官に命令してほしい。」
  最後に富山さんが以下のように述べた。
  「裁判の最初の段階では検面調書しか開示されなかった。検面調書は私が犯人だということでまとめられていた。それを見て、正直、法廷で闘うのは大変だと思った。しかし、法廷で弁護人が目撃証人に尋問すると、証言が変遷を繰り返したり、供述調書と違うことを言うようになった。最後には裁判官も員面調書の開示を認めた。すると、事件の直後には私とはまったく違う犯人像を述べていたことがわかった。身長165センチと180センチは明らかに違う。それで当然にも一審は無罪だった。二審は警察官の証言だけで有罪とした。どちらが正しいと思いますか。最高裁はそれに対する回答を示さないまま、門前払いで棄却した。
  残りの27人の供述調書を開示させ、私を納得させて、疑問に答えてほしい。強く期待している。」
  毎年、再審請求を申し立てた六月に合わせて、裁判所に申し入れを行っているが、毎回暖簾に腕押しのような状況が続いている。富山さんの訴えは、「かちとる会」の要望は、裁判官に届いているのだろうか。
  今年こそ、新たな地平をきり開きたい。
  (山村)

 申入書

 東京高裁第4刑事部の裁判官のみなさん、私の訴えを真剣に聞いてください。
  私は無実です。1975年1月の不当逮捕以来、主張し続けているように、事件にはまったく関与していません。確定判決は誤判です。あなた方の先輩は「間違えたではすまない」過ちを犯しています。第3刑事部の再審請求棄却決定は、過ちを重ねているのです。過ちに終止符を打ってください。
  再審請求棄却決定は訂正されなければなりません。そして、すみやかに再審開始を決定してください。
  私は無実であり、再審無罪判決が下されるべきである――この真実を見抜くことはけっして困難なことではありません。刑事裁判の王道を進めば簡単にできることです。現に、原々審・1審は正しくも無罪判決を下しているではありませんか。これまでの再審無罪の事例が実証するように、予断と偏見が眼を曇らせ、それに自己保身が重なって取り返しのつかない過ちを生み出します。真理は常に明快です。素直な目で眺めれば誤ることはありません。えん罪が明らかになるたびに「なんでこんなことが見抜けなかったのか」と指弾されますが、理由ははっきりしています。予断と偏見、そして自己保身のほかにいったいなにがあるでしょうか。
  過ちを過ちとして認め、訂正する勇気を持ってください。本来、これは人間として当然そなえているべき徳目であってわざわざ声高に求められるようなことではありません。しかし、この人としてあたりまえであるべきことがとりわけ期待される裁判官において行われていない、行われてこなかったという現実があるからこそ強調されているという冷厳な事実を見据えてください。この恥ずべき現実はただちに改められるべきです。蛮勇を振るえと言っているのではありません。検察官が隠蔽している私の無実を証明する証拠、すなわち捜査責任者が法廷で証言自白した「34人分の目撃供述調書」を開示させ、吟味すれば私の無実を確信できます。容易かつすみやかに過ちを訂正できるはずです。
  いま世間の耳目を集めている「足利事件」も、「DNA鑑定の精度が低かったから誤った」のではありません。犯行の態様と自白の不自然さを考察するだけでもえん罪が明白なのは歴然としています。予断と偏見、そして自己保身が取り返しのつかない過ちを作りあげたのです。
  同じ過ちをもうこれ以上繰り返してはなりません。それを言葉ではなく実践で示してください。検察官に証拠開示を命じてください。再審請求棄却決定を改めてください。再審を開始してください。心から訴えてやみません。

 2009年6月24日

富山保信 

 東京高等裁判所第4刑事部御中

前号に続き4.12集会アンケートを掲載します

たくさんの方々の御意見、ご感想ありがとうございました。 終了時間が予定より大幅に遅れましたこと、お詫び申し上げます。 (かちとる会一同)

 宮本さんの中世魔女裁判の視点に興味をひかれました。
  現在の裁判以上に裁判員制度下では、えん罪や不当な裁判が強まっていくと思います。
  (62歳/男性)

とても良かったです。
  (65歳/男性)

 宮本先生の話はとりわけ説得的で印象深かった。もう一度お話を伺いたいと思いました。
  また、阿藤さんの「死刑は絶対反対」という叫びにも似たお話は、当事者の方の説得力に富む貴重なものと感じました。
  (55歳/男性)

 終了時間が遅すぎる。
  もう参加しない。
  (70歳/男性)

 

阿藤さんがお元気そうで良かった。 運営体制がしっかりした会だと思った。
(37歳/男性)

 阿藤さんの話をきけて良かった。
  (69歳/男性)

 全証拠の開示を勝ちとろう。そうすれば、無実を明らかにする証拠があると思う。
  10年間の獄中強制攻撃は、警察、検察の自白誘導策動の不当不法な攻撃によって作られた革命圧殺の陰謀だと思った。
  再審無罪を是非勝ちとろう。
  (60歳/男性)

 2人の先生、阿藤さんの報告がとても良かったと思います。
  阿藤さんの報告は迫力があり、死刑とえん罪の関係で死刑反対に近づきました。
  ただ時間が長すぎる(3時間は)。
  (72歳/男性)

 

 

 

大井町ビラまき報告

(5月17日)

・亀さん(療養中)
・富山さん …… 0
・山村さん …… 2
・うり美  …… 0

 この日は、風が強く、今にも雨が降りだしそうだった。開口一番、山村さんが、「私、めずらしく今日いいことしたの」と語り始めた。その「いいこと」とは…。
  この日の朝、乗った電車の中でのこと。ドア付近で立っていた女子高生が急にうずくまり、しゃがみ込んでしまった。きっと、誰か声をかけるだろうと少し見守っていたが、誰一人として声をかける人がいない。そこで山村さんが「大丈夫ですか?」と声をかけ、次の駅で一緒に降り、駅員さんの所まで連れていってあげたということだった。
  その話の後、山村さんに署名者が現れて署名をする。そして、また署名者が現れて署名をする、という感じだった。
  これは一体なんの御利益なのだろう。
  うり美

大井町のYさんから

休載

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