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ニュースNo.210(2006年3月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.210(2006年3月15日発行)◎富山再審の現状と異議審勝利の課題 葉山岳夫弁護士講演
茨城のTさんから
Uさんから

大井町ビラまき報告

集会を行います。ご参加ください。

とき  7月8日(土)午後6時半開始
ところ きゅりあん(map)

○講演   中川孝博さん(龍谷大学法学部助教授)
○発言   黒田純吉弁護士(富山再審弁護団)
○発言   阿藤周平さん(八海事件元被告)
【詳細は次号】

富山再審の現状と異議審勝利の課題

葉山岳夫弁護士

前号につづき葉山岳夫弁護士(富山再審弁護団)の講演を掲載します。

■ねばり強いたたかいで開示させた員面調書

一審で員面調書の開示がなされたわけでありますが、弁護団は、1年以上に渡って員面調書を開示せよと、開示しなければ反対尋問が十分 できないと要求し続けました。目撃証人に対する尋問については、まず主尋問を全部やらせたうえで、反対尋問を逐次やるという形でやりました。Oという証人 について、約10回の反対尋問を行いました。この目撃証人は、証言がくるくる変わって一体なにを目撃したのかわからないという状況で、裁判所も音を上げ て、ついに横田裁判長が検察官に対して、正確な証言を求めるためには事件直後の員面調書を開示することが肝要であるということで、員面調書を開示するよう 勧告を出した。この勧告に基づいて、しぶしぶ検察官が員面調書を出してきたわけであります。その員面調書の中身につきましては、当時の目撃証人が見た指揮 者とされる犯人の位置は、一審の公判に出廷した6人の目撃証人のうち、3人の証人については車道上で殴っている人が富山氏であったと言っているわけです。 もう1人は車道上で指揮をしているのが富山氏であるという証言になっています。あと2人は歩道上で指揮をしている、こういう形の供述になっています。つま り、同じ人間が、一方では車道上で殴っている、一方では車道上で指揮をしている、同時に歩道上で指揮をしている。つまり物理学的に絶対に矛盾することが員 面調書で記載されているわけです。これはどう見ても、絶対的矛盾に他ならない。これをこのまま放置するとえらいことになると思ったんでしょう。同じ人間が 同時に3ヶ所で動いているということになるわけですから。このようなあり得ないことをどう整合させるかというのが捜査官の間で大変な問題になっていたに違 いないわけです。
同じ人間が片方は歩道上で指揮している、同時に車道上で指揮をしている、さらには車道上で殴っている、これをなんとかしなければならないということで、 富山氏逮捕後に、検察庁公安部の遠藤、清沢、この検事がやったことは何かというと、富山氏の写真を特定したということはそのままにしておいて、目撃者が犯 人を目撃した場所をそれぞれ変えていくわけです。同じ人間が同時に別の場所にいるという矛盾したことは起こらないようにするという形で調書を変更した。目 撃者を誘導して、証言を強引に検面調書では変えたわけです。
例えば、「車道上で殴っていた」と言っていたKという証人については、関西ペイント近くで犯人たちが集結していた段階で見た、そのうちの1人が富山氏で あるというようなことを言わせる。もう1人の目撃者は、犯人たちが路地に逃げ込む時に見た、そのうちの1人が富山氏であったと変わる、それからもう1人 は、犯人たちが現場からカーブを曲がって逃げていく時に、運転していたタクシーの横の窓から見たと変わる。車道上で指揮していたと言っていたのは、歩道上 で指揮していたと変わる。結局、車道上で殴打をしていたという人はついに誰もいなくなってしまう。車道上にいたのでは具合が悪いので、そこからは誰一人い なくなってしまって、集結地点へ、歩道上の指揮へ、逃げていくときに見たへ、こういう形でうまい具合に矛盾は全くなくなるという形に作りあげた。これが遠 藤、清沢検事です。
これを元にして公判請求を行ったわけです。従って、員面調書の開示については、検察官は猛烈に抵抗しました。一切見せない。検面調書でさえも最初は見せ なかったんです。開示しても閲覧はさせるが謄写、コピーはさせないということ言いました。我々弁護団は、検察庁に出向いていって全て筆記したんです。
そういう形でようやく検面調書だけは手に入ったのですが、員面調書はさっき言ったように猛烈に抵抗したわけです。それもそのはずでありまして、員面調書 と検面調書では目撃した地点がまるで違う。それを整合させる形で検面調書は作られているのです。しかも一審で、目撃証人はいずれも長時間にわたる検察官の 事前の打合せ、テストを受けた上で公判に臨み、検面調書に記載された内容をそのまましゃべるということでありました。
現場を見ても、ほとんど覚えていないのが普通、これは後に言いますがH鑑定によって科学的に裏付けられています。ところが面割り写真で突きつけられて、 こうだろうという格好で写真の映像が脳裏に刻まれる、さらに面通しで写真の本人を見せる、それと法廷にいる本人が同じであることはあたりまえであって、結 局のところ、元の記憶はかき消されて二重、三重に刷り込まれた記憶が固定してしまう。それを法廷で証言するということになる。しかもそのことについて、恐 ろしいことではありますが、目撃者本人としては事実を歪曲して供述しているという意識は全くないわけです。こうした大変な矛盾を含む証言が法廷で展開され たわけであります。

■一審無罪、二審逆転有罪、上告棄却

そういう中で一審の判決が1981年3月5日に出され、無罪判決がなされたわけであります。この無罪判決につきましては詳しくは省略 しますが、いずれも目撃証人の証言について変遷きわまりないということで、証言の信用性について員面調書も含めて検討した上で信用ができないとしました。 Oという人の証言が特に甚だしい変遷をしたわけですが、一番近くで見たと言われている証人について信用性が全くないとした。それからIという証人について も証言の変遷があるというところで信用性を否定する。その他の証人についても同様であります。そのような形で無罪判決がなされたというわけであります。
ところが、控訴審においてほとんど同じ証拠、違っているのは新たにSという目撃者が出てきたということだけなんですが、同じ証拠で有罪判決を出した。萩 原太郎裁判長、それから小林充、これはのちに仙台高裁の長官になっているのが右陪席であった。組対法反対の集会に参加したということで寺西裁判官が懲戒処 分を受けるんですが、その時にこれを強行したのが仙台高裁の長官になった小林充でした。これが右陪席であった。もう1人は検察官出身の奥田という裁判官で した。この萩原裁判長、小林裁判官、奥田裁判官によってひっくりかえされて有罪になってしまう。
この不当きわまる有罪判決に対して、最高裁に上告したわけでありますが、最高裁は、弁護団の主張は単なる事実誤認の主張だというわけです。冗談ではない わけで、証拠の法則に違反する、経験則にも違反する等も含めて縷々上告理由のなかに書いたわけでありますが、これを十把一絡げにしたうえで単なる事実誤認 の主張にすぎないとを強弁して上告を棄却するという決定を出したわけです。
そこで、富山氏は10年の刑が確定し、未決勾留が700日だったかな、算入されはしましたが、大阪刑務所に行かざるを得ないという状況になってしまったわけです。

■許しがたい再審請求棄却決定

その後、再審の準備を積み重ねて、1994年6月20日に再審の請求を出しました。その後、当初は早川という裁判長、すぐに秋山とい う裁判長になり、秋山裁判長から島田裁判長になり、島田裁判長から仁田という裁判長になり、仁田裁判長が替わったかとおもうと最後の中川武隆裁判長に替わ るという状況でクルクルと裁判長が替わって、その間にほとんど実質的な審理がないという状況でした。最後の中川裁判長は、折衝に参加した弁護団の感想は、 「まるで反応がない」「何をいっても全然聞かない。初めから聞こうとしていない」という態度でありまして、やはり、2004年3月30日に再審請求棄却と いう決定を下しました。
この決定に対して、異議の申立を行って、現在、高裁第四刑事部の仙波厚裁判長のもとで審理をしているという状況です。
この再審棄却決定について、何がけしからんかと言いますと、再審の請求の際、有力な証拠として、717頁にわたる浜田寿美男先生による目撃証人の供述分 析を提出したわけです。富山事件の目撃供述について、心理学的知見からの供述分析を行って、余すところなく目撃証言が警察官あるいは検察官の誘導に基づく ものであるということを徹底的に明確にしたわけです。強度の誘導によって捜査官側の仮説がそのまま目撃供述として集約されたのだということについて、これ を明確にしたわけです。この浜田鑑定について、高裁第三刑事部は証拠の明白性、新規性がないということでこれを排除したわけです。
H先生は、認知心理学の立場から膨大な時間をかけて実験を行い鑑定書を提出しました。その実験はある大学の構内で、燐光群という劇団に頼みまして当時の 状況を再現しました。それを3つの方向から1カメ、2カメ、3カメという形でカメラにとって、当時のかなり生々しい状況について再現したビデオを作りまし た。そのビデオを全く何も知らない人に見せて、指揮者について特定ができたかどうかということをやったわけですが、正答率は全体の10%。本件で警察が言 うように26人の目撃証人のうち11名が富山氏の写真を特定したというのは、とんでもない不自然なことだということが判明したわけです。その鑑定書につい ても、再審請求棄却決定は、これは新規性、明白性がないというのでこれを排除するということでありました。
さらに、「一番良質だ」と確定判決でされているI証人についての鑑定についても棄却決定は排除しました。この鑑定は、目撃距離16・45メートルで、視 力は片方0.1~0.2、片方は0.3~0.4。最大でも0.4の視力の人が16・45メートルで見た場合について、その顔、形について特定できるのかと いう実験を行いました。そして、それはできないという科学的な根拠、実験に基づいた鑑定結果を提出したわけであります。それに対しても高裁三刑はこれを排 除すると。新規性、明白性がないので排除するという決定でした。そして、確定判決のとった判断は信用できると、目撃証言は信用できるという形で強引に再審 請求を蹴ったということなんです。不当きわまりないことです。
さらにOというタクシーの運転手の後ろに乗客として座っていたK、それからKの姉さんの証言を再審請求の中で出しています。この2人の乗客については、 一審のO証人に対する反対尋問の過程で、明らかにせよということを検察官に強くせまったのでありますが、検察官はしらをきって、「知らない」と、「私ども も知りたいくらいだ」と言っていたのであります。ところが、反対尋問の前に、私ともう1人の弁護人がOというタクシーの運転手に話を聞いたところ、ポロリ と乗客の1人は産経新聞の記者であると警察に言われたということを言った。それで、O証人がそう言っているんだから検察は知っているはずだから明らかにし ろと言ったんですが、検察官は言わない。検事は、記録は見たけど同乗者の行方は現段階ではわからないし捜査報告書もないと言ったわけです。ところがO証人 の員面調書が出てきたらびっくりで、員面調書の中には明確に「産経新聞のチケット番号5510、Kさん他1名を乗せ」というふうに記されているわけです。 これを検事は隠しとおしたわけです。嘘をついて、そういうものはない、あったならばこちらが知りたいくらいだとうそをついて、重要なKという目撃者につい て証拠を隠したんです。このKという目撃者については弁護団が捜し出して会い聞き取りをしています。その聞き取ったものを再審請求でも裁判所に出した。そ のことについても棄却決定は新規性、明白性がないと排除しました。これはとんでもないことです
アリバイはどうなのか。アリバイについて確かに荏原文化センターに行ったことについては認める、しかしながら、前進社第二ビルから出たうえで、山の手線 に乗って、タクシーに乗って、荏原文化センターに行ったというその間については富山氏と同じ仲間以外の証言がないから信用できない、どういう形で行ったか わからないが犯行を起こした後で荏原文化センターに行ったものと推測できるという、刑事裁判にあるまじき推測で、事件をやってから荏原文化センターに行っ たんだと、その証拠はないけれど推測できるという形で確定判決はつなげてしまったわけです。そのことについて、再審請求棄却決定もまた支持しているという 状況です。アリバイについては、請求人の側がすべて合理的に証明すべきだという、とんでもない間違った観点に立っているわけです。

■証拠開示の重要性

こういうことを異議申立書のなかで縷々説明して、その上で証拠の開示の必要性についても第四刑事部に行って折衝しているわけでありま す。証拠開示のポイントは、例えば先に言ったOという運転手の後ろの席にいて目撃したというKさんは、富山氏の写真を見て「この人は違う」と、細面で狐み たいな顔をしていた人であった、180センチなんて背の高い人ではなかったと明言しているわけです。弁護団が聞き取りして提出したKさんの証言を新規性、 明白性がないというのであれば、Kさんについての捜査報告書やKさんと一緒に乗っていたKさんのお姉さんの調書があるということを検察官は言ってるわけで すから、それを出すべきだと要求しています。証拠開示もせず、弁護人が出した証拠については、これを蹴るというのではあまりにも不公平であると思うわけで す。
それからIという確定判決が「最も良質な証人」と言っている目撃証人については、同じ状況を見ていたYという目撃者がいるわけです。その調書もあるとい うふうに検事は言っているわけです。しかし、これを開示しないという状況なわけなんです。絶対的にこれは開示する必要があると思います。
しかも逮捕の時には必ず正面からと横から写真を撮るのですが、本件の富山氏の逮捕写真もあると検察官は言いながら出さない。本件では、以前に逮捕された 時の写真で面割り等をやっているもんだから、本件の逮捕写真が出てくると具合が悪くなっちゃうんですね。ですから、普通の事件では、当然出てくる逮捕写真 でさえも検事は出そうとしないんです。
こういう不公正が通るようではとんでもない話なのであって、これは一種の検察官による犯罪行為でなかろうかと思うくらいです。証拠開示を強く迫るという ことをやっていきたい。弁護人としては一生懸命やっているのですが、運動的にも大いにやって頂きたい。運動というのは大衆的な行動、刑事訴訟法学者、刑法 学者等も含めて、とんでもないことが行われているということ強く告発する、そういう運動を広げないと証拠開示は勝ち取れないと思います。証拠開示を勝ち 取って、再審開始決定を勝ち取りたいと思っております。弁護団も一生懸命やりますが、みなさんのいっそうのご協力をお願いし、私からの報告を終わらせてい ただきたいと思います。

(おわり)

□茨城のTさんから

寒さ厳しきおり、ご自愛ください。
春はかならずやってきます!
大井町ビラまき報告、楽しみに読んでいます。富山さんがアッと驚くくらい署名をとれる日を祈って!

