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ュースNo147(2000年12月1日発行)

 

●ニュースNo147(2000年12月1日発行)◎「法と心理学会」設立総会、開かれる

大井町ビラまき報告

11月4日~5日 「法と心理学会」設立総会、開かれる

 11月4日~5日、「法と心理学会(The Japanese Society for Law and Psychology)」の設立総会が、京都の龍谷大学で開かれた。

この「法と心理学会」は、日弁連・刑事弁護センター主催の「目撃証言研究会」で研究を積み重ねてきた法曹関係者、心理学者、法学 者を中心とする方々によって準備されてきた。昨年12月、「法と心理学会」設立準備企画として、シンポジウム「目撃供述ガイドラインの提言」が慶応大学で 開催され、その後の準備を経て、この日の設立総会となったものである。
この日も全国から、心理学者、法学者、弁護士をはじめとする150名以上の人々が集まった。富山再審弁護団からも葉山岳夫弁護士が参加し、富山さんと山村も参加した。

「法と心理学会」は、その設立趣意書で、
「法に関わる出来事は優れて人間的現象であります。そして心理学はその人間的現象の解明を目的とした科学です。その意味で法学にとって心理学的知見はき わめて有用であり、心理学にとっても法という領域は生きた現実の問題を扱う魅力的な分野です。しかし、日本においては今日まで法学と心理学の研究交流は極 めて限定的なもので、その関係は必ずしも密接ではありませんでした。私たちは具体的なケースに関わる中で、法学と心理学との隔たりの大きさに驚くと同時 に、互いの距離を埋める努力の必要性を強く認識するに至りました。
諸外国に目を向ければ、法学と心理学とが広範な領域で積極的に研究交流を展開し、組織的な研究基盤も確立されており、社会的な役割を果しています。日本 においても、このような学際的な研究交流と研究活動の組織化は緊急の課題であり、早急に実現する必要があると考えます。ここに『法と心理学会』を設立する 目的があります」としている。
さらに、これまでの準備過程で目撃証言などの問題を取り上げてきたが、今後は、基礎的な研究に加えて、多くの現実的な諸課題にもアプローチしていくとのことだった。
欧米では、心理学と法学の間での共同研究が積み重ねられて来ている。心理学者が目撃証言の信用性について法廷で証言することもある。しかし、日本ではよ うやくその端緒が開かれたばかりである。特にこうした領域についての裁判官の認識は遅れている。こうした中で今回、「法と心理学会」が設立されたことの意 義は大きく、実際の裁判にも大きな影響をもたらすものになると思った。
「目撃証言研究会」の中心的なメンバーであり、「法と心理学会」設立に向けても尽力され、今回の設立総会で理事長になられた浜田寿美男さん(花園大学教 授・発達心理学)は、富山再審請求時、鑑定書「富山事件目撃供述についての心理学的視点からの供述分析」を提出してくださった方である。
また、「法と心理学会」設立過程で、研究者の方々が作成に取り組んでこられた『捜査段階における犯人識別のためのガイドライン(目撃供述ガイドライ ン)』は、富山事件の確定判決の軸である「写真面割りの正確性を担保するための基準(七つの基準)」を真っ向から批判するものになるため、弁護団も私たち も注目し期待してきた。
10月の東京高裁第三刑事部との折衝で、弁護団は裁判官に対して「現在、日本でも心理学者、法学者、法曹関係者の間で、目撃供述についてのガイドライ ン、つまり、目撃供述を証拠とする場合のルール作りが進められている。裁判所もそうした知見を取り入れてもらいたい」と「法と心理学会」の動きに触れて申 入れを行っている。

大会は二日間にわたって開かれ、第一日目は、設立総会、記念講演やシンポジウムが行われ、「法と心理学会」設立の目的、意義が確認された。
二日目は、口頭発表(心理学者や法学者からの研究発表)と記念講演、さらに各テーマごとにワークショップが開かれた。
口頭発表の最初に、足立昌勝さん(刑法)が「富山事件判決の刑事法学的検討」と題して発表を行い、続いて、富山再審で実験に基づいた鑑定書を提出しているHさん(認知心理学)が「富山判決の心理学的検討」と題して発表を行った。

