カテゴリー
NEWS 未分類

ニュースNo164(2002年5月1日発行)

●ニュースNo164(2002年5月1日発行)◎戦争は究極の人権破壊―有事立法と「司法改革」

大井町ビラまき報告


◎戦争は究極の人権破壊―有事立法と「司法改革」

 とうとう有事法制3法案が国会に上程され、審議が始まりました。ついにここまで来たということです。日本が本気で、他国・他民族に対して武力攻撃をやろうとしています。それは帝国主義強盗同士の戦争と侵略戦争以外ではありません。

小泉首相は「備えあれば憂いなし」と述べています。何に対する「備え」なのでしょうか。「日本が攻められる、侵略される」と言いたいようです。しかし、 本当に日本が攻められる、侵略されるようなことがあるのでしょうか。まじめに歴史を学べば、全くの嘘で、近代以降の日本は攻めっぱなし、侵略し放題だった ことはすぐわかります。「ソ連が攻めてくる、占領される」、「テポドン」「拉致疑惑」「不審船」・・・みんなためにするデマゴギーで排外主義と愛国主義を 煽りましたが、ソ連など消滅してしまったではありませんか。真剣に考察すれば、唯一日本が「攻められ、占領される」リアリティーがあるのは、アフガニスタ ン侵略にみられるように、アメリカだけです。反対に、「いつ日本の経済侵略が武力攻撃に変わるか警戒を怠れない」というのがアジア人民の現実ではないで しょうか。侵略戦争と帝国主義同士の権益をかけた戦争への「備え」、本気で戦争をやるための「備え」、しかも漠然とした「備え」ではなく当面はアメリカと いっしょになって北朝鮮、中国―アジアへの侵略戦争をやるための切迫した具体的「備え」、これが小泉首相の言う「備え」です。いよいよ「戦争国家づくり」 もここまで来たといわねばなりません。

「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」、いずれも逆さまな言い方をしていますが、正体は「日本の武力行使法」「日本軍隊 法」「首相大権法」です。法案にいう「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃が発生した事態」だけではなく「そのおそれのある場合」や「事態が緊迫し、武力攻撃 が予測されるに至った事態」がすべて含まれるのみか、「武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処」も盛り込まれていま す。いくらでも拡張解釈できるようになっているので、いつでも「国家の緊急事態」「国家有事」を宣言して自衛隊の武力行使が可能です。「国権の発動たる戦 争」「国の交戦権」の復活であり、憲法第9条の破壊に他なりません。

アメリカ・ブッシュ政権は、昨年の9・11以降、「対テロ戦争」を掲げて民族解放闘争の絶滅、資源略奪、世界市場の再分割をかけた侵略戦争を開始しまし た。「悪の枢軸」論にみられるようにアフガニスタン、パレスチナからイラク、イラン、北朝鮮へと拡大し、さらに対中国、帝国主義間戦争、第3次世界大戦を も想定しています。この弱肉強食戦に、むきだしの軍事力で他国を侵略し、支配できる力を持たないかぎり生き残れないことを知り抜いているからこそ、小泉政 権は必死の凶暴さで戦後憲法体制を根本から覆して、軍事独裁体制と国家総動員体制をつくりだそうとしているのです。

もう少し法案をみていきましょう。

国・地方公共団体・指定公共機関の戦争協力は「責務」であり、「国民の協力」は義務であると明記されています。あらゆる機関とそこに働く労働者が戦争に動員されるのです。
首相にいっさいの権限が集中され、国と地方自治体のあらゆる行政機関、公共機関、民間までもが設置された「武力攻撃事態対策本部」の指揮統制に従わせら れます。国会と議院内閣制を事実上解体して首相と軍部が実質的な権限を独裁的に握って軍隊や警察を自由に動かし、国家総動員体制をつくりあげることが可能 になるということです。ナチスの「授権法」にも比すべきものであって、憲法の全面停止を意味します。
戦争協力の義務化・強制と一体で「憲法の保障する国民の自由と権利」に「制限を加える」となっていますが、制限が無制約となるのは必至です。基本的人権と政治的社会的諸権利は圧殺されます。
自衛隊の制約が取り払われて、軍隊としての軍隊となった自衛隊の侵略と内乱鎮圧のための自由な戦闘行動を保障するために、新たな規定が設けられます。軍事最優先の社会に変わるということです。当然、非協力者に対する処罰規定も導入されています。

さらに関連法案を「二年がかりで制定」のうえに、次期通常国会で教育基本法を改悪するというのだから、戦争国家の担い手の創出という目論見は誰の目にも明らかというものです。
国会にはすでに「憲法調査会」が存在します。その「憲法調査会」は、調査とは名ばかりで、行われている議論の前提は改憲です。現実に改憲の内実がどしどし進行し、その実体・実態に沿って条文が書き改められるということになるでしょう。最大の攻防点は憲法第9条です。
改憲の最大の眼目である憲法第9条の破壊は、有事立法によって成し遂げられるのみか、戦後憲法の根本理念も否定されてしまいます。憲法は戦争を放棄して おり、したがって戦時や国家事変の際に元首や政府に与えられる国家緊急権を定めていません。また基本的人権を保障していますが(「国民」に限定し、在日朝 鮮人・中国人、沖縄県民を排除した問題について認識する必要があるが、ここでは割愛する)、これは戦争放棄と一対のものです。そして人民の権利と自由の度 合いは、さまざまなたたかいの帰趨、階級的力関係が決めてきました。有事立法はこれを根本から否定し、転覆し、剥奪しようとするものです。それは日本が国 家の基本に戦争を据えて本気で戦争をやろうとしているからに他なりません。(Ⅰ)戦争は国家の死活をかけたもの(Ⅱ)現代の戦争は総力戦、国家総動員型の 戦争であること(Ⅲ)戦争遂行のために「城内平和」を必要とすること、それも戦争賛成、戦争勝利、戦争遂行で国論を統一し動員する必要から戦争反対、戦争 妨害要因の根絶のための徹底性が求められることに起因します。一般的に権利と自由を制限する、奪うと言っているのではありません。戦争をやる、戦争反対は 言わせない、強制的に戦争に動員する、抵抗する者は弾圧すると言っているのです。憲法第9条の破壊をとおして社会のあり方は百80度ひっくり返ります。