□Uさんから

「皆様によろしくお伝えください」

 というメッセージとともに13000円いただきました。ありがとうございました。

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・・5
うり美・・・0
山村・・・・0
富山・・・・2

今回からビラまきにOさんが参加してくれた。不思議なもので一人でも多いと力強く感じる。
その時、松山事件で被告とされた斎藤幸夫さんのお母さんのことが頭をよぎった。斎藤幸夫さんのお母さんは、世間の冷たい視線の中、たった一人で何も語る ことなく黙って署名を訴えていたという。一体どんな気持ちだったのだろう。孤独で厳しい闘いではなかったか。
しかし、来る日も来る日も息子は無実であるという強い信念のもと立ち続けたその姿は、やがて人々の心を捉え動かし一人また一人と署名が増えていったとい う。どのような形であれ、わかってくれる人はいるんだ。そんなことを考えながらビラまきをしていたら終了時間がきてしまった。
「あっという間だった」と私。「そりゃ、30分しかまいていない人と1時間では違う」と毒舌の山村さん。そうなのだ、この日は30分しか参加してなかった。返す言葉もございません。はい。
それにしても今年に入ってからというもの、ビラまき報告は私が担当になってしまいそうだ。次回こそは頑張ろう。 (うり美)

大井町のYさんから

休載

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ニュースNo.209(2006年2月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.209(2006年2月15日発行)◎富山再審の現状と異議審勝利の課題 葉山岳夫弁護士講演
横浜事件・再審判決弾劾
大崎事件。再審棄却確定弾劾

大井町ビラまき報告

富山再審の現状と異議審勝利の課題

葉山岳夫弁護士

昨年(2005年)11月12日に行われた富山再審集会での葉山岳夫弁護士(富山再審弁護団)の講演を今月号と次号に掲載します。

【初めて参加者された7名を含む59 名で行われた05年11・12集会】

富山再審の現状と異議審勝利の課題

 葉山岳夫弁護士講演

■富山再審の課題

みなさん、こんばんは。今日の集会にお集まり下さいまして、弁護団としてお礼申し上げます。
今、ご紹介にありましたように1975年1月以来弁護人として行動をしておりまして、すでに30年という年月になります。
富山再審の現在の課題について、まずお話したいと思います。
東京高裁第三刑事部の中川武隆裁判長が、2004年3月30日再審棄却決定を下しました。これに対する異議申立を2004年4月5日に行いました。3日 という申立期間の間に58頁という申立書を弁護団が総がかりで書き上げて提出したわけです。この異議申立を成功させ、そして棄却決定を取り消させ、再審開 始決定をかちとる、これが大きな戦略目標であります。
まず第一に、富山事件とは何なのかを明らかにしなければならないと思います。このパンフレット、あるいは集会のビラ等でも概略が記載してあり、要領よく 書いてありますので、およそそれで足りるわけでありますが、要約しますと、第一に富山保信氏は無実である、明らかな冤罪事件であるということが第一であり ます。
第二に富山氏に対する逮捕、起訴そして勾留は、国家権力によるところの犯罪行為であると思います。警察、検察による刑法194条、特別公務員職権乱用罪 に該当する犯罪行為によって、富山氏は逮捕、勾留、起訴されたと考えております。すなわち、警察が目撃証言をデッテあげ、さらに遠藤、清沢という公安部の 検察官が、司法警察員面前調書を整合させ、検面調書を作り上げ、これをもとにして公訴提起に臨んだという状況であります。すなわち富山事件は警察、検察に よる目撃証言のねつ造によって仕立てあげられた冤罪であると同時に、国家的な犯罪行為であると言わざるを得ないのであります。
この点については、今もって、無罪を証明する可能性の強い証拠を検察官が隠し続けているということからも明らかです。刑法の104条に証拠隠滅という項 があります。証拠を隠滅したものについては2年以下の懲役または20万円以下の罰金という、れっきとした刑法の規定があるわけです。本来、証拠として提出 すべき、あるいは証拠を開示しなければいけないものを開示しない、一貫して隠滅し続けている。こういう検事の態度そのものについては犯罪行為としても弾劾 されなければならない。そのような重大な違反行為であると考えざるを得ないのであります。これらのことを強く弾劾するとともに、今の仙波裁判長の下におけ る高裁第四刑事部で行われている異議申立事件、異議審と言いますが、この異議審で、いかにして検察官の手持ち証拠を開示させるか、異議審の勝利を勝ちとっ て再審棄却決定を取り消させ、再審開始を勝ちとるかということが緊急の課題になると思います。
証拠の開示を勝ちとる。隠されている証拠を白日のもとにさらけ出させたうえで、従来の証拠との矛盾、二審・確定判決が有罪とした「証拠」そのものが、き わめて脆弱なものであるということを明確にしたいと思っているわけであります。その過程を通して異議審を成功させ、再審開始決定を勝ち取りたいと思ってい るわけであります。そのためには、富山再審運動を全人民的な大衆運動として大展開させ、再審開始・再審無罪の訴えの正当性を、運動的にまた学問的に裁判所 に認めさせることが必要だと思います。

■アリバイの存在

まず、富山保信氏の被疑事実ですが、1974年10月3日の午後1時頃に、この「きゅりあん」のすぐそばの川崎実業という会社の前の 横断歩道手前のところで、革マル派の労働者が中核派の4名によって鉄パイプで殴られてその日に病院で死亡したという事件が発生したのであります。富山氏は この件に関して、1975年1月に「指揮者」として逮捕された。本人は逮捕直後から被疑事実を強く否定してアリバイを主張しました。これは接見した有賀 (あるが)弁護士、丸井弁護士に伝えられました。そして、私が担当した勾留理由開示公判においてもアリバイが存在することを主張し、以後一貫してアリバイ を主張しているわけであります。
事件のあった10月3日の午後1時頃には、富山氏は池袋の前進社第二ビルに居て、それから夕刻には荏原文化センターに行って、「上原武」名義で会館の使 用の申請をし、使用料を払って領収書を受け取るということをして帰ってきた。その途中で野外音楽堂の使用に関して、公園担当者に、その使用方法の一方的な 変更に対して抗議の電話を入れましたが、電話しても担当者がつかまらないという状況の中で、前進社第二ビルに帰ったという確固としたアリバイがあったわけ です。

■ずさんな写真選別、面通し

大井署に置かれた警視庁の捜査本部は、目撃者に対し面割り写真を見せ、犯人の割り出しを行おうとしました。約118枚の写真を、目撃 者に「この中に犯人がいるかよく見てください」ということで示したわけです。この118枚の写真は、いずれも、いわゆる中核派の活動家の写真でありまし た。中核派がやった事件で中核派の活動家の写真を示す、そういう意味からいうと空くじなしという仕組みになっていたわけです。
この写真面割りで、一番先にTという人が、富山氏の写真を「犯人に似ている」として特定したと言われています。検察官は、控訴審になるまで一番先に特定 したのは誰なのかということを隠し続けていました。控訴審の段階で、このTという目撃者が特定したということがわかったのであります。そのTという人は糖 尿病を患っていて、控訴審の段階では目が見えなかったということで結局証人としては出廷しないという状況でした。控訴審の段階でにわかに目が悪くなったの か、それとも事件当時から目が悪かったのかについてはわからずじまいです。最初に特定をしたというのでありますが、いかなる状況でどういう特定をしたのか というのは、ついにわからないという状況です。
しかし、富山氏の写真をまず選んだということで警察は色めきたったわけであります。そこでもう抜きがたい先入観が警察の方でできてしまいます。さらに、 他の目撃者に対して、富山氏の写真を指し示すというふうな形で、他の目撃者も「これかもしれない」、「よく似ている」というかたちで富山氏の写真を選びだ すわけであります。「似ている」という段階から、繰り返し調書を取っていく過程で、段々と「これに間違いない」という形で証言が変遷し、最後には固まって いくという過程をとるわけであります。
その過程で本人を逮捕、そこで面通しをする。写真で固まったところで本人を単独面通しする。現在の刑事事件の動きとしても、特にイギリス等では絶対に行 うべきではないとされている単独面通しを行いまして、「この人に間違いない」と特定させている。写真で選ばせて、その本人を単独面通しさせる。写真の人物 を単独面通しするわけですから、写真とその本人が間違いないのは明らかなわけです。それでは確認したことにならない。目撃者は元々の記憶ではなく選んだ写 真の印象で判断している。そういう形で確認したと称したわけであります。
さらに「最も質のよい証人」と言われた目撃者を狭山裁判の集会につれて行きまして、「この中にあなたが選んだ者がいるんだ。それを探してください」と 言ったんですが、その目撃者は探すことができなかった。そこで警視庁公安部の警察官が「あそこにいる、あの人ですか」と富山氏を指し示して、「どうです か」と、それでやっと目撃者は、「そういえばあの人だ」という形で特定してるわけです。
それからもう1人については、タクシーの運転手ですが、これもやはり集会の場に連れて行って、荷物の積み下ろしをしている富山氏を見せて、これもまた警 察に指し示されて本人であるということを特定している。このような杜撰きわまる特定の方法で、富山氏を犯人だとするということがあったわけです。

■本件の目撃者

当時、白昼の午後1時、しかも駅のすぐ近所ですから人通りはかなりあったわけです。その中で目撃したと称する人は、約40名いたんだ と控訴審で警察官が証言しました。そのうちで調書が取れたのが34名。その34名がいずれも富山氏を特定したのかと言えば、とんでもない話でありまして 34名のうち26名だけが面割りに応じたということで、さらに26名のうちの11名について、1枚について特定したという目撃者もいるし、これとこれとこ れという形で複数の人物の写真を特定したという目撃者も含めまして、11名が富山氏の写真を特定したというわけです。その中で、裁判で調書が開示されたの は、先に言いました糖尿病を患って失明してしまった人を加えて7名。証人として出廷した人は6名ということです。結局、40名の目撃者のうち明らかになっ たのは7名でした。
これらの目撃者の供述調書については、まず検面調書が開示され、1年以上にわたる証拠開示の要求をしたうえで、ようやく警察の司法警察員面前調書いわゆ る員面調書が出てくるというものでありました。34名のうちの7名、残りの27名については明らかにされていません。この27名の中に、事件を目撃し供述 はしたんだけれども、富山氏については特定しなかったという目撃者がいることは間違いない。そういう中で、たまたま特定したものについて6名、のちに1名 の目撃者の調書が開示されて7名ですが、それをつまみ食い的に目撃証言らしく仕立てあげていくという過程で証拠が作り上げられていったわけであります。

■供述の変遷

これもパンフレットにありますが、例えば年齢でいうと、これがばらつきがありまして、Yという証人については、当初は、「20歳くら い」と言っていた。それが段々と、「指揮者」が富山氏だと警察がねらいをつけた段階で「24~25歳」へ、富山氏が逮捕された段階でにわかにこれが 「25~26歳」へと変化していく。
Sという証人も「23、24歳」という証言が、「25歳~26歳くらい」に年齢が上がっていく。
逆にIという証人は、「30~35歳くらい」と言っていたのですが、それが富山氏が逮捕された後では「25~28歳位」というかたちで、いずれも富山氏 の当時の年齢26歳に合わせる形で変わっていく。しかも、いかなる根拠で変わるのか、全然説明がない。警察による強度の誘導がそこに加えられていることが 明らかです。
それから身長についても、Yという証人は、当初「165センチ」といったのですが、「170~172センチくらい」になったり、さらには 「175~180センチ」に、そして最後には「180センチ」に、どんどん伸びていく。要するに富山氏の身長に近づけて変わっていく。捜査官による強度の 誘導以外にこの変遷の理由は考えられない。
Tという証人についても170センチから180センチ、177くらいというふうにあがっている。
体格については、Sと言う証人やO、Kという証人は、「やせ型だ」と当初は言っていたのですが、これが「がっちり」という体格に供述が変わっていく。 Y、Kという証人は「中肉」だといったのが、これまた「がっちり」に変わるという形で、富山氏の体型に合わせて供述が変わっていく。
人間の記憶が、例えば「165センチ」の身長と言っていたのが、「180センチ」に記憶がよみがえるとか、「やせ型」の人が「がっちりした体格」に記憶 が変わっていくということはおよそ考えられないことです。それを捜査官は、富山氏の顔つき、体型、年齢に合わせていくという作業を行ったわけです。
(つづく)

