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ニュースNo.248(2009年5月25日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.248(2009年5月25日発行)◎集会報告
ビデオ紹介
アンケート大井町ビラまき報告

68名の方が参加してくださいました。 ありがとうございました。

裁判員制度に反対する阿藤周平さん

□ 再審集会報告

4月12日、東京・大井町駅前の「きゅりあん」で富山再審集会を行いました。「冤罪(えんざい)はなくなるのか―八海(やかい) 事件、福岡事件、富山(とみやま)事件から裁判員制度を検証する」という企画が時宜を得たこともあり、初めての方18人を含む68人の方に参加していただ き成功しました。
集会の冒頭、「八海事件から見る裁判員制度」と銘打ったビデオ上映。これが素晴らしい出来具合で、「よかった」「わかりやすい」と好評でした。ご希望の方は実費でお分けしますので、ぜひご連絡ください。

講演は、浜田寿美男さん(奈良女子大教授)、宮本弘典さん(関東学院大教授)、阿藤周平さん(八海事件元被告)。

供述分析の第一人者として甲山(かぶとやま)事件をはじめ数々の冤罪事件で鑑定書作成に取り組んできた浜田さんは、「『戦後最大の冤罪事件』と呼ばれる八 海事件だが、『戦後最大』と呼ばれるべき冤罪事件の枚挙にいとまがないのが日本の刑事裁判の現実」「裁判員制度によって冤罪は増え、刑事裁判のブラック ボックス化が進行する」と説明し、「日本の刑事裁判においては『事実認定は証拠に基づく』のではなく、証拠は事実認定によって決定されている」という実態 を、八海事件、福岡事件、富山事件を分析しながら指摘されました。
宮本さんは、「刑事裁判のもっとも重要な使命は提出された証拠に基づき無罪を発見すること。裁判員制度は、それに向けて制度を構築しているのか。否!」 「裁判員制度は危機に立った国家が、政治犯、階級闘争、社会闘争の一掃に向けて国民の動員を図るもの」「今でさえ絶望的な日本の刑事裁判の性質をさらに変 貌させて、異端審問、魔女裁判に変える」と喝破されました。
個人的感慨で恐縮ですが、宮本さんの発言の「無罪の発見」のくだりで亡くなった渡部保夫先生を思い出して(奇しくも4月12日は渡部先生の命日です)、ついほろりとしてしまいました。
  阿藤周平さんは高齢を押して上京されました。阿藤さんは、死刑と無罪を往き来する7回の裁判、18年を費やして雪冤を実現する闘いのなかで5人の死刑囚の 執行を見送った体験に踏まえ渾身の提起をされました。「人が人を裁くという相対的なものでしかない裁判で、死刑という絶対的な刑罰を科してはいけない。死 刑は国家権力による犯罪」「一握りの国家権力の手から裁判を国民の手に取り戻さなければならない。捜査、取り調べ過程をそのままにして裁判制度だけいじっ ても冤罪が増えるだけ。今も獄中で無実を訴える人たちの存在に思いをいたさなければならない。裁判員制度には絶対反対」との迫力と説得力に満ちた訴えに、 参加者は固唾をのんで聞き入りました。

今井恭平さん(ジャーナリスト)をコーディネーターとするシンポジウムにおいて、私(富山)は、以下のように訴えました。
「一審無罪は、目撃証人への丁寧な反対尋問が検察官によって隠蔽された供述調書の存在を暴き、証拠開示を実現させることによってかちとられた。だが裁判員 制度下では、公判前整理手続きによってこれは阻止され、再審の手がかりすら見いだせなくなる。改憲の先取りであり、隣人の処刑に否応なく加担させられるこ とによって人間性、階級性が解体・変質させられる」
弁護団報告にたった葉山岳夫弁護士は、証拠開示の死活性と裁判員制度の強行をゆるせば刑事裁判の形骸化・死がもたらされ、再審の展望は閉ざされてしまうとこのたたかいの重要性を解き明かし、いっそうの支援と決起を訴えられました。
人民の血税を使って繰り広げられる裁判員制度賛美キャンペーンにもかかわらず、最高裁の調査ですら82%が「裁判員制度反対!なりたくない!」と拒否感を 示しています。この現状の危機の深さを見抜き、うまずたゆまずその正体を暴いていけば必ず阻止できると実感できた集会でした。
  今回の上京には阿藤さんの奥さんも同行されました。感銘を受けたのは、奥さんが終始毅然たる姿勢で阿藤さんの発言に聞き入っていらっしゃったことです。や はり彼女は阿藤さんとともにたたかった戦友であり、同志であった、そして今も阿藤さんと志をともにされているのだと実感しました。学ぶことの多い集会でし た。そして、今回は様々な困難があったなかで、土屋さん(国賠ネット)や今井さん、Oさんはじめ多くの方にご協力いただいた集会でした。あらためてお礼申 し上げます。ありがとうございました。
再審実現にむけてがんばります。これからもご支援・ご協力をよろしくお願いします。