「富山事件判決の刑事法学的検討」

以下、足立さんが発表されたものの要旨を紹介する。

 富山事件は、一審の東京地裁では無罪であったものが控訴審で有罪とされた。なぜこのように異なった判決が出たのか。二つの判決が異なったのは、目撃者の証言をどのように判断するか、目撃証言の評価および写真面割りによる同一性識別の評価に起因している。
公判で明らかになった7人の目撃者の供述には大きな変遷と齟齬がある。当初、富山さんとは違う特徴を供述した目撃者が取調べを経るに従って、富山さんの特徴を述べるようになる。これは単なる記憶違いなどでは説明のできない変遷である。
一審判決が、「目撃者らは、事件後まもなく作成された供述調書では、犯人について必ずしも一致した特徴点を指摘していなかった。にもかかわらず、目撃者 はいずれも、その後、捜査官による事情聴取や写真選別、被告人の面通し等による犯人の特定の過程を経ていくうち、被告人と犯人の同一性に対する認識を深 め、検察官の取調べ段階では、一様にその同一性に対して相当強い確信を供述するにいたっており、また、それと歩調を合わせるかのようにして、目撃した右犯 人について、概ね共通した特徴点を指摘するようになっている」「これらの供述の信用性には、かなりの疑問が残り、これをそのまま採証の用に供することはで きないものと言わざるをえない」と結論づけている点は重要である。

これに対して控訴審判決は、「写真面割りを中心とする犯人の同一性識別の結果の一致」でもって、富山さんに有罪判決を下した。しかし、捜査官による暗示・誘導等、何らかの力が介在したことが考えられる目撃者の供述の変遷、齟齬については何の説明もできていない。
一審判決における詳細な検討が、控訴審判決においていとも簡単に崩されてしまっている。どうして、このような現象が起きるのか。それは刑事訴訟法の原則 である自由心証主義に起因しているように思われる。自由心証主義といっても、裁判官が主観的、恣意的に証拠を評価することを許しているものではない。証拠 の評価は客観的であり分析的でなければならない。
控訴審判決は、写真面割りの正当性を担保するものとして、「7つの基準」をあげている。いろいろと問題がある「基準」だが、特に、警察内部で行われたこ とについての正当性を担保するものは「警察は正しいことしか行わない」という“神話”でしかない。しかし、真に写真面割りに正当性を求めるとすれば、写真 面割りを警察以外の独立した第三者機関で行うか、写真面割りに客観的な第三者が立ち会う方法を改良する以外には無理と思うが、確定判決はその点に全く言及 していない。

足立さんは、発表の途中で、演壇に富山さんを招き、「彼はこのように身長が180センチもあり、体格もガッチリした男である。し かし、目撃証人は、当初は身長165センチ、やせ型、中肉などと言っていた。これが富山さんのこととは誰が見ても思えないと思う」と紹介してくださった。
そして、「富山事件の控訴審判決には多くの問題が内在している。この判決は被告人とされた者の人権を蹂躪するものである。このような控訴審判決を目の当 たりにして、自由心証主義を担っている裁判官の心証形成過程に関する心理学的分析こそが必要不可欠であろうということを指摘して、私の報告は終わりたい」 と結んだ。

「富山事件判決の心理学的検討」

以下、Hさんが発表されたものの要旨を紹介する。

 14年ほど前に、富山事件の弁護団の方が私の所に来て、事件をまったく目撃していない人でも富山氏の写真を選ぶ のではないか、これについて客観的に調べてもらえないだろうかと依頼された。それまで、裁判というのは畑違いのことだったが、始めてみるとこの事件はまさ に心理学的問題のデパートという感じだった。
実験は、本件の写真面割りに使われた写真を使って、事件についてまったく知らない被験者に、事件についての簡単な説明をし、写真選別を行わせた。
四人組が被害者を襲ってメッタ打ちにした、この四人組の犯人のうち指揮者とみられる一人が他の三人を現場で指揮していた、この指揮者とみられる犯人は男 性で、他の三人の犯人が被害者をメッタ打ちしている際、自分では手出しをせずにあたりの様子をうかがい、ころ合いを見て退却の指示を出し、他の犯人ととも に逃走した、こうした説明を被験者に行った。
犯人像については、当時伝えられていた、黒縁メガネをかけて、目つきが鋭く、あご骨が張っているという指示を与えた。 そして、本件で目撃者に提示され た198枚の写真のうち、正面と横向きが対になった逮捕写真で、黒縁メガネをかけている写真24枚を取り出し、この中から選んでもらった。被験者の回答は、113番の富山氏の写真に集中した。こういう写真構成がはたして正しいものであるかどうか疑問に思っている。相当バイアスがかかった写真選別ではないかと思う。
もうひとつ、ストレス場面の特殊性という問題がこの事件にはある。この事件では、凶器が使用され、撲殺という凄惨な事件で、複数犯、という三つの特徴がある。
ストレスの効果については、中心的事物へ注意は集中するけれども、周辺的なものにはあまり注意が向かわないという研究がある。それは有効視野が狭窄化す るのではないか、つまり、認知できる範囲がかなり絞られて狭くなってしまうのではないかということに関心を持ち、実験を行った。
ストレス場面を含んでいるものと含んでないもの、二種類のビデオをそれぞれの被験者に見てもらい、それぞれ画面の周辺にある数字に気づくかどうかという実験を行った。
その結果、凄惨な場面、つまりストレス場面のビデオでは、数字が出たことにすら気づかない、ましてやどういう数字だったかはわからないという実験結果が得られている。