□横浜事件再審裁判・免訴判決を弾劾する

【2002年6月富山再審集会で発言される木下信男先生】

 2月9日、横浜地裁は横浜事件の再審裁判において「免訴」の判決を宣告した。破廉恥きわまりない、ゆるせない判決だ。
「免訴」とは、わかりやすく言えば「無かったことにする」「忘れろ」ということではないか。こんな卑劣な開き直りがゆるされると思っているのか。通用すると思っているのか。
そもそも「日本共産党の再建計画」という砂上の楼閣をでっち上げて逮捕、拷問を加え、獄死者まで出す暴虐を行った警察・検察とともに、戦後のどさくさの 中で「有罪」宣告のみか関係資料の焼却・隠滅にまで手を貸したのは裁判所ではないか。その張本人が形式論に逃げ込み、「特殊な状況下で訴訟記録が廃棄さ れ、再審開始が遅れたことは、誠に残念」と他人事(ひとごと)のように述べるのだ。こんな無責任な話はない。
故木下信男(横浜事件の再審を実現しよう!全国ネットワーク代表)先生は富山再審のビデオで「島田事件で、赤堀さんを死刑囚として30年間も投獄してお きながら、責任をとった裁判官は誰もいない。これひとつとっても、いかに日本の司法が腐敗しているかをものがたっている」と弾劾されているが、免訴判決は 腐敗の極致をゆくものだ。横浜事件の被告たちは拷問で「罪」をでっち上げられ、「有罪」を宣告されたのだ。この弾圧によって殺された人もいる。塗炭の苦し みを味あわされたのだ。きちんと責任を明らかにして、再審無罪を宣告するのが道理というものだ。こんな不当判決をまかり通らせてはならない。横浜事件の再 審請求人・弁護団、支援の人々と連帯し、再審無罪をかちとるためにたたかおう。
(富山)

□大崎事件の再審請求棄却確定を弾劾する

最高裁第三小法廷は、1月30日付で、大崎事件の再審請求人である原口アヤ子さんの特別抗告を棄却する決定を行った。これによっ て鹿児島地裁の再審開始決定(2002年3月26日)を取り消し、再審請求を棄却した福岡高裁宮崎支部の決定(2004年12月9日)が確定した。ゆるせ ないことである。
再審開始決定が覆され、最高裁で確定したのは、白鳥決定以降では日産サニー事件に次いで2例目である。

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・・・6
うり美・・・・0
山村・・・・・1
富山・・・・・1

ビラまき開始時刻、山村さんより携帯電話が「早く来い!早く来い!」と鳴っていた。私は、まだ電車の中だった。開始より少し遅れての 参加。なんとか署名をとって挽回しなければ、と気持ちだけが焦る。早々に富山さんが署名を取っている光景が飛び込んでくる。弾むように満面の笑みを浮かべ て余裕綽々。なんだか嫌な予感。この調子だと新年早々のビラまき報告はわたしか!などと考えていたら、案の定そうなってしまった。
この日、新たにOさんがビラまきに参加しようと駅に来てくれていたらしいが、いまや大井町は改札出口が多数あり私たちと遭遇できなかった。Oさんは、そ の後の定例会にも初参加。その中で初めての人にもわかる事件説明を、という貴重な意見がだされた。わかっていることが前提になっていた定例会に反省点は多 い。事件現場、アリバイコースも過去に何度も見てきている。私たちはそれでやりきった気になっていないか。もう一度、運動も原点に立ち返ってみつめ直すと いうことが必要だろう。  (うり美)

大井町のYさんから

休載

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ニュースNo.208(2006年01月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.208(2006年01月15日発行)◎新年のあいさつ
「かちとる会」にきた年賀状から
松元ヒロさんのソロライヴへのお誘い
書評『目撃供述・識別手続きに関するガイドライン』

□大井町ビラまき報告(休載)

今年もよろしくお願い致します

□新年のあいさつ

 1995年12月19日の出獄から、もう10年がたちました。世の中全体に「これまで通りにはやっていけない」という認識が広 く、深く定着するなかで、「富山事件」=無実の訴えが着実かつ確実に市民権を拡大しつつあります。しかし、本当に〈貫徹力〉が発揮されなければいけないの は、今であり、これからです。原点に立ち返り、がんばります。今年もよろしくお願いいたします。 (富山)

□新年のあいさつ

 新たな年が明けた。今年こそ「開かずの扉」といわれる再審の門を開かせたい。その為には富山事件が冤罪であることを広範な人々に認知させ継承すること。そして、たゆまない運動の継続の必要性を感じる。
再審闘争は、まさに茨の道ともいえる。好き好んで歩む人はいないだろう。しかし、闘わなければ再審開始、再審無罪はない。人間の尊厳にかけても再審無罪を勝ち取らなくてはならない。(うり美)

□新年の一言

 最近は小泉によって世の中が戦争へ向かって進んでいる。
権力から個人の自由、人権を守らなくてはいけないと思う。
裁判も権力に左右されないようにお願いしたい。 (大井町のAさん)

□亀の一言『虚偽問題』

 日本の社会を揺るがしている建築物の耐震強度・構造計算偽造問題。米国ではブッシュ大統領が開戦の理由にした「イラクの大量破壊兵器(核兵器)保持」が全くの虚偽であった。韓国ではESねつ造。等々、次から次に明らかになる偽造、ねつ造は怒りなくして語れません。
嘘をつく人達に共通しているのは、それによって殺される人々や被害に遭う人々の痛みや苦しみをなんとも思わない、自分たちの利益や都合を優先させて犠牲 は顧みない、真実などどうでもいいと開き直っていることです。自分たちこそ正しい、社会を動かしているのだから当然だ、と思いこんでいるとんでもない人た ちです。
なぜ、何時からこんなことになってしまったのか。それは自分の周りに平然と嘘、虚偽が正されず居座っているからです。
富山事件がそうです。富山さんを事件現場で見たという証言は全て嘘です。怒り無くして語れない証人にA証人がいます。
この証人は有罪を立証する「有力な証人」と裁判所が認定した人物です。しかし、とんでもない嘘つきです。4つのことを指摘します。
視力と距離の問題。視力0・2から0・4のAが、16・45㍍の距離から人の顔の識別ができたという嘘。実験の結果、その視力と距離では顔の識別は絶対に不可能であることが明らかになっています。
Aは事件現場を見たのか。Aには同伴者がいます。その同伴者は、A証人とは違う証言をしている可能性があります。この同伴者の証言は、当然、警察で調書 に取られています。Aと同伴者のどちらの言っていることが正しいのかは、調書を開示すれば明らかになります。しかし、調書はいまだに開示されず、隠された ままです。
1人の人間を3人の人間が殴っている場面よりも、そこから数メートル離れて立っていた人物の方に興味がいったのでよく見ていたという嘘(他の証人のなかには、「『逃げろ』の声を聞いて初めて事件の関係者だとわかった」と証言している人がいる)。
社会的地位が高いから信用がおけるという裁判所の認定。それでは、米国の大統領、姉歯一級建築士、建設会社の経営者たちは信用出来る人たちだったのか、彼らこそ嘘つきではなかったのか。等々。
この富山再審闘争で明らかになっている嘘を司法に認めさせ、「無実は無罪に」を実現させることが、嘘が大手を振ってまかり通る社会を作り変える第一歩です。富山さんの再審・無罪を実現するためにがんばりましょう。 (亀)

 今年も新たな年が明けた。

 1987年11月の上告棄却後、再審を準備し始めてから18年、1994年6月20日に再審請求書を提出してから11年半が経過 している。日々は時間に追われ忙しく過ぎ去っていくが、過ぎてみるとなんと長い歳月か。富山さんにすれば、逮捕以来31年であり、奪われた月日を思う時、 こんな感慨に浸っているどころではないだろうが、最近、頓に、つくづく長い闘いだと思うことがある。そして、思うのは、長期にわたる闘いだからこそ、常に 原点に立ち戻ってみることが必要ではないかということである。もう一度、原点にもどってみよう。長期の闘いであるからこそ、原点を見失ってはならない。
もうひとつ思ったのは、最初から見直してみるということである。これまでの記録や証拠類をもう一度見直してみようと思った。これまで当然と考えていたこ とも、別の見方ができるかもしれない。別の観点から見えてくるものがあるかもしれない。もっといろいろな闘い方があるかもしれない。異議審は正念場であ り、やるべきことは山積している。しかし、だからこそ、もう一度、最初から見直してみることも必要ではないかと思った。
ということで、今年もまた頑張ります。 (山村)

□「かちとる会」に来た年賀状から

(阿藤周平さん)     (青柳晃玄さん)

(再審準備中のIさん)   (大槻泰生さん)

(Mさん)  (Mさん)

(杉並のYさん)   (櫻井善作さん)

(杉並のAさん)   (伊藤純子さん)

(小野正春さん)   (広島の松野さん)

(袴田再審のために奮闘中の平野雄一さん)   (神戸市民救援会議)

(飯島豊さん)

(救援連絡センター)

(三浦和義さん)   (国賠ネットの土屋翼さん)

(大井町のKさん)   (森研一さん)

【松元ヒロさんのソロライヴへのお誘い】

3月8日(水)から12日(日)まで松元ヒロさんのソロライヴがあります。

笑う門には福来たる。お時間のとれる方はぜひお出かけください。おなかの皮がよじれること請け合いです。

○詳しい日程などは、(ファンクラブ「松元ヒロを応援する愉快な仲間たち/ヒロポンの会」ホームページ)に紹介されています。

http://www.winterdesign.net/hiropon/

□書評『目撃供述・識別手続きに関するガイドライン』

(「現代人文社」発行・2800円)

土屋翼(国賠ネットワーク)

  目撃証言は曖昧である。曖昧さ故に目撃証言をでっち上げられた冤罪は多い。2000年11月に立ち上がった「法と心理学会」は、設立当初から、目撃のガイ ドラインを作ることを意図し、できあがった労作が本書である。英・米にはすでにガイドラインがある。この列島にも早急にガイドラインに沿った第三者機関を 立ち上げたいものである。第三者機関といっても、マンション構造偽造に端的なように、万全ではないが、われわれが見守り人権が守られる列島を早急に構築し たいものである。
本は三部構成である。Ⅰ部は目撃供述・識別手続きに関するガイドラインのガイダンスである。「目撃供述は、あくまで事実についての仮説であることを忘れ てはならない。そこには種々の誤謬の可能性がひそむ。その誤謬は、収集された目撃供述を証拠段階で発生するだけでなく、何よりも収集段階で発生する。した がって目撃者にたずさわる者は、仮説検証的姿勢をとることを基本原則とすべきであり・・・」という基本的姿勢で、目撃供述聴取手続き、識別手続き、写真面 割を行うべきであり、その全課程は可視化され、全面開示されなければならないとある。Ⅱ部はⅠ部の解説で8章に分かれており、それぞれにその章の執筆者以 外の人から、解説さらに判例がある。この1章には「証拠は動く」の例として富山さんの事件があり、7人の目撃者の供述が3ヶ月半の期間で、例えば年齢が 20歳~35歳だったものが、24歳~28歳に収束していくことが書かれている。
Ⅲ部は「法と心理学の架け橋をもとめて」で、目撃証言(知的障害園児)が大きく裁判を動かした例として「甲山事件」が紹介され、知的障害者、子どもなどの目撃供述の聴取の仕方のガイドラインが詳細に丁寧に書かれている。
「既知の人の目撃は信用されやすいがそうではない」ともある。沢山の眼から鱗がある。ぜひこの本を読まれることを薦める。
「被疑者特定前の写真面割」は、犯人絞り込みには使われるにしても特定は否定されるガイドラインではあるが、特定に使われた被害者として、御崎さん(逮 捕令状国賠原告)の勝訴判決が書かれている。そして、その後の二審では逆転敗訴しているので、ぜひ継続した本の出版を強く望むものである。さらに要望とし ては、この本の執筆者は22名、法学系9名、心理学系12名、弁護士1名である。裁判官、検察官の執筆者は論外としても、この継続版には多数の弁護士の執 筆を希望するものである。

【『救援』第441号・2006年1月10日発行より、筆者の許可を得て転載しました】

 

大井町ビラまき報告

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大井町のYさんから

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ニュースNo.207(2005年12月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.207(2005年12月15日発行)◎立川反戦ビラ弾圧」裁判・二審 「逆転有罪」判決を弾劾する
証拠開示をめぐっての攻防