富山保信

ビデオ上映 「八海事件から見る裁判員制度」

 集会では「八海事件から見る裁判員制度」のビデオを上映をしました。約10分のビデオです。
八海事件元被告の阿藤周平さんに取材し、阿藤さんの自らの経験から裁判員制度に反対する言葉を収録し編集しました。

ご購入希望の方は、実費でおわけいたします。かちとる会までご連絡ください。

主演…阿藤周平さん(八海事件元被告)

取材…今井恭平さん、富山保信さん

企画・制作…無実の富山さんの再審無罪をかちとる会

 阿藤さんの発言より抜粋

 「やっぱり自分が死刑の執行を見ているから、その直前まで見ているからね、この目で。それが頭に残っているから、反対する理由のひとつにね。それを自分の死刑という問題と重なって死刑反対と。
陪審員も昔から僕は賛成だと。裁判は国民のものだと。やはり国民が裁くものだと、一握りの国家権力が裁くのは間違いだというのが私の持論です。それにだん だん近づいてきたようだが、中身を開けると、どうも作られたような裁判員制度になっているような気がしまして。一体なんのために、今頃になって裁判員制度 を。」

「裁判員制度に変わったって、裁判所そのものの内容と、検察官の取調べ、警察の密室の取調べを改善することがまず先です。それから徐々に裁判を国民の手に委ねる。僕はそのために大いにやろうと思いますよ。」

 アンケートより

 具体例、具体的事実、そして最も厳しい実体験をもって裁判員制度の誤りが明快に説かれ、反対の意思を強くしました。
阿藤さんになした権力のしうちの非道!裁判官の非道!それが体制の本質。(65歳/男性)

 久しぶりに阿藤さんの元気な姿、迫力ある話に感動。阿藤さんの参加だけで本集会は大成功。
そのうえで、講演、シンポともに内容が濃く、勉強になった。
富山さんの発言も説得力があった。具体例(富山裁判の)をあげて裁判員制度の問題点を鋭くつき出したところなどわかりやすい。
宮本先生の話はもっと詳しく聞きたかった。30分では短すぎて難解な点がいくつか。
裁判員制度をとりあげたことは企画上良かったと思います。(67歳/男性)

 大変勉強になりました。最近、父の事件にも遅まきながら興味が出てきまして、勉強していきたいと思います。お身体に気をつけ頑張って下さい。できる限り応援したいと思います。
本日はありがとうございました。(48歳/女性)

 阿藤さんの、国家権力による殺人としての死刑、裁判員制度反対の発言は迫力と説得力がありました。胸に響く言葉です。
宮本弘典先生の発言には全く賛成です。裁判員制度に対する根源的批判だと思います。無実の発見という営々たる刑事訴訟の根本に立った主張と思います。(72歳/男性)

 宮本さんのお話が非常にわかりやすく、本質をついた主張が胸をうちました。また、阿 藤さんの熱い想いは無実を訴え続けて今なお闘い続けている石川一雄さんとだぶってしまい、全てのえん罪を訴えている人達(富山さんも含めてです)を人民の もとに奪還したい!とつくづく考えました。さあ、具体的な闘いに立ちあがろう!(54歳/女性)

 過去の死刑を決せられた人の証言を交えての迫力ある討論(単に補いあうだけでなく)によりこの制度の本質に迫っているように思った。(66歳/男性)

 浜田先生が裁判員制度は「はじまるだろう。なんとか良いようになるように…」と言っておられたことに反対します。裁判員制度は、決してそのようなものではないと思います。
その点、宮本さんがその点について触れていたことについて納得しました。
阿藤周平さんの発言についてですが、説得力のあるものでした。(71歳/男性)

 八海事件の元被告の阿藤周平さんのハクリョクのある発言を聞いて、牧師も説得する意志の強さ、絶対に私は無実だ!死刑と無罪をくりかえす体験など、感動的話であった。(63歳/男性)

 裁判員制度がきわめて問題である事をあらためてよく理解できた。宮本先生の話を聞けて嬉しかった。シンポジウムは時間がないからしかたなかったかもしれないが、シンポジウムになっていなかった。裁判員制度では冤罪はどんどん増加する。反対です! (56歳/女性)

 宮本先生のお話が大変興味深く、又、参考になりました。
三氏の講演、その後の富山氏を含めたシンポジウムの内容は、“真実は強い”という富山氏と阿藤氏の共通点を縦糸に、専門家の鋭い指摘を浴びて、“裁判員制度”を批判し打ち破っていく大きな“力”となったと思います。(60歳/女性)

※ その他のアンケートは、次号で掲載いたします。

 

大井町ビラまき報告

・亀さん(療養中)
・富山さん……1
・山村さん……1
・うり美 ……0

もうすぐ四月だというのに、外は肌寒い。
今回は集会直前ということで、ビラまきに集中していた。
そんな時、富山さんの前に女性が現れ、すぐに署名をしていた。
さらに山村さんにも、「署名ならしますよ」と声をかけてきた男性がいた。その男性は、署名をした後「がんばってね」と微笑みながら立ち去っていった。
そんな光景を横目にしながら、気がついたら私だけが白紙の署名版をかかえていた。
うり美

大井町のYさんから

休載

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