本件でも、中心的事物、つまり凶器とか犯行そのものに注意が向いて、周辺的事物、少し離れて立っていた「指揮者」には注意が向かないだろうと考えられる。
そこで、東京都内のある私立大学のキャンパスを借りて、公訴事実をもとに事件をできるかぎり忠実に再現するという再現実験をやった。
四人の犯人が被害者を追いかけて走って来る。そのうちの三人が持っていた鉄パイプで被害者を殴る。被害者は倒れ込んで血を流す。これは、実際に血のりを 作って、脇の下に入れてぐっと押すと血が流れるというのをやった。指揮者は、少し離れたガードレールの所に居てあたりを伺っており、最後に「やばい、逃げ ろ」と指示して逃げて行った、というのをプロの劇団の人に演じてもらい再現した。 それを撮影したビデオをもとに実験をした。

本件は、事件から三日目に写真面割りが行われたということなので、直後の写真選別と三日目の写真選別の実験をした。
写真選別に用いた写真は、三名の殴打犯、指揮者、被害者を含む63名の写真で、全員同じ服装、63名のうちメガネ着用が32名、無着用が31名、32名 の中にはビデオに出てきた指揮者が含まれており、31名の中には3名の殴打犯、被害者が含まれている、という構成の写真帳である。
写真選別の結果、正答率はおおむね低かった。特に、指揮者については正しい回答を選ぶ率が非常に低い。
また、混同の誤答というのがあった。指揮者として殴打犯の写真を選択するとか、他の写真を選んでしまうことがあった。殴打犯として被害者を選択する割合が28名中6人もいた。混同誤答が起こってくるというのがひとつの特徴だった。
こうした実験から、本件については、情報の取り入れ段階に問題があったと指摘できる。ストレス下の認知において有効視野が狭窄化する、しかも、凶器が使われているということで凶器あるいは殴打犯に注目を促すことになったのではないかと考えられる。
もう一つ、写真面割りに使われた写真の公正さに問題があるのではないかと考えられる。事件を目撃していない人でも被告の写真を選択する傾向があるというのはそういうことだ。
つまり、情報の取り入れ段階と検索の段階、あるいは決定の段階、その両段階において本件は問題をかかえている。

富山再審にとって、「法と心理学会」の設立第一回大会で、富山再審についての発表が行われたことは、他に代えようのない大きな意義がある。発表のためにご尽力くださった足立先生、H先生には心からお礼申し上げたい。

「捜査段階における犯人識別のためのガイドライン(案)」

4分科会に分かれたワークショップでは、富山再審にとって深い関わりのある「人物同一性識別手続きの現状と課題」と題する企画があり、私たちはそこに参加した。
このワークショップでは、『捜査段階における犯人識別のためのガイドライン』作成の現状と課題が報告され、討論が行われた。