大井町ビラまき報告

立川反戦ビラ弾圧

東京高裁第3刑事部

(裁判長‐中川武隆)の

不当な

「逆転有罪」判決を

弾劾する

□「立川反戦ビラ弾圧」裁判   二審「逆転有罪」判決を弾劾する

12月9日、東京高裁第3刑事部は「立川反戦ビラ弾圧」裁判の一審無罪判決を取り消し、逆転有罪を言い渡した。言うまでもなく、裁判長は私の再審請求を 棄却した中川武隆である。治安判事の正体を示してあまりある判決といえよう。こんな三百代言的言辞を弄する人物が裁判官としてまかり通り、ロー・スクール への「天下り」を狙っているというのだから、「司法改革」のまやかし性も明らかというものだ。
「立川反戦ビラ弾圧」は、自衛隊のイラク派兵に対して「派兵反対」のビラを自衛隊の官舎に配布したことをもって「住居侵入」で逮捕・起訴・75日間拘禁 した不当弾圧である。国外への侵略が強行されるとき、国内で治安弾圧が横行するの見本であり、権力の意に反する意見はそもそも表明することすらゆるさない という国家意志・国家暴力の発動にほかならない。じっさい、杉並の公園のトイレの「反戦落書き」への「器物損壊」逮捕・起訴・有罪、葛飾区での共産党のパ ンフレット配布への逮捕・起訴、町田・世田谷・江戸川でのビラ配布への逮捕、米軍厚木基地・嘉手納基地監視行動への逮捕等々、枚挙に暇がないほど不当弾圧 が連続している。
一審無罪判決(2004年12月17日)は、こうした暴虐に対する広範な怒りに包囲されるなかでかちとられた当然の権利の追認であるが、貴重な成果であった。

だから、
「判例からすると有罪の可能性が濃厚だったが、表現の自由の趣旨に照らし、無罪とした判決は画期的で高く評価できる。政治的議論を封鎖することにつなが る事件の背景を性格に見抜き、違法性を形式的に解釈せず、実質的にとらえたもので、国民感情にそった血の通った判決だ。」(村岡啓一・一橋大教授、「毎 日」2004/12/17)
というまっとうなコメントが、素直に受け入れられたのだ。

そして、
「無罪の結論は支持できる。憲法の表現の自由の保障に照らし違法性がないというもので、適切だ。ただ、事件の基本的問題点が正しく司法判断を受けたかと いうと疑問もある。そもそも「基本的に無党派の立場」(判決文)で活動する市民グループの運動に、刑事罰と過剰な強制捜査で対応したこと自体、批判の対象 となるべきだ。起訴価値が大きいとは考えにくい。「住居侵入」で起訴した検察側には首をかしげざるをえない。一連の捜査の過程で失われたものは大きいはず で、この種の捜査・起訴を繰り返してはならない。」(白取祐司・北大教授、「朝日」2004/12/17)
という指摘は当然である。商業紙の、検察の拘留延期の請求を認めた裁判所の責任を指摘する主張も広範な世論の存在を背景として生み出されたのだ。
「日本ではあまりにも政治的自由が主張され過ぎて私的領域の個人の自由への配慮が不足しており、改める必要があると思う。ミスを犯した判決だと思う」 (渥美東洋・中大教授)「宿舎の管理者が立ち入りを拒否しているのは明白で、立入禁止に(強い弱いの)程度はない。裁判所は立ち入り拒否の程度やプライバ シー侵害の程度が低いと判断したが、住居侵入の違法性がゼロでない限り、居住者は保護されるべきであり、量刑で判断すべきだ」(土本武司・帝京大教授)と いう反動的愚論と、先述のまっとうな刑事法学者のまっとうな判断のどちらが説得力をもつかは明白だ。金と権力にあかせて「政治的自由を主張し過ぎている」 小泉政権の下僕である司法権力のさらに下僕の渥美は、この腐りきった現実をまともに批判したことがあるのか。野放図に投げ入れられる宅配ピザのちらしはと もかく、「自衛隊員募集」のちらしが意図的に野放しであることに土本は触れようとしない。税金で食っている自衛隊員(建前は「公務員」のはずだ。実態は 「私務員」とはいえ)がイラクに派兵されようとするとき、官舎に「殺しに行くな、殺されに行くな」「殺しに行かせるな、殺されに行かせるな」というビラを 配布するのは「国民としての義務」というべきではないのか。自衛隊のイラク派兵があきらかに「交戦権の行使」であることは、形式論者にも否定できない事実 ではないか。これでは御用学者としても水準が低すぎて御用済みになるのを心配した方がよいのではないか、と余計なおせっかいを焼きたくなる。

  二審・「逆転有罪」判決は、国家権力・裁判所がよってたつはずの憲法すらあからさまに踏みにじり、治安弾圧にフリーハンドを与えるものだ。公務員・教職 員・外国人のいっさいの意思表明の権利を奪い、封殺して、クーデターに等しいやり方で一気に憲法改悪をやりとげようという「国民投票法」の制定への道を掃 き清める役割を果たそうとしている。いっせいに非難と弾劾の声があがったのは当然だ。大切なのは、現実の裁判においても無罪をかちとり、治安弾圧・治安判 決を叩きつぶすことだ。
こんな反動判決がまかり通っていて、再審が実現するはずはない。あんな不当判決を下した中川が大手を振って社会生活を送ることなど絶対に許してはならな い。「立川反戦ビラ弾圧」とたたかうみなさんと連帯して、無罪獲得をめざしてともにたたかおう。
(富山)

□検察官は隠し持っている証拠を開示せよ!

裁判所は、検察官に対し証拠開示命令を!

 ―証拠開示をめぐっての攻防

ニュース203号で、弁護団の証拠開示要求に対し、検察官は開示を拒否するのみか、弁護団への回答すら拒否していることについて述べた。その後、5ヶ月が経過しても、検察官から弁護団に対しなんらの回答もない。許しがたいことである。
これに対し弁護団は、証拠開示の必要性とともに、検察官の対応について明らかにした書面を作成、10月24日、裁判所に上申書として提出した。この上申書 には、1994年6月20日の再審請求以降、今日までの、証拠開示についての検察官および裁判所との折衝経過が23ページにわたって一覧表として添付され ており、一読すれば証拠開示をめぐっての経過が詳しくわかるようになっている。
弁護団は、上申書を提出した翌25日、東京高裁第4刑事部と折衝をおこない、上申書の内容を説明、開示を拒否し続ける検察官の不当性と証拠開示の必要性を明らかにし、検察官に対し裁判所が証拠開示命令を出すよう強く求めた。
弁護団の上申書を掲載する。

2005年10月24日付東京高等裁判所第4刑事部あて上申書

請求人富山保信にかかる殺人等再審請求異議申立事件につき、下記の通り上申いたします。

弁護人らは、御庁に対して、2004年11月2日付で本件に関する証拠開示を求める上申書を提出しました。その後、本年5月24日に行われた御庁との折 衝において、御庁より、証拠開示に関する検察官の意向はどのようなものかについて質問をいただきました。
これを受け弁護人らは、あらためて、本年7月1日に東京高等検察庁検察官に対して面会を申し入れ、公判未提出の記録、証拠物に関する証拠開示を求めまし た。さらに、その趣旨を同月8日付申入書に記載して提出しました(遺憾なことに、これに対する回答は今日に至るも弁護人らのもとに届いておりません)。
そこで、御庁に対しては、上述の最近の折衝経過に関する報告を含め、再審請求申立以降、これまでに弁護人らが裁判所及び検察官に対してどのように証拠開 示を求めて来たか、これに対する検察官の対応はどのようであったかを明らかにしておく必要があろうと考えます。その資料として、別紙「証拠開示についての 折衝経過」(以下、「折衝経過」と言います)を添付いたします。
「折衝経過」によれば、弁護人らは検察官に対して、本件における証拠開示の必要性を繰り返し説明し、担当の検察官も、各々、検討を加えたことが判りま す。1998年7月30日折衝以降のN検察官の対応(「折衝経過」2頁以下)、2000年12月11日折衝以降のO検察官の対応(同10頁以下)が、検察 官としての検討状況を示しています。
検討の結果、検察庁としての結論は、いずれも開示には応じられない、というものでした。しかし、O検察官が、「裁判所から命令が出れば仕方がないと思う が、裁判所がどう判断するか、裁判所が相当性を認めればこちらも開示しやすい。」(「折衝経過」16頁)、と述べるように、検察庁としては、自ら開示を行 うことはできないが、裁判所の証拠開示命令があればそれに従う、との意向を示しているように思われます。
その後のK検察官、Oa検察官の対応も、この問題に関しては、裁判所の判断如何であると考えていることを示しています。
ところで、本年11月1日施行の改正刑事訴訟法は、「公判前整理手続」において、新たな証拠開示の制度を定め、とくに、検察官手持ちの証拠に関して、 316条の15(類型証拠開示)、316条の20(主張関連証拠開示)の二つの開示規定を定め、検察官が開示をしなかった場合には、316条の26により 裁判所に対して裁定を求めることができることとなりました。刑事訴訟法は、証拠開示に関して、大きな一歩を踏み出しました。
この趣旨は、本件においても充分に尊重されなければなりません。たとえば、Yの供述調書、請求人は犯人ではないと供述しているK、Kyらの供述録取書・ 事情聴取報告書、その他の目撃者の供述調書等、及び、目撃者に対する面通し等に関する捜査報告書等は、改正刑事訴訟法では316条の15、1項6号の「被 告人以外の者の供述録取書等であって、検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの」に該当し、請求 人の逮捕写真は、同項1号の「証拠物」に該当します。また例えば、請求人のアリバイに関する捜査資料等は、同条の20が規定する、「(弁護人の)主張に関 連すると認められるもの」に該当すると考えられます。そして、上記各条項が要求する開示の要件が存在することは明らかです。本件が改正刑事訴訟法の下で審 理され、公判前整理手続が行われていたとすれば、これらの証拠は、弁護人に対して当然開示されなければならず、検察官が開示していないときは裁判所が開示 を命じなければならないものであることも明らかです。
以上、弁護人らとしては、検察官に面会して何度も証拠開示を求めたにもかかわらず、検察官は任意に証拠開示を行おうとはしておりません。御庁におかれては、今こそ、弁護人らの請求に基づく証拠開示を検察官に対して命ずるべきだと考えます。
以上

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・・0
うり美・・・・0
山村・・・・0
富山・・・・・0

寒かった。そして、なんとなく日が暮れるのが早く感じられる暗い日だった。
私は寒さには強い。獄中にいる時も、夏の暑さに比べれば冬の方がまだましだった。なにしろ獄中ではいくら暑くても裸になる以上のことはできない。そし て、その裸になることが簡単にはできないときている。では、寒さはたいしたことはないのかとなると、これまたたいへん寒いのだが、それでも身近に獄中で凍 死した例を知らない。反対に、大阪刑務所で数房隣の若いやくざ氏が一晩で暑さと熱(42度)のために死んだ(殺された)のを体験している。結局、暑さで弛 緩するよりは身が引き締まるくらいの寒さの方が怠け者の私にとってはためになるということもあって、元々好きな寒い方が獄中にあってはまだ好ましかったの だ。その私が「今日はこたえる。誰かやめようと弱音を吐いてくれないか」と考えるくらいだった。
ところがである。うり美様はいつもより元気なくらいで、にこやかにしているではないか。そうだ、彼女は北国育ちだった。寒さには強いはずだ。おまけにこ ちらの魂胆を読んで、「誰かやめようと言わないかと思っているんでしょう」と小癪なことを言う。これではやめるわけにはいかない。負けるわけにもいかな い。沽券に関わるというものだ。
ところがである。こういうときに限って邪魔が入るものだ。詳しくは述べないが、ある妨害要因が登場して気勢をそがれてしまった。というよりは、憤慨させられてしまい、気持ちを落ち着かせる必要が生じてしまった。
気を取り直して、なんとか一人でも署名獲得をと立ち向かったが、あえなく返り討ちとなった。しかも、今日は亀さんまでゼロ。こういう日に署名してもらっていれば名誉回復をはたせたのだが、残念至極である。(富山)

大井町のYさんから

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ニュースNo.206(2005年11月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.206(2005年11月15日発行)◎集会報告
集会のアンケートから 大井町ビラまき報告