こう見てくると、「司法改革」の狙い、役割はきわめて明瞭ではないでしょうか。

司法審(「司法制度改革審議会」)の中間報告に「司法改革」は「最後の要」とありました。改憲を先取りして、軍事独裁体制と国家総動員体制が不可避に生 み出す人民の抵抗と反乱を弾圧・一掃するための「戦時司法」を目指すものであることが、有事立法の登場で浮き彫りになったのではないでしょうか。
前号の「まやかし『司法改革』は改憲の先取り・戦争への道」はいまひとつ理解しづらいという意見がありましたので、「司法改革」のあかつきには私の原審はどういうことになるか想定してみます。
まず取調段階で私選弁護人の依頼はほぼ不可能でしょう。私が中核派であることから組織犯罪対策法・団体規制法、国際的組織犯罪条約関連法等々の規制に よって、また刑事弁護を受任する弁護士の減少や刑事弁護ガイドラインによる規制のために私選弁護人は困難で国選弁護人を選任するほかないという事態になる ことは十分ありえます。その国選弁護人が、戦前の治安維持法に問われた被告に向かって言ったように「転向しないと弁護は引き受けられない」と転向を迫る可 能性も大です。

公判にあたって。争点整理の段階で困難にぶちあたります。審理計画は「目撃証人の信用性」にしぼられたとしても、多分、「目撃供述調書」は検察官面前調 書しか開示されないでしょう。原審でも事前開示は検面調書だけでした。さあ公判開始、ところが証人尋問を始めようとしたら、たちまち裁判官から「争点整理 にもとづく審理計画を逸脱するから」と制止されます。被告である私だけでなく弁護人も弁護活動を制限され、それでも頑張ったら懲戒請求されて弁護士資格剥 奪となりかねません。それどころか「証人保護」の名目で「不出頭許可」ということだってありえます。ということで防御・反証活動ともに為す術もなく公判は 進行して「有罪」。そのまま控訴審・上告審と進んで、確定。執行。満期出獄。

さて、再審請求したいのですが、どうしましょう。「目撃供述調書」は検面調書しか開示されておらず、員面調書(司法警察員面前調書―警官が作った調書) の存在は知り得ないのだから(原審では証人尋問をみっちりやり、検察官を弾劾し、裁判官を説得して、員面調書の開示を実現した。さらに、「目撃供述調書」 が34人分あることも引き出した。これができなくなるとはどういうことかを考えていただきたい)、途方に暮れるしかありません。

かくして再審開始は殆ど絶無に近くなることでしょう。それでも再審請求が絶えることはありません。なぜなら今以上に冤罪そして誤判が増えるからです。
組織的犯罪対策法が登場したときに再審裁判闘争もできなくなると訴えました。今度は刑事裁判が刑事裁判でなくなったうえに、直接の当事者はもちろんすべ ての人民がそれに異議の意思表示することすら封殺・罰せられます(新治安法制下では署名やカンパさえ処罰の対象になる)。
すべての人民があらゆる刑事裁判に対して当事者です。傍観者でいることはできません。一人の人権が侵されるとき、すべての人民の人権が踏みにじられているのですから。このことが、有事立法という凶悪な攻撃によって、かえってはっきりしてきました。
もはや一人の例外もなくすべての人民が歴史の岐路に立たされ、戦後民主主義のなかで培われてきた平和意識の内実を問われています。事態がここまで来て、 ここで立ち上がらなかったら、後世の人々にそしられても仕方ないでしょう。いまや陸・海・空・港湾労働者の20組合が生命と生活をかけて、有事立法阻止の たたかいにたちあがっています。

不屈に粘り強くたたかいぬいてきた富山再審闘争が広範な人民と合流・結合するときがきたのです。声を大にして「一人は万人のために、万人は一人のため に」の実践を訴えれば訴えるほど、それが巨大な物質力となるときを迎えました。有事立法粉砕・改憲阻止、まやかし「司法改革」粉砕のたたかいの高揚ととも に再審開始・無罪実現の勝利をかちとりましょう。   (富山保信)

STOP!有事法制  5・24大集会
(於・明治公園・午後6時開場)

 STOP!有事立法&まやかし「司法改革」  6・5弁護士・学者・労働者・民衆の集い
(於・弁護士会館・午後6時から)

 今回の大井町での署名集めの結果は、

山村・・・・・・4
亀・・・・・・・2
富山・・・・・・1
うり美・・・・・0

でした。

 署名板を持って駅頭に立ったものの「体調が今ひとつだな」とボォーとしていたのに、始めてすぐ、30 代の女性が近づいて来て署名してくださいました。そのあとも続けて署名する人がいて、結局4名で1番。うり美さんからは「棚ぼたじゃん」と言われ、富山さ んからは「なんで私がまいたビラを受け取ってそっちで署名するわけ?」というジトッとした視線を浴び、常勝の亀さんからは「フフン、たまにはね」とあしら われた次第です。 (山村)

 「明日の為の第25歩目(数えていなかった)。
1ヵ月早く梅雨がきたようです。かっぱが必要になりました」

というお便りとともに2000円お送り頂きました。ありがとうございました。