最初に福島大学の岡田悦典さんから、『ガイドライン』の趣旨が説明された。

『ガイドライン』は、捜査官は、「目撃者の取調べの目的は、当該人物が有している情報を正確に取り出すこと以外にないことを理解 し、誘導・暗示等を与えないように注意しなければならない」と指摘、「供述聴取手続き、および識別手続きのすべては可視化されなければならない」「供述聴 取や識別手続きに入り込む誘導・暗示の効果は、微妙なものであるだけに、目に見えるかたちでの客観的記録が必須である。そして、公判において目撃にかかわ る証拠評価に争いが生じた時は、犯人目撃供述が聴取された過程、また被疑者の同一性識別の手続き過程にかかわる証拠がすべて開示され、検討の資料として当 事者に提供されなければならない」としている。この点はきわめて重要だと思った。
また、『ガイドライン』は、「犯人目撃供述の聴取には当該事件に関する情報を有していない人物が当たらなければならない」としている。「当該事件に関す る情報を有していない人物」とは、例えば事件の担当者以外の取調官などで、そのうえで『ガイドライン』は「将来的には、捜査機関とは別に、犯人識別供述聴 取などを専門とする第三者機関が関与することがさらに望ましい」としている。
その他、供述聴取の手順や記録の保存についても、『ガイドライン』では細かい規定がなされている。
識別手続きについては、他の証拠から被疑者が特定されている場合には、原則としてラインアップ(複数の人物を用いた実物による同一性識別)を行うべきと しており、それが不可能な場合は、次にビデオテープを用いたラインアップを行うべきで、写真選別(複数の人物の写真を用いた同一性識別)は、前記二つの方 法での識別手続きが不可能な場合にのみ用いられるべきものと、写真選別の危険性を指摘して制限を設けている。

被疑者が特定されていない場合、つまり目撃者の提供する情報によって被疑者の絞り込みからはじめなければならない場合(富山事件 もこれにあたる)でも、「この場合の写真面割りは、あくまでも被疑者の絞り込みのための一手段であり、これを識別手続きと考えてはならない」としている。
作成した写真帳のなかに目撃者が目撃した人物が含まれていない可能性も多くあり、「その場合、写真帳の中から目撃者が、『この人だ』とか『この人に似て いる』として特定の写真を選別したとしても、それは目撃者が目撃した当の人物であるとの証明にはならない。写真の場合には実在の人物を用いているために、 選んだ人物が目撃者の目撃した人物であると思いこんでしまう危険性が、モンタージュ写真や似顔絵(これは明らかに作り物との認識がある)以上に高いことを 警戒しておくべきである」と指摘している。
写真面割りで使われる写真帳の構成、提示方法についても、『ガイドライン』では、詳しく規定されている。

『ガイドライン』についての報告を聞いて、供述聴取や識別手続きのすべては可視化されなければならないとしている点、公判におい て、目撃証拠の評価に争いが生じた時は、これらの過程にかかわる証拠がすべて開示され、検討の資料として当事者に提供されなければならないとしている点、 識別手続きはラインアップが原則であり、写真面割りは識別手続きとして位置づけられてはならないとする点、単独面通しを行ってはならないとしている点な ど、非常に重要な提起だと思った。
『ガイドライン』は、富山事件の確定判決の「基準」などとは比べものにならない、具体的で、精緻で、配慮されたものになっている。
目撃供述を証拠とする場合のルールについては、あらゆる点で日本は欧米に遅れているが、こうした点が改善されれば、誤判の数は確実に減るはずである。

岡田さんの提起を受けて、静岡大学の田淵浩二さん(刑訴法)から、『ガイドライン』とこれまでの裁判例の比較検討が行われ、富山事件の確定判決も紹介された。

控訴審判決と『ガイドライン』の比較

次に、東京学芸大学の高木光太郎さんから、富山事件の控訴審判決と『ガイドライン』の比較検討についての報告が行われた。
高木さんは最初、確定判決の「基準」について紹介し、その後、現在作成中の『ガイドライン』の内容との比較検討を行った。
確定判決が抽象的な言いまわしに終始しているのに対し、『ガイドライン』は「提示される写真は五十枚程度」等と具体的に提起されていることが指摘された。
そして、写真帳は、当該事件の知識を有さない者による作成であること、写真を目撃者に提示する時、頷くとかするだけでも目撃者に影響を与えることになる ので、そうならないよう配慮しなければいけない、また、なにがなんでも選ばなければならないと強要するものであってはならない、としている点を指摘した。
さらに、必ず確信度、目撃者がどのくらいそれが確かだと思うかを、五段階とか、なんらかの形で確信度としてつけるべきだとしている点を指摘した。
そして、『ガイドライン』が富山事件の確定判決と決定的に違う点として、面通しで、生の人が並ぶラインアップがベストであって、次にベターなのがビデオ であって、それがどうしても出来ないという時に写真を使うべきだとしている点、つまり、写真による面割りは最後の最後の手段としている点を指摘した。この 点は、諸外国の実例や法学、心理学の研究成果からみて確実に言えるとのことで、『ガイドライン』のこの部分には、写真面割りというのは基本的にやらないで 済むならば、やらないでほしいという気持ちが込められていると述べた。
さらに、単独面通しについては間違った識別が圧倒的に多くなり、識別のルールではないと考えている、これは絶対禁止すべきだ、と強調された。
『ガイドライン』は、事後的検証のために何をするのかという立場があり、写真帳作成過程の記録化、写真帳の保存、選別過程をビデオ等で記録するよう求め ているとし、これらは『ガイドライン』では主張されているが、富山事件の控訴審判決では全然言及されていない、と指摘した。