11・12富山再審集会は、初めて参加の7名を含む59名の参加で成功しました。みなさんありがとうございました。

□集会報告

 11月12日、「証拠開示が再審の扉を開く!カギは隠された27/34」と題して、富山再審集会が大井町「きゅりあん」にて行わ れた。富山事件は再審請求をした1994年6月から、約10年目の2004年3月に再審請求が棄却され、富山さんと弁護団は直ちに異議申立てを行い、現在 異議審は東京高裁第四刑事部に係属中である。
  富山事件の最大の争点は、事件を偶然目撃した目撃証言の信用性にある。目撃調書だけでも34人分あると法廷で捜査責任者が証言しているが、公判では7人分 しか開示されていない。しかも、開示されている調書でも、事件直後のものは富山さんとは似ても似つかない容貌を述べている。その調書は取り調べが続いてい く中で段々富山さんの容貌に似てきている。開示されていない27人の調書に真実は隠されているに違いない。私達は証拠開示こそ富山再審の扉を開く鍵になる という思いで集会を開くことにした。
富山さんが逮捕された時から弁護人になっている主任弁護人葉山岳夫先生から、事件の説明、確定判決および再審請求棄却決定の不当性、証拠開示の必要性、 運動の展開等についての話がなされた。葉山先生は冒頭、「富山事件は警察、検察による目撃証人のねつ造によって仕立てあげられた冤罪である。さらには検察 官が証拠を開示せず一貫して隠滅し続けている。その検察官の態度そのものについては犯罪行為として弾劾しなければならない」と語った。これは、いまもって 開示されていない27通の調書だけにとどまらないのである。
富山事件は、員面調書が開示されたことにより検面調書との齟齬が浮き彫りになっている。この員面調書は、一審の公判段階で弁護団が強く開示要求し裁判所 が勧告をだし検察官に開示させたものである。この開示により、目撃者の供述が当初富山さんとは似ても似つかない犯人像を述べているものであり、さらには目 撃した位置、犯人の位置、犯人の人数等々まで違っているということが判明した。検面調書は、意図的に「富山=指揮者とされる犯人」という検察官の主張に合 わせて整合されており、それだけみると誰の目にも富山さんが犯人であると疑いようがないものなのである。
ところが、員面調書と検面調書を対比することによって目撃者に対する検察官の暗示、誘導の構造が見事に浮かびあがったのである。この員面調書の開示がな かったら、真実がこれほどまで浮き彫りになることはなかったであろう。その員面調書の内容からして、証拠開示は決定的に重要であり裁判の行方を左右するも のだったのである。真実究明において、証拠開示の重要性、必要性は計り知れない。それを検察官は拒否するのである。
員面調書より以前に開示されていた検面調書においても検察官はなかなかあきらかにせず、開示を認めても閲覧のみで謄写はさせないという対応だった。いず れも弁護団が粘り強く交渉し開示させたのだが、こんな理不尽なことがまかり通ってよいのだろうか。葉山先生の「犯罪行為として弾劾しなければならない」の 言葉はまさにこのことをも意味する。
諄々と、時には力強く語られる言葉の一つ一つに説得力を感じたのは私だけではないだろう。そこには、弁護団が「無実は無罪に」という信念のもと、今日まで諦めず続けてきた実績が裏打ちされているからに違いない。

講演予定であった阿藤周平さんが体調を崩され、参加できず残念ではあったが、集会参加者は59名であった。初めて集会に参加した方は家族で参加された司 法書士の方、阿藤さんの同郷の女性を含めて7名いらした。今までたゆまず続けてきたことが、確実に実を結んできていると実感させられる集会であった。そし て必ずや再審開始、再審無罪を勝ちとらなければならないと決意を新たにした。   (うり美)

□アンケート

えん罪で無実を訴えている人を信じます。このような集会は初めてでした。先生方のお話にすごく感銘を受け、また、富山さんのお話はすごく励みになりました。
八海事件の阿藤さんと同郷なので、ぜひ、お会いしたいと思いましたが残念です。  (女性)

阿藤周平氏の欠席はきわめて残念でした。高校時代に『誤った裁判』を読んで以来、阿藤氏は私の「英雄」でした。いつの日にか講演をお聞きしたいと思います。
「ヒラメ」裁判官の眼を開かせるには、しつこく追いつめるしかないと思います。  (男性)

富山さん本人のお話が聞けて、すごくよかったです。また、このような機会があればぜひ参加させてもらいたいです。   (女性)

弁護士からのわかりやすい説明により、今までの経過が良くわかりました。また、「かちとる会」の活動報告により、会が長期間にわたり、地道な努力をしてきたことをうかがうことができました。富山さんの力強い発言に感動しました。   (男性)

阿藤氏の欠席、残念。
(集会での発言)それぞれに印象的で良かった。    (男性)

59名もの多勢の参加は驚異的。富山さん本人の健康保持がまず第一。たった一度の人生を後悔なき人生にするもしないも、己の決意ひとつ。愚直第一に。  (男性)

葉山先生の話が非常に良かった。権力のデッチあげがよくわかりました。富山さんの無実を改めて強く確信できました。
富山さんの怒りのアピールも非常によかった。再審開始の困難さの中に、その可能性、展望が確固としてあることがよくわかりました。   (男性)

阿藤さんの欠席は残念でしたが、葉山さんのお話は、淡々とした口調ながらも、非常にわかりやすく説得力のあるものでした。
富山さんの話も面白かったです、展望も示しつつ。  (男性)

阿藤周平さんの健康が心配です。しかし、思いは山村氏の紹介で伝わった。
11・6集会の後にもかかわらず、かなり多数の参加者があり、意を強くしました。学者、弁護士にも個別に参加を呼びかけたるが宜しいと思います。
富山氏の発言もまとまって良かった。  (男性)

阿藤さんのお話を聞けなくて残念。再び元気なお姿に接したいです。一日も早いご回復を祈ります。
葉山先生のお話、具体的でわかりやすかったです。検察、裁判所双方のあまりの理不尽さに改めて怒りが湧きます。運動の大衆化でなんとしても証拠開示と再審開始をかちとるために頑張りましょう。
富山さん御自身のお話、迫力と説得力がありました。「えん罪に時間(刑期の長短)は関係ない」、まさにその通りです。その無念さと怒りを共有したいと思います。    (男性)

①富山さん、勝利するまで体を大事にして下さい。
②葉山岳夫弁護士さん、長い間、ありがとうございます。
③阿藤周平さんの御健康をお祈り致します。
④集会に参集した方々の御健康をお祈り致します。
⑤再審無罪をかちとる会、長い間、ご苦労さんです。
⑥真実は必ず勝利します。
(男性)

富山さんとは御近所付き合いをさせてもらい、コーヒーをよく御馳走になっている者ですが、富山さんの印象については、楽しいおじ さんということだけが強くありました。しかし、本日の集会に参加して「闘志あふれる怒れるおじさん」ということを再認識し、内面からあふれるすごいエネル ギーを感じました。そして、そのエネルギーこそ無実の証明だと思います。異議審において大衆運動を爆発させ、証拠開示を勝ちとり、勝利の地平を切り開きま しょう。
また、おいしいコーヒーをよろしくお願いします。   (男性)

葉山先生の講演で強調された、①富山氏は無実であり、これは明らかにえん罪であること、②逮捕・拘留は国家権力の犯罪行為であ り、③今もって無罪の証拠を隠し続けることは、国家的犯罪行為だという点、本当にそのことを大衆運動として展開し、運動的に学問的に裁判所に認めさせる営 為をたゆまず続けて必ずや果たすことを改めて誓いました。あらゆる苦難を乗り越え、ますます円熟味(!)を増した富山氏に頭が下がります。   (女性)

勝つまでガンバリマス。    (男性)

とてもためになりました。きびしい状況の中、めげずに前進して下さい。   (男性)

富山事件を初めて知った時、「もし、逮捕されたのが富山さんではなく私の父だったら、私は生まれなかったかもしれない」と感じた記憶があります(実際には、事件当時、私は1歳ですが)。
今は自由の身なのだから良いではないか、などと言えるはずがありません。かけがえのない人生を強引にねじ曲げてしまう国家権力の横暴は決して許されてはならないという思いを新たにしました。    (女性)

富山さんの話は説得力があってよかった。
葉山先生のお話で、これまで知っているつもりでまだまだ知らなかったことをいろいろ知り、よかった。もっと多くの人に知らせていかなければと思います。    (男性)

葉山弁護士のお話はわかりやすかったです。ふだん集会などで顔を見ない人たちが多いので驚きました。    (男性)

検察官は隠し続けている証拠を全面開示せよ!
無実を証明する証拠を隠滅することは絶対に許せない。この悪辣極まる国家犯罪を共に徹底的に弾劾する。無実でありながらデッチあげられ、有罪判決を強行 され、長期間獄中・下獄生活を強いられた富山さんの無念さを想うとき、再審絶対勝利をかちとることを一緒に誓いたい。   (男性)

せめて午後8時までに集会が終わるような時間的スケジュールでお願い致します。    (男性)

いろいろと勉強になります。私も高齢になり、体も動かず活動もできません。通信費もかかりますので通信を止めてください。   (男性)

———————————————

【このアンケートは、集会後、証拠開示を求める署名5名、再審開始を求める署名5名分とともにお送り頂きました。書いてくださったのは、ずっと富山再審集 会に参加してくださっている方で、79歳になられる方です。ご本人が集会に来られない時は、ご家族の方が参加してくださいました。また、署名も数多く集め てくださっています。この場を借りて、御礼申し上げるとともに、通信費等々のことはご心配なく、「ニュース」を読んで頂けるだけでもけっこうですので、ぜ ひ送らせて頂きたくお願い申し上げます。/事務局】

 拝啓 富山保信様
先日、11月12日に行われた集会に参加できず、すみませんでした。
昨年、再審請求が通るかと思いきや、棄却され、再びふり出しに戻ってしまうのかと落胆してしまいましたが、それでもあきらめない富山さんの姿勢に心を打たれました。
先日の集会もぜひ参加させて頂きたかったのですが、私用の為、参加できなかったのを残念に思います。会報で集会の様子と今後の展望をうかがえる事を楽しみにしています。
私も富山さんが無罪を勝ち取れるよう、協力させて頂きたく思います。   (Gさんから)

【再審開始を求める署名とともに、「気持ちですが、活動資金にお使い下さい」とカンパを同封してくださいました。ありがとうございました。/事務局】

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・4
うり美・・・・0
山村・・・・0
富山・・・・0

今日は、澄明な秋空。ビラまきも意気揚々といきたい所だ。だが、毎度のごとくそうはいかないのがビラまき。
17時を過ぎた時点で辺りは暗くなり始め、寒さを感じるようになる。
ようやく一人話かけてきた女性に微かな希望を繋げたい。
だが、一通り話を聞き終わると「もう普通に生活してるんでしょ。だったらいいじゃない」「裁判所は、そんな悪い所だとは思わない」さらには「神様は、きっと見ていてくれますよ」と言われる始末。
「自分の身に置き換えて考えてみてください。裁くのは神様じゃないんです」等と説明しても「死刑だというなら署名しようと思ったけど、元気に暮らしてるんでしょ」と言われ、元気には違いなく、一瞬肯定しそうになった。
結局、私も山村さんもゼロ。亀さんの所へ旅立ち、コバンザメ化してた富山さんはと言えば・・・。一人位署名がとれているのではないかと淡い期待を寄せていたが、見事に裏切られた。
私は「(署名がとれないのは)場所の問題じゃないんじゃない?」等と富山さんをなじりながら、今日も亀さんの一人勝ちに感服した。  (うり美)

大井町のYさんから

休載

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ニュースNo.206(2005年11月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.206(2005年11月15日発行)◎集会報告
集会のアンケートから

大井町ビラまき報告

11・12富山再審集会は、初めて参加の7名を含む59名の参加で成功しました。みなさんありがとうございました。

□集会報告

 11月12日、「証拠開示が再審の扉を開く!カギは隠された27/34」と題して、富山再審集会が大井町「きゅりあん」にて行わ れた。富山事件は再審請求をした1994年6月から、約10年目の2004年3月に再審請求が棄却され、富山さんと弁護団は直ちに異議申立てを行い、現在 異議審は東京高裁第四刑事部に係属中である。
  富山事件の最大の争点は、事件を偶然目撃した目撃証言の信用性にある。目撃調書だけでも34人分あると法廷で捜査責任者が証言しているが、公判では7人分 しか開示されていない。しかも、開示されている調書でも、事件直後のものは富山さんとは似ても似つかない容貌を述べている。その調書は取り調べが続いてい く中で段々富山さんの容貌に似てきている。開示されていない27人の調書に真実は隠されているに違いない。私達は証拠開示こそ富山再審の扉を開く鍵になる という思いで集会を開くことにした。
富山さんが逮捕された時から弁護人になっている主任弁護人葉山岳夫先生から、事件の説明、確定判決および再審請求棄却決定の不当性、証拠開示の必要性、 運動の展開等についての話がなされた。葉山先生は冒頭、「富山事件は警察、検察による目撃証人のねつ造によって仕立てあげられた冤罪である。さらには検察 官が証拠を開示せず一貫して隠滅し続けている。その検察官の態度そのものについては犯罪行為として弾劾しなければならない」と語った。これは、いまもって 開示されていない27通の調書だけにとどまらないのである。
富山事件は、員面調書が開示されたことにより検面調書との齟齬が浮き彫りになっている。この員面調書は、一審の公判段階で弁護団が強く開示要求し裁判所 が勧告をだし検察官に開示させたものである。この開示により、目撃者の供述が当初富山さんとは似ても似つかない犯人像を述べているものであり、さらには目 撃した位置、犯人の位置、犯人の人数等々まで違っているということが判明した。検面調書は、意図的に「富山=指揮者とされる犯人」という検察官の主張に合 わせて整合されており、それだけみると誰の目にも富山さんが犯人であると疑いようがないものなのである。
ところが、員面調書と検面調書を対比することによって目撃者に対する検察官の暗示、誘導の構造が見事に浮かびあがったのである。この員面調書の開示がな かったら、真実がこれほどまで浮き彫りになることはなかったであろう。その員面調書の内容からして、証拠開示は決定的に重要であり裁判の行方を左右するも のだったのである。真実究明において、証拠開示の重要性、必要性は計り知れない。それを検察官は拒否するのである。
員面調書より以前に開示されていた検面調書においても検察官はなかなかあきらかにせず、開示を認めても閲覧のみで謄写はさせないという対応だった。いず れも弁護団が粘り強く交渉し開示させたのだが、こんな理不尽なことがまかり通ってよいのだろうか。葉山先生の「犯罪行為として弾劾しなければならない」の 言葉はまさにこのことをも意味する。
諄々と、時には力強く語られる言葉の一つ一つに説得力を感じたのは私だけではないだろう。そこには、弁護団が「無実は無罪に」という信念のもと、今日まで諦めず続けてきた実績が裏打ちされているからに違いない。

