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ニュース特別号(2010年1月25日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo特別号(2010年1月25日発行)◎東京高裁が検察官に証拠開示を勧告
富山再審弁護団声明

東京高裁(第4刑事部)が検察官に証拠開示を勧告

□ 東京高裁が検察官に証拠開示を勧告

□ 検察官は裁判所の勧告に従い証拠を開示せよ!

1月21日、東京高裁第4刑事部において三者協議が開かれ、門野博裁判長は検察官に対し公判未提出証拠を開示するよう勧告しました。
開示勧告の出た証拠は、
1.請求人の1975年1月13日逮捕当時 の写真
2.目撃者Aの供述調書、同人の取調べに関 する捜査報告書
3.目撃者Bの供述調書、同人の取調べに関 する捜査報告書
4.目撃者Cの供述調書、同人の取調べに関 する捜査報告書
5.目撃者Dの供述調書、同人の取調べに関 する捜査報告書
6.目撃者Eの供述調書、同人の取調べに関 する捜査報告書
7.その他の目撃者の供述調及び取調べに関 する捜査報告書
であり、捜査報告書には写真面割り、面通しに関するものを含むとされています。
実質的に、本件の全目撃者の供述調書、捜査報告書を開示すべきであるという裁判所の判断です。
異議審における証拠開示勧告は前例がなく、今回の勧告は画期的とも言えるものです。

弁護団は当初より証拠開示を求め、「意見書」や「上申書」を提出し、検察官や裁判所との折衝を繰り返してきました。
昨年10月、裁判所から、裁判所、弁護人、検察官による三者協議を行なう旨の連絡があり、11月24日に1回目の三者協議が開かれました。この三者協議の 場で、裁判所は検察官に対して、弁護人の主張に対する意見を1月13日までに提出するよう指示しました。1月13日、検察官は弁護人が求めているいずれの 証拠についても開示する必要はないとする意見書を出し、これに対し弁護人は反論の意見書を提出しました。
そして、1月21日の第2回三者協議において、裁判所は検察官に対し前記の証拠について開示を勧告したのです。
この勧告に対して検察官は、この場では回答できないとしました。これまで検察官は、弁護人との折衝の場で、裁判所の指示があれば検討するとか、裁判所が相 当性を認めれば開示しやすいなどと言ってきました。裁判所の開示勧告が出た今、検察官は裁判所の判断を尊重し、即刻、開示を行なうべきです。
再審請求申立てから16年近くの年月が経過し、異議審になってからも6年が経過しようとしています。
弁護団は、1994年6月20日、39点の新証拠とともに再審請求を申立てましたが、東京高裁第3刑事部の裁判官は、何の事実調べも行なわず、弁護人の証 拠開示の要求に対しても何ら動こうとはしませんでした。5人の裁判長が次々に代わり、「記録が膨大」とか、「他の控訴事件が忙しい」という理由にもならな い理由のもとに、富山再審は放置されているに等しい状態に置かれてきました。
そのあげくに、再審請求から10年経った2004年3月30日、中川武隆裁判長は、富山さんの訴えと弁護団の主張に一切耳を傾けることなく、再審請求を棄却したのです。
弁護団は異議申立てを行ない、異議審は東京高裁第4刑事部に係属しました。異議審において弁護団は、棄却決定に反論する数々の意見書を提出し、確定判決を 批判する渡部保夫先生(当時本件弁護人。2007年逝去)の意見書、証拠開示についての指宿信教授(当時立命館大学)の意見書、アメリカで目撃証言が誤っ た事例に関するビデオ映像やイノセンス・プロジェクトについての報告書等を提出してきました。証拠開示についても、東京高検に対して申入れを行ない、裁判 所に対して証拠開示命令を求めてきました。
なかなか動こうとしない裁判所に対し、弁護団は事態を打開すべく全力をあげてきました。それがようやく実を結びつつあるところまできたのです。
今回の開示勧告は、再審請求以来16年間(上告棄却から数えれば23年間)、再審無罪を確信し営々と積み重ねてきた努力が切り開いたものです。富山さんや 弁護団の訴え、「かちとる会」をはじめとする多くの方々の声が裁判所を動かし、裁判所をして、確定判決に疑問を抱かせ、確定判決が根拠としている証拠以外 の証拠も見て判断すべきと考えるところまでたどり着いたということだと思います。
未開示の証拠が明らかになれば、再審請求で提出した新証拠が、確定判決が根拠とする証拠の評価を揺るがし、再審開始・再審無罪に向って大きく前進するに違いありません。
今回の開示勧告に対して、検察官は開示を約束しませんでした。検察官は今後も開示に抵抗し続ける可能性があります。闘いはまさにこれからが正念場です。よ うやく切り開かれたこの地平のうえに証拠開示をかちとり、再審開始・再審無罪まで全力で闘いぬきたいと思います。今後ともみなさんのご支援をお願い致しま す。

最後になりましたが、ここに来るまで多くの方々のご支援を頂いたことに心より感謝致します。
また、この朗報を、再審開始を願い続けともに闘ってくださった佐藤齋一さん(1997年12月逝去)、木原伸生さん(2000年7月逝去)、木下信男さん (2003年7月逝去)、坂本竹夫さん(2008年3月逝去)にご報告するとともに、改めて、証拠開示をかちとり再審開始・再審無罪まで闘い抜くことを決 意したいと思います。 (山村)

□ 心から感謝するとともに、ご支援、ご協力をお願いします

 1994年6月の再審請求以来16年。「愚公、山を移す」に匹敵するようなたたかいを続けてきましたが、いよいよ山が動こうとしています。もちろん楽観は禁物で、たいへんなたたかいはこれからだといっそう気を引き締めてかからねばなりません。
しかし、これまでの糠に釘といった状態から少なくとも蟻の一穴をこじあけることには成功したのです。これをなんとしても堤防決壊=再審開始・無罪まで突き進めねばなりません。渾身の決起、粉骨砕身の奮闘あるのみです。がんばります。
この地平に立てたのも、弁護団、弁護団事務局、「かちとる会」のみなさん、そして多くのご支援、ご協力いただいているみなさんのご尽力のおかげです。心か ら感謝するとともに、これからもこれまで同様ご支援、ご協力いただくようお願いする次第です。よろしくお願いします。(富山保信)

弁護団声明

本日、東京高等裁判所第4刑事部は、1974年10月3日発生した殺人等被疑事件により、無実の罪に問われた富山保信(とみやまやすのぶ)氏の再審請求異議事件について、検察官に対して公判未提出証拠を開示するよう勧告した。
この勧告は、無辜の救済と実体的真実の発見という再審の目的を果たすうえで、大きい意義を持つ。特に、再審異議審での勧告は、初めてであり、えん罪に苦しむ人々を勇気づける点でも、意義は大きい。
弁護人は、36年間の弁護活動を通じ、富山氏の無実を確信している。今回の勧告は、富山氏の無実を明らかにするための、大きな一歩である。
検察官は、いたずらに従来の立場に拘泥し、手持ち証拠の開示を拒絶して、これ以上真実の顕出を妨げるべきではない。ただちに勧告に従って、証拠を開示し、公益の代表者として、無辜の救済に努めるべきである。
弁護人は、富山氏の無実を明らかにし、司法の正義を実現する日まで、今後も闘い続ける所存である。
2010年1月21日
富山(とみやま)再審弁護団

 

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