次に、千葉大学の黒沢香さんから、イギリスにおける同一性識別についての報告がなされ、最後に、大阪教育大学の菊野春雄さんか ら、記憶研究から見た目撃証言に関する心理学的研究の可能性として、「誤った目撃証言を『予防、診断、治療回復』という側面から、吟味することの必要性」 について報告があった。

『ガイドライン』は、これからさらに検討を加え、誤った識別によるえん罪を防ぐものとするとともに、捜査にも役立つものをめざすとのことだった。
控訴審判決の柱である「写真面割りの正確性を担保するための基準」が、世界の水準に比べておよそ基準たりえないことを、再審請求で弁護団は明らかにして きた。今回の『ガイドライン』は、控訴審判決の「基準」が、いかにデタラメなものであるかを誰の目にもわかる形で示している。確定判決に対する痛烈な批判 となるものであり、富山再審にとって決定的な意味を持つものになる。その完成が期待される。弁護団も、「目撃証言研究会」等を通して『ガイドライン』作成 にともに協力していく考えであり、『ガイドライン』が最終的に確定した段階で、裁判所に新証拠として提出したいとしている。

会場の龍谷大学のキャンパスにある本館は、国の重要文化財に指定されている明治時代の建物であり、他にも歴史を刻んだ味わいのあ る建物が並んでいて、美術館にいるような会場だった。また、大会が始まる前には隣接する西本願寺の国宝・飛雲閣も特別に見学することができ、遅い紅葉も始 まっていて、ちょっぴり“秋の京都”を楽しむことができた。
しかし、それにしても、第1日目は午前11時30分受付開始で、そのまま午後8時まで、次々とプログラムが続き、その間、休憩時間は10分ずつ二回、第 二日目は午前8時45分に受付、9時から口頭発表が始まり、記念講演や総会と続き、最後のワークショップが終わったのは夕方5時30分を過ぎていたという 密度の濃いスケジュールだった。
富山再審にとっても、きわめて重要な「法と心理学会」設立総会であり、大変充実した二日間ではあったが、「学会」というものがこんなにもハードだとは思わなかった、というのも感想のひとつである。 (山村)

 

11月の大井町での署名集めは、

8名

うり美

3名

山村

3名

富山

0名

で、計14名でした。

 署名を始めてまもなく、二人連れの女性が立ち止まり、「まだやっているんですか」「前に署名したことがあるけど、裁判はその後、どうなっているの」と聞いてきた。
この間の経過を説明し、裁判官が代わり新たに署名を出したいので、もう一度お願いしますと頼んだら、こころよく応じてくれ、「再審って大変ですね。裁判ってそんなに時間がかかるものなの」「がんばって」と言って立ち去った。
出足がよく、その後も次々と署名してくれる人がいた。以前に署名してもらった人も何人かいた。みんな再審がどうなっているか気にしてくれてうれしかった。 (亀)

 「明日のため、第十一歩目。急に寒くなり、冬になりました。暖かくして行動しましょう」という手紙とともに2000円頂きました。ありがとうございました。

 

編集後記

  ニュースの発行が遅れに遅れて、大変申し訳ございません。絶対に合併号にはしたくない、こうなったら執念で出す、というわけで、11月、12月号をほぼ同 時に出すことになってしまいました。これが届くのは2001年の初めになると思いますが、一月号の準備は整っていますので、次号からは定期発刊に戻せると 思います。

21世紀もよろしくお願い致します。