講演予定であった阿藤周平さんが体調を崩され、参加できず残念ではあったが、集会参加者は59名であった。初めて集会に参加した方は家族で参加された司 法書士の方、阿藤さんの同郷の女性を含めて7名いらした。今までたゆまず続けてきたことが、確実に実を結んできていると実感させられる集会であった。そし て必ずや再審開始、再審無罪を勝ちとらなければならないと決意を新たにした。   (うり美)

□アンケート

えん罪で無実を訴えている人を信じます。このような集会は初めてでした。先生方のお話にすごく感銘を受け、また、富山さんのお話はすごく励みになりました。
八海事件の阿藤さんと同郷なので、ぜひ、お会いしたいと思いましたが残念です。  (女性)

阿藤周平氏の欠席はきわめて残念でした。高校時代に『誤った裁判』を読んで以来、阿藤氏は私の「英雄」でした。いつの日にか講演をお聞きしたいと思います。
「ヒラメ」裁判官の眼を開かせるには、しつこく追いつめるしかないと思います。  (男性)

富山さん本人のお話が聞けて、すごくよかったです。また、このような機会があればぜひ参加させてもらいたいです。   (女性)

弁護士からのわかりやすい説明により、今までの経過が良くわかりました。また、「かちとる会」の活動報告により、会が長期間にわたり、地道な努力をしてきたことをうかがうことができました。富山さんの力強い発言に感動しました。   (男性)

阿藤氏の欠席、残念。
(集会での発言)それぞれに印象的で良かった。    (男性)

59名もの多勢の参加は驚異的。富山さん本人の健康保持がまず第一。たった一度の人生を後悔なき人生にするもしないも、己の決意ひとつ。愚直第一に。  (男性)

葉山先生の話が非常に良かった。権力のデッチあげがよくわかりました。富山さんの無実を改めて強く確信できました。
富山さんの怒りのアピールも非常によかった。再審開始の困難さの中に、その可能性、展望が確固としてあることがよくわかりました。   (男性)

阿藤さんの欠席は残念でしたが、葉山さんのお話は、淡々とした口調ながらも、非常にわかりやすく説得力のあるものでした。
富山さんの話も面白かったです、展望も示しつつ。  (男性)

阿藤周平さんの健康が心配です。しかし、思いは山村氏の紹介で伝わった。
11・6集会の後にもかかわらず、かなり多数の参加者があり、意を強くしました。学者、弁護士にも個別に参加を呼びかけたるが宜しいと思います。
富山氏の発言もまとまって良かった。  (男性)

阿藤さんのお話を聞けなくて残念。再び元気なお姿に接したいです。一日も早いご回復を祈ります。
葉山先生のお話、具体的でわかりやすかったです。検察、裁判所双方のあまりの理不尽さに改めて怒りが湧きます。運動の大衆化でなんとしても証拠開示と再審開始をかちとるために頑張りましょう。
富山さん御自身のお話、迫力と説得力がありました。「えん罪に時間(刑期の長短)は関係ない」、まさにその通りです。その無念さと怒りを共有したいと思います。    (男性)

①富山さん、勝利するまで体を大事にして下さい。
②葉山岳夫弁護士さん、長い間、ありがとうございます。
③阿藤周平さんの御健康をお祈り致します。
④集会に参集した方々の御健康をお祈り致します。
⑤再審無罪をかちとる会、長い間、ご苦労さんです。
⑥真実は必ず勝利します。
(男性)

富山さんとは御近所付き合いをさせてもらい、コーヒーをよく御馳走になっている者ですが、富山さんの印象については、楽しいおじ さんということだけが強くありました。しかし、本日の集会に参加して「闘志あふれる怒れるおじさん」ということを再認識し、内面からあふれるすごいエネル ギーを感じました。そして、そのエネルギーこそ無実の証明だと思います。異議審において大衆運動を爆発させ、証拠開示を勝ちとり、勝利の地平を切り開きま しょう。
また、おいしいコーヒーをよろしくお願いします。   (男性)

葉山先生の講演で強調された、①富山氏は無実であり、これは明らかにえん罪であること、②逮捕・拘留は国家権力の犯罪行為であ り、③今もって無罪の証拠を隠し続けることは、国家的犯罪行為だという点、本当にそのことを大衆運動として展開し、運動的に学問的に裁判所に認めさせる営 為をたゆまず続けて必ずや果たすことを改めて誓いました。あらゆる苦難を乗り越え、ますます円熟味(!)を増した富山氏に頭が下がります。   (女性)

勝つまでガンバリマス。    (男性)

とてもためになりました。きびしい状況の中、めげずに前進して下さい。   (男性)

富山事件を初めて知った時、「もし、逮捕されたのが富山さんではなく私の父だったら、私は生まれなかったかもしれない」と感じた記憶があります(実際には、事件当時、私は1歳ですが)。
今は自由の身なのだから良いではないか、などと言えるはずがありません。かけがえのない人生を強引にねじ曲げてしまう国家権力の横暴は決して許されてはならないという思いを新たにしました。    (女性)

富山さんの話は説得力があってよかった。
葉山先生のお話で、これまで知っているつもりでまだまだ知らなかったことをいろいろ知り、よかった。もっと多くの人に知らせていかなければと思います。    (男性)

葉山弁護士のお話はわかりやすかったです。ふだん集会などで顔を見ない人たちが多いので驚きました。    (男性)

検察官は隠し続けている証拠を全面開示せよ!
無実を証明する証拠を隠滅することは絶対に許せない。この悪辣極まる国家犯罪を共に徹底的に弾劾する。無実でありながらデッチあげられ、有罪判決を強行 され、長期間獄中・下獄生活を強いられた富山さんの無念さを想うとき、再審絶対勝利をかちとることを一緒に誓いたい。   (男性)

せめて午後8時までに集会が終わるような時間的スケジュールでお願い致します。    (男性)

いろいろと勉強になります。私も高齢になり、体も動かず活動もできません。通信費もかかりますので通信を止めてください。   (男性)

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【このアンケートは、集会後、証拠開示を求める署名5名、再審開始を求める署名5名分とともにお送り頂きました。書いてくださったのは、ずっと富山再審集 会に参加してくださっている方で、79歳になられる方です。ご本人が集会に来られない時は、ご家族の方が参加してくださいました。また、署名も数多く集め てくださっています。この場を借りて、御礼申し上げるとともに、通信費等々のことはご心配なく、「ニュース」を読んで頂けるだけでもけっこうですので、ぜ ひ送らせて頂きたくお願い申し上げます。/事務局】

 拝啓 富山保信様
先日、11月12日に行われた集会に参加できず、すみませんでした。
昨年、再審請求が通るかと思いきや、棄却され、再びふり出しに戻ってしまうのかと落胆してしまいましたが、それでもあきらめない富山さんの姿勢に心を打たれました。
先日の集会もぜひ参加させて頂きたかったのですが、私用の為、参加できなかったのを残念に思います。会報で集会の様子と今後の展望をうかがえる事を楽しみにしています。
私も富山さんが無罪を勝ち取れるよう、協力させて頂きたく思います。   (Gさんから)

【再審開始を求める署名とともに、「気持ちですが、活動資金にお使い下さい」とカンパを同封してくださいました。ありがとうございました。/事務局】

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・4
うり美・・・・0
山村・・・・0
富山・・・・0

今日は、澄明な秋空。ビラまきも意気揚々といきたい所だ。だが、毎度のごとくそうはいかないのがビラまき。
17時を過ぎた時点で辺りは暗くなり始め、寒さを感じるようになる。
ようやく一人話かけてきた女性に微かな希望を繋げたい。
だが、一通り話を聞き終わると「もう普通に生活してるんでしょ。だったらいいじゃない」「裁判所は、そんな悪い所だとは思わない」さらには「神様は、きっと見ていてくれますよ」と言われる始末。
「自分の身に置き換えて考えてみてください。裁くのは神様じゃないんです」等と説明しても「死刑だというなら署名しようと思ったけど、元気に暮らしてるんでしょ」と言われ、元気には違いなく、一瞬肯定しそうになった。
結局、私も山村さんもゼロ。亀さんの所へ旅立ち、コバンザメ化してた富山さんはと言えば・・・。一人位署名がとれているのではないかと淡い期待を寄せていたが、見事に裏切られた。
私は「(署名がとれないのは)場所の問題じゃないんじゃない?」等と富山さんをなじりながら、今日も亀さんの一人勝ちに感服した。  (うり美)

大井町のYさんから

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ニュースNo.205(2005年10月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.205(2005年10月15日発行)◎布川事件、再審開始決定出る
法と心理学会第6回大会に参加して

大井町ビラまき報告

布川事件、再審開始決定出る

9月21日、水戸地裁土浦支部(彦坂孝孔裁判長)は布川事件の第2次再審請求で、再審開始を決定しました。1967年8月の事件発生 から38年を経て、やっと再審無罪への突破口が切りひらかれました。請求人の桜井さん、杉山さん、そして弁護団の粘り強いたたかい(「刑務所で、今後の人 生を再審にかけると決めた。生活は苦しいが、やるべきことをやっていく」・桜井さん)に敬意を表すとともに、私たちも負けずにがんばりたいと思います。
この決定で注目すべきは、「2001年に始まった第2次再審請求で、検察側は弁護団と裁判所の要求で9回にわたって新たな証拠を明らかにした。 中には、現場の毛髪が桜井さんら2人のものでないとした鑑定書など2人に有利な証拠も含まれていた」(読売新聞・9/21夕刊)という点です。検察官が隠 している、富山さんの無実を証明する証拠の開示をかちとりましょう

□「法と心理学会第6回大会」に参加して

『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』

 10月15日~16日、立命館大学において開かれた「法と心理学会第6回大会」に、富山さんとともに参加した。
今回の大会で、私たちが最も注目し期待したのは、大会第一日目に行われたワークショップ「目撃供述ガイドラインが刑事実務で果たす役割」という企画だっ た。というのは、ここで、『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』が正式に発表されたからである。イギリスなどで採用されているルールに相当する、科 学的根拠に基づいた、目撃供述についてのガイドラインは、日本ではこれが最初のものとなる。
このガイドラインは、6年前に開かれた「法と心理学会」設立準備会で提案された「捜査段階における犯人識別のためのガイドライン(案)」を完成させたも のである。ここ数年にわたって、「法と心理学会・ガイドライン検討部会」の心理学者、法学者、実務家の方々を中心に研究、検討が重ねられ、今大会で、『目 撃供述・識別手続に関するガイドライン』という冊子として出版された(法と心理学会・目撃ガイドライン作成委員会=編/発行=現代人文社/二八〇〇円)。

『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』は、三部構成になっており、22名の心理学者、法学者、実務家の方々によって執筆されている。「第Ⅰ部」で 目撃供述・識別手続に関するガイドラインが提起され、「第Ⅱ部」でその解説、「第Ⅲ部」で「法と心理学の架け橋を求めて」と題して心理学者からの提起がな されている。
この「第Ⅲ部 法と心理学の架け橋を求めて」については、浜田先生が、その冒頭で、「片方に法の世界の現実を眺め、また片方に心理学の世界の現実を眺め たとき、そのあいだの懸隔の大きさにあらためて驚く。つい先頃まで、法の世界は『科学としての心理学の手前』にとどまり、心理学の世界は『法が対象とする 人間の現実世界の手前』にとどまっている、そう皮肉りたくなるほどに、法と心理学のあいだの溝は深かった。こうしたなかで私たちは、心理学の側から法の世 界に向けて声をあげてきた。(中略)第Ⅲ部として掲載するのは、このガイドライン作成の準備段階で、私たち心理学研究者たちが、法と交わるところに生じた 諸問題について、それぞれの専門領域から論じた論考である。執筆者はみな、具体的な裁判事例の渦中に身をおいて、その溝の深さを自ら味わい、2つの世界の はざまで、『法と心理学の架け橋』の必要をつくづく痛感させられてきた者たちである」と、第Ⅲ部が書かれたいきさつについて説明されている。
この『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』では、富山再審の内容についても各所で取り上げられている。
まず、「第Ⅱ部 第1章 『目撃』はいかにして証拠たりうるか」で、浜田先生が富山事件における目撃供述の変遷について触れ、確定判決の「写真面割りの 正確性を担保するための基準」(「7つの基準」)について批判されている。そして、法学者の方が、心理学鑑定を排斥した二〇〇四年三月三〇日の富山再審請 求棄却決定について、「(心理学的分析結果について)その内容とは相反する判断を裁判官がするのであれば、当該分析結果を排斥する理由を論理的に示さなけ ればならないはずだ。当該分析結果が被告人と犯人の同一性を否定するものである場合はとくにそうである。しかし、実際にそのような説明がなされることはほ とんどない。論理的に排斥理由を説明できないということは、反対仮説を消去しきれていないことを示唆し、合理的疑いを超えた証明原則違反の疑いを当事者に 抱かせる。どうやら、ブラックボックスのなかにあるのは、証拠収集過程だけでないようだ」と批判している。
また、富山再審で鑑定書や意見書を提出しているH先生が、「第Ⅱ部 第6章 写真面割手続―被疑者が特定されていない場合」で、富山事件の写真面割りで 使われた写真の中で富山さんの写真がとりわけ特異性が高く選ばれやすいものだったことを明らかにした意見書を引用している。そして、確定判決の「写真面割 りの正確性を担保するための基準」(「7つの基準」)のひとつの「なるべく多数者の多数枚による写真が使用されていること」が、何の基準にもならないこと を明らかにしている。
さらに、「第Ⅲ部 第2章 目撃供述における知覚の問題」においては、目撃者の一人、I証人の目撃状況(右0・3~0・4、左0・1~0・2の視力で、 16・45m離れたところにいた指揮者を目撃)では、顔を正確に識別し写真選択を行うことは不可能であることを明らかにした鑑定書を引用している。
富山再審にとって、『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』が公刊されたことの意味は非常に大きい。
「法と心理学会」のワークショップでは、このガイドラインの有効性について討論が行われた。その中で、これが実際の捜査で使われるだろうかという議論が あった。ガイドラインは、詳細かつ厳密に、目撃供述・識別手続について規定している。確かに、捜査官の側がこのガイドラインを直ちに採用するとは思えな い。しかし、目撃供述の信用性が争点となった時、法廷で弁護士はこのガイドラインをぜひ使ってほしい、裁判官にガイドラインの存在を繰り返し示していくこ とが現状を変えていく、という意見は重要だと思った。こうした中で裁判官も認識を深めていくであろうし、さらには、ガイドラインの考え方に賛同する裁判官 も出てくるのではないだろうか。ひいては、それが日本における目撃供述を証拠とする場合の手続きを変えていくことにもなるのではないだろうか。すでに ニュース一九二号で紹介したが、目撃証言の危険性について、渡部保夫先生他の論文を引用して指摘し、無罪判決を言い渡した裁判官もあらわれている(大阪地 判平16・4・9 判例タイムズ一一五三号)。
これまで日本においては、富山事件の確定判決の「写真面割りの正確性を担保するための基準」が判例等で「基準」とされてきた。これに対して、科学的なガ イドラインが打ち出されたことの意義は大きい。また、これまで欧米のルールを引用して目撃証言を批判していたが、今後は、日本の現実に則して作られたこの ガイドラインに基づいて批判できる。
ガイドラインが実際の捜査に用いられるかどうかについて、浜田寿美男先生は、『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』の「はじめに」で、以下のように述べられている。
「ここに提起されたガイドラインについては、法学研究者・法実務家から、捜査実務とのあいだにあまりに大きな懸隔があって、現実的な影響力をもちえない のではないかという懸念が述べられた。なるほど現実との隔たりが大きいというのはそのとおりである。しかしだからといって、ガイドラインの基準を低くする ということにはならない。むしろ現実化可能な範囲で最大限の理念を示すことで、その理念との対照によって現状の捜査実務の問題点を明らかにできるはずだ し、またそうであってこそ現実の事件について捜査手続に関わる心理学上の問題を具体的に指摘することができる。そしてガイドラインが実際の裁判のなかで援 用されるようになれば、結果として捜査実務を変えていく力にもなるはずである。」
ワークショップでは、「こうすれば目撃証言は信頼できるという積極的考え方と、コントロールとしてのガイドラインという消極的考え方がある。これを踏ま えていれば信頼できるという規範は危険を伴う。最低限これを踏まえていなければだめだということではないか」という意見も出された。この点は重要だと思っ た。他にもいろいろと貴重な意見が出され、大変有意義な企画だったと思う。
ガイドラインの今後については、「法と心理学会としては、心理学鑑定が法廷で用いられるために、ガイドラインを広めるとともに深める活動も行いたい。最終的には学会として鑑定人を推薦するということも視野に考えている」とのことであった。

なお、今回の大会は、「供述や証言の真偽判断における2つの心理学手法の検討」と題したワークショップや、「取調べの可視化をめぐって:法と心理の対話」と題する公開シンポジウムも行われ、大変勉強になった。機会があったら紹介したいと思う。 (山村)

【付録】

 お天気が良かったので、大会の休憩時間に少し歩いて龍安寺に行ってきました。たまには心静かに自然を愛でるのもよいものです。

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・3
うり美・・・0
山村・・・3
富山・・・0

秋分を過ぎて秋風が心地よい季節になってきたが、今日はまだ夏の暑さが抵抗しているような日だった。
さぁ、ビラまき開始。視線を右に移すと開始早々、亀さんは署名を取っている様子。さすがであるが、この光景にも慣れてしまっている。取って当たり前の優等生。あとは私たち3人のうち誰が署名を取るか、取れるのかにかかっている。
開始から30分。まさに「棚からぼた餅」とはこういうことをいうのか。ぼたっ、ぼたっ、ぼたっと三つも落ちたのは、山村さんであった。私を素通りして山 村さんに次から次へと署名が。嘘のような光景であった。これも日頃の行いの賜物か、ということにしておきましょう。
ビラまき報告は、負けた人が書くきまりになっている。今回は、富山さんと私がゼロなのでジャンケンで決着をつけることになった。この間、富山さんとの ジャンケンは私がすべて勝利していた。だからこそ期待を込めてジャンケンポン。あいこだ。アイコデショ。決まらない。アイコデショ。またしても決まらな い。嫌な予感がしてきた。更に大きな声でアイコデショー。げっ、なんと負けてしまった。嫌な予感的中。長期戦になると、この世代の粘り強さには叶わない。   (うり美)

大井町のYさんから

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ニュースNo.204(2005年9月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.204(2005年9月15日発行)◎「改革」を止めなければ事故はとまらない
なんということだ
会員になってください

大井町ビラまき報告

「改革」を止めなければ事故はとまらない

9月6日、国土交通省は尼崎事故の中間報告を発表した。運転士を含む107人は、国鉄分割・民営化を強行した中曽根康弘とJR西日本当局によって殺された のだ。乗客の安全は、労働者の権利を守る労働組合=労働運動の健在によってのみ維持される。「一人は万人のために、万人は一人のために」は再審のたたかい と通底する。生命と権利が正当に守られる社会を築くためにがんばろう

□なんということだ

とんでもないことになった。与党が衆院で議席3分の2を獲得してしまった。どんな法案も通せるし、その気になれば単独で改憲の発議ができるということだ。
小泉のクーデター的やり方の凶悪さと野党のだらしなさで勝敗ははじめから想像できたとはいえ、事態はここまできた。まるでヒットラーが政権を握った授権法時の再来を思わせる。
実際、小泉の採った手法は始めから終わりまでファシストの名にふさわしいものだった。郵政民営化法案が参議院で否決されたから衆議院を解散し、抵抗分子 に「刺客」を派遣してとことんいたぶり血祭りにあげて見せしめにする、財界の総バックアップによる膨大な資金を投入したデマゴギーを24時間垂れ流す 等々、およそ政権党が利用しうるものは総動員し、合法・非合法を問わずやれることはすべてやってでも反小泉・非小泉的なものを叩きつぶすために血眼になっ た。それだけいったんは郵政民営化法案が否決されたことは、支配体制にとって容易ならざる危機の到来を意味していたのだ。その点、亀井静香などは「解散は ない」などと太平楽なことを言っていたのだから、ブルジョア政治家としての感覚を疑われても仕方あるまい。時代認識、情勢把握において失格ということだ。 たしかに珍奇で恥知らずな小泉の人格に騙されがちであったり、軽視しがちだが、あのヒトラーという頭を冷やして冷静に眺めればなんでこんなやつにと赤面す るような珍奇な輩に地獄に引き込まれたことを想起すれば、危機の時ほどこうした魑魅魍魎が跋扈するし、熱病に冒されたごとくおよそ平時であれば考えられな いような愚行に走ることを歴史の教訓として学ぶべきだ。ある意味では小泉だからあんな阿漕(あこぎ)なことを必死で臆面もなくやれたのだ。小泉を政権の座 に就かせ、傍若無人に振る舞わせているには必然性があり、それほど支配体制・支配階級の危機は深刻で、もはや尋常の手段・手法ではもたないということなの だ。「時代の子」は支配階級にも被支配階級にもそれぞれのレベルで生まれる。小泉といえどもけっして甘く見てはならない。
さて、マスコミは小泉大勝と囃したてている。そして小泉本人はそれに輪をかけて「国民投票」にも匹敵するやり方で「郵政民営化」の賛否を問うた総選挙で 信認された、民意は郵政民営化法案支持だと、大騒ぎしているが、はたして支持されたのだろうか。それこそ頭を冷やし、落ち着いて選挙結果を検討する必要が ある。郵政民営化法案は支持などされていない。やはり解散前と同じく国民的規模で否決されている。これが民意である。議席数に騙されてはいけない。
議席数は自民党296、公明党31だが、得票率は自・公を足しても49パーセントで不支持が過半数を越えている。野党票は過半数なのに、議席数は与党が3分の2を占める。これこそ小選挙区制のペテンである。
民意、民意と強調するのなら、正しく反映させるべきだ。自衛隊のイラク派兵時の民意はなんだったのか、そしてこの民意に小泉はどう対応したのか、思い出 してほしい。どの世論調査も自衛隊のイラク派兵には反対だったが、小泉は歯牙にもかけずに派兵を強行したではないか。民意を尊重するというのなら、自衛隊 をイラクに派兵すべきでないし、ただちに撤退させるべきだろう。しかし、現実には派兵反対のイラクに出兵し、民営化法案反対の郵政民営化を強行しようとし ているのだ。小泉が吹聴する民意尊重の正体はこんなものである。まさに詐欺師、ペテン師のふるまいではないか。小泉は一事が万事この調子なのだ。
自民党をぶっ壊す、そう主張して自分は自民党総裁になったと声高に叫ぶ。ちょっと待て、本当にぶっ壊しているのか。そうではあるまい。たしかに自民党の 旧来のあり方を体現する人物は一掃されつつあるかのようだ。しかし実態は違う。ぶっ壊すのではなく、帝国主義の腐敗したエッセンスともいうべきものをとこ とん純化させつつあるのだ。現に、小泉自身3世議員であり、「日本は天皇をいただく神の国」と口にする人物を長とする派閥(森派)の代貸を務めていた族議 員ではないか。「刺客」として放たれた連中をみよ。いずれも人間としての品性は欠片ほども感じられない連中ばかりではないか。こういう鉄面皮どもが夜郎自 大を絵に描いたようにのさばりながら戦争と治安弾圧の道を掃き清める役割を担うのだ。
さて、そうは言っても現出した結果は冷厳、深刻である。その気になって強行すれば「できないことなどない」のだ。「二度と戦争をしないために靖国参拝を する」と言ってのける人物に、これだけの権力が与えられたことの持つ意味は重大である。大変なことだ。もはや道理は通用しない世の中になってしまったの か。どんなに正しいことも受け入れられず、手も足も出ないのか。再審など何の展望もないのか。よく考えなければならない。
展望はある。けっして強がりや、牽強付会ではない。頭を冷やして選挙結果を検討すれば実態が見えたように、醒めた頭脳と熱い心で情勢と取り組めば真実が見えてくる。
なぜ日本の支配階級は小泉を政権の座につけ、8月クーデターともいうべき解散、総選挙を強行させたのかを把握すれば、自ずから展望は明らかである。日本 の支配階級は、もはやこのままではやっていけないのだ。それも日本一国が破綻をきたしているのではなく、アメリカを先頭に世界が大破局にむかって転がりだ し、むきだしの弱肉強食戦に勝てない、食い物にされる他ないなかで生き延びるために必死になっているのだ。小泉を登用し、とことん使い尽くそうとしている のには、死活的理由がある。
小泉と経団連会長・奥田を先頭に襲いかかる戦争と大失業の攻撃とは、たたかう意志、連帯と団結を叩きつぶし、奪って、労働者・人民同士がいがみあい、殺 し合う地獄に引きずり込もうとするものだ。歴史の教訓に学び、本当に腹を据えてたちむかうならば、こんな攻撃は必ずうち破れる。現状の真実の姿は、分裂が 開始され、対決構造が明らかになったということだ。これをとことん押し進めること、これが勝利の道だ。小泉は、これを反対の方向から強行しており、全既成 勢力がこれに怯え、屈服しているから小泉「改革」がまかり通っているのだ。だから、小泉の「強さ」は、ペテンといかさま、でたらめを暴き、恥知らずの凶暴 性と不屈に対決する勢力が登場するとき、最大の弱点に転化する。破端点なのだ。
たしかに現実は厳しい。余裕などない。しかし、敵はもっと窮地に立たされているのだ。分裂、対立、対決をおそれているのは敵の方だ。共謀罪の新設を計 り、裁判員制度を導入して戦時司法への転換を追及し、国民投票法によって憲法改悪を一気に成し遂げようとしているのは、戦争への道にたちはだかる国論分 裂・対立・対決、分極化をもっともおそれているからだ。城内平和なくして侵略と戦争は遂行し得ない。この論理は再審のたたかいにおいても、やはりそうなの だ。
分裂、対立、対決をおそれてはいけない。そもそも正義と不正義、無実とでっち上げの間に妥協など成立する余地などない。決着をもとめてとことんたたかう ほかないのだ。そして、真実は必ず勝つという信念を保持し、非妥協さ、不屈さを貫くとき展望は開かれる。
はっきり言おう。小泉にはこれ以上はない。待ち受けているのは転落だけだ。人民の目は節穴ではない。
富山再審のたたかいには、これ以下はない。ある意味では、これ以上悪いことはない状態から出発したのだ。そして、着実に富山再審は市民権を得て、認識と 支持を拡大しつつある。逆境はたたかう主体を鍛え、暴虐は不屈のたたかいへの支持を生み出すことを、私たちはよく知っている。富山再審のたたかいは、身を もってこの真理を実証してきた。人間の持つ可能性、力の素晴らしさを味わいながら、これからもたたかいつづけよう。自分自身のたたかいの正しさ、説得力、 勝利の不可避性に確信をもって前進しよう。(富山)

□あなたもぜひ会員になってください

「無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会」(「かちとる会」)では、富山さんの無実を訴え、再審無罪をかちとるため、ともに たたかってくださる方を求めています。再審に勝利するためには多くの人々の力が必要です。また、再審弁護団のたたかいを支えるための裁判費用等、多くの資 金を必要としています。
あなたもぜひ会員になって富山さんの再審を支えてください。
▼会費は月額一口千円です。
▼あなたの会費は、再審にむけた運動づくり、再審の裁判費用等に役立てられます。
▼会員には、月一回、「無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース」をお送りします。
▼「かちとる会」では月一回、定例会を開き、再審をかちとるための話し合いを行っています。また、集会や学習会、現地調査を行い、富山さんの無実と再審無罪を訴えています。これらの集まりにもぜひご参加ください。

▼会費の振込先
・郵便振込口座番号
〇〇一四〇―一―一五〇六
・銀行振込
みずほ銀行 神保町支店
普通口座 一三四六一八八

「私をかえせ」 伊藤純子さん

 

 

大井町ビラまき報告

 豪雨である。ものすごい雨だ。一寸先も見えない。天の底が抜けたら、こんなになるのだろう。久しぶりに豪雨と呼ぶにふさわしい雨に遭遇した。
実際、後で知ったのだが、杉並では家屋が水没している。なんということだ。もっとも、家屋の水没は雨だけが原因ではなく治水とはコンクリートで地表を覆 うこととしか考えない(考えられない)治水政策のもたらした人災ではあるのだが、それにしても迫力ある雨ではあった。
もしや土砂降りにでもなったらえらいことだぞと、早めに大井町に向かう車中で真っ暗な空を眺めながら危惧したが、不幸にも嫌な予感が的中してしまった。 これではビラは受け取ってもらえないだろうし、署名どころではないはずだ。ということで、亀さんと一致をかちとり、本日は水入り・休戦となった。
ところがである。夕立みたいに定例会前には本当に降ったのかと首をひねりたくなるくらいぴたっと止んでしまった。いったいあれはなんだったのだろうか。もう一、二時間前に降ってくれればありがたかったのだが。
道路は洗われてきれいになったし、空気もこころなしか呼吸が楽になった気がするから、雨上がりは不思議だ。さわやかな気分で定例会に臨めたのは不幸中の幸いであった。と思うことにしよう。
さて、この「大井町ビラまき報告」は人気があって、ニュースは裏から読むというひとが多い。本日の顛末を知れば、雨のおかげで負けないですんでよかった とか、雨に感謝せよとか、内野席や外野席やはたまた場外からまでいろいろな声が聞こえてきそうだ。ありうることである。いや、きっとそうに違いない。言わ せておこう。ここはじっと忍の一字である。そして、あっと言わせる時をかならずこさせなければならない。 (富山)

大井町のYさんから

休載

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ニュースNo.203(2005年8月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.203(2005年8月15日発行)◎広島に行ってきました
ヒロシマの靖国化をゆるさない
検察官は隠し持っている証拠を開示せよ

大井町ビラまき報告

今年も広島に行ってきました

「戦争・核と改憲―うち砕け!今この力で」8・6ヒロシマ大行動に3000人が参加(広島県立綜合体育館・小アリーナ)

 

富山さん、今年もビラまきに決起。
「賢くなって」大きな麦わら帽子と氷入りのテルモスを準備した甲斐あって、早めに3000枚をまききる。高校生と仲良くなったり、高齢者に署名してもらったりと、大活躍。

□広島に行ってきました

 今年も早朝、あわただしく広島に向かう。できれば前日のうちに到着して、落ち着いて8・6当日を迎えるくらいの余裕をもちたいものだ。といつも思うのだが、実行されたためしがない。これからも、ずっとこうなのだろう。
さて、今年は「ヒロシマ大行動」に翌日の「国際連帯集会」への参加がしっかり組み込まれている。8・6だけではない。というのは、わが畏友中島健さんが主催者だからだ。欠席するわけにはいかない。かまえて広島にのりこんだ。
さて、6日である。いつものとおり、暑いなかでビラをまく。今年は少し賢くなって、大きな麦わら帽子を用意してきた。水も1リットルのテルモスに氷をつめて、暑さ対策はバッチリである。
ビラの受け取りはよい。高校生とも仲良くなって、彼らに売り方を伝授しながら、彼らのパンフレット売りを手伝う。ある高齢者には「ビラ配りが忙しくて、署名を集めていられないだろう」と同情されながら再審署名をしてもらった。
ビラをまき終わるのが早くて、昼食を摂ってから集会場に入ってもまだ時間がある。この調子だとゆとりをもって集会に参加できそうだと期待したのだが、旧交を温めたり、あいさつを交わしたりで、そうもいかないのが残念だ。
大槻さんと合流。あいかわらずわが身を省みずにがんばっている。まわりはハラハラ、ドキドキさせられっぱなしだ。しかし、この覇気が彼を支える力の源で もある。縛り付けたら大槻さんが大槻さんでなくなってしまう。仕方あるまい。まわりがきちんと気配りすればすむことだ。
集会参加者は3000人。東京杉並区での「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択を阻止して(8/4)しきり直しにもちこみ意気盛んな、内容の濃いよい集会だった。
今年はデモには不参加。出発時の写真だけ撮って、大槻さんと話し込む。年齢と闘病で夏の暑さはこたえるはずなのに、再審闘争の方針を論じて闘志旺盛であ る。朝は小泉来広弾劾・侵略翼賛の祈念式典糾弾デモの先頭にたっている。大先達から学ぶべきことはまだまだ多いと実感させられる。もっと貪欲に吸収する必 要を認識。大槻さんと会っていると、遮蔽版をはさんでわずかしか話せなかった父親を思いだしてしまう。感慨に耽っているうちに、若者の集まりに呼ばれてい るという大槻さんの約束の時間になってしまった。
  バスセンターまで送ってもらう。大槻さんは歴史の生き証人なんだから、一日でも長生きして、一人でも多くに、少しでも多く真実を語ることが役割だ。責任を はたすために、どうせ若い連中の言うことなど聞かないだろうが、全部とはいわないまでもせめて1割くらいは耳を貸して身をいとうようにとくり返す。はたし て効果あっただろうか。
夕食はお好み焼き。広島にきたら、これを欠かすわけにはいかない。もちろんビール付きである。
無事に山村を送り返して、私は国際連帯集会に備える。中島健さんは司会だそうだ。うまくやるだろうか。ちょっと気になる。
心配するまでもなかった。参加者が会場(広島ロードビル・国労会館)から溢れる300名というのもすごかったが、中味も熱気に満ちた国際連帯の名にふさ わしい集会だった。イラク、カナダ、韓国、中国からそれぞれ「私たちは連帯するなかで戦争勢力とのたたかいに勝てると思っている」(韓国)という確信に満 ちた報告をうけ、最後に広島県朝鮮人被爆者協議会の李実根(イシルグン)会長の閉会あいさつと、よくこれだけまとめたなと感動しながら本当に時間の経過を 忘れるほどだった。さすがは健さん、脱帽である。来年以降のいっそうの発展の実現は容易ではないだろうが、きっとやってくれるだろう。
広島のみなさんは、素晴らしくよくがんばっている。わが再審闘争へのますますの尽力をお願いしたい。ひさしぶりにうまい酒を飲み、ゆっくり眠った。 (富山)

□「ヒロシマの靖国化をゆるさない」

一年ぶりの広島だ。

 今年も、当日朝、東京を発ち、「8・6ヒロシマ大行動」に参加、その日のうちにとんぼ帰りというあわただしさである。
そんな中で、今年は、反戦被爆者の会の大槻泰生さんとひとときの時間をもつことができた。昨年に皮膚ガン(これも原爆の後遺症である)で手術、その後、 療養生活を送っていらっしゃるとのことで心配していたが、お元気そうだったのでほっとした。この日も朝からデモの先頭に立ったとのことである。
大槻さんは、富山さんのお父さんと同じ職場だったこともあり、富山さんを息子のように思ってくださっている。富山再審のためにいろいろと力を尽くしてく ださっている。お会いした時も、昨年3月の再審請求棄却に激しく憤っておられた。そして、証拠開示こそが再審のカギであることを何度も強調されていた。
そんな大槻さんのお話の中で、もうひとつ、「ヒロシマの靖国化を許さない」という言葉がずっしりと心に残った。被爆体験を語る時、大槻さんは必ず、広島 は犠牲者ということだけでなく加害者の立場を忘れてはならないとおっしゃっていた。こうした大槻さんたち反戦被爆者の方々を先頭とする闘いによって、「ヒ ロシマ」は「靖国」の対極に位置してきた。「ヒロシマ」こそ「靖国」的な考えを断罪してやまない。しかし、昨今の状況は違ってきている。権力者たちは巧妙 に「ヒロシマ」を「靖国」的な考え方のもとに組み敷こうとしている。
「ヒロシマの靖国化を許さない」、大槻さんにこの言葉を言わせるような状況に強い危機感をもつ。静かな語り口であるが、この言葉を大槻さんは血を吐くよ うな思いで言っているのではないだろうか。東京への帰途、この言葉をずっと考えていた。そんなことを絶対に許すわけにはいかない。大槻さんの思いを、大槻 さんたちのたたかいを、次の世代に引き継がなければならない。わざわざバスターミナルまで送ってくださり、ずっと手を振っておられた大槻さんの姿を思い浮 かべながら、心に誓った。 (山村)

□検察官は隠し持っている証拠を開示せよ!

裁判所は、検察官に対し証拠開示命令を!

すでに述べてきたように、異議審では、現在、証拠開示が焦点となっている。東京高裁第3刑事部は、弁護団の証拠開示の要求に一切応えず、事実調べも行わ ずに、富山保信さんの再審請求を棄却した。異議審において、弁護団は引き続き、証拠開示を求めて検察官および裁判所との折衝を繰り返してきた。
7月1日、弁護団は証拠開示を求めて東京高検の検察官と折衝を行った。今回も、検察官は、「すでに前任の検察官が開示しないと回答しているはず」と開示に応じようとしなかった。
弁護団は、前回折衝を行った時と状況も変わってきている、再度検討し直ちに開示すべきであると強く求めた。ところが、弁護団が折衝で述べた趣旨を改めて 書面で提出すると言ったところ、検察官は「では、今日は申入れ自体なかったことにする」と答えたそうである。あまりにもふざけきった検察官の対応である。
これに対し、弁護団は、7月8日、東京高検あてに「申入書」を提出、開示を求める未提出記録を特定するとともに、検察官が開示しないとする「捜査に協力 した証人や捜査にあたった捜査官に負担を強いることになる」という「理由」に対し再度反論、開示による弊害は存在しないことを明らかにし、真実究明のため に検察官は開示する義務があるとし、「7月末までに、書面にて検討結果を回答」するよう求めた。
しかし、7月末になっても、検察官は書面で回答するどころか、弁護団に何の連絡もない。
こうした検察官の不誠実極まりない態度を許すことはできない。自分たちに有利な証拠は出すが、不利な証拠は隠し続けるという検察官の態度は真実究明とはほど遠いものである。弁護団は、裁判所に対し、検察官に対する証拠開示命令を求めて折衝を行う予定である。

 

大井町ビラまき報告

亀・・・・2
うり美・・・1
富山・・・・0
山村・・・・休み

本日は、山村が体調不良でお休み。 世の中は選挙一色だが、大井町も例外ではない。本日のビラまき・署名集めは、日本共産党の諸君と いっしょということになった。お互いにお互いを意識して、住み分けながらそれぞれの活動をしていたのだが、少々認識を改めさせられる事態が出来した。
共産党の街頭宣伝は高齢者半分、準高齢者半分という構成。始めていくらもたたないのに、民主党の宣伝カーが「まもなく代表の岡田が参ります」と巡回し始 めたら、引き揚げるではないか。岡田・民主党代表ごときの登場で尻尾を巻いて退散してしまうとは、行儀がよいなどというのとは次元が違うだろう。
言っていることも情けない。小泉を倒して、取って代わろうという覇気など微塵もなく、自分たちは「真の愛国者」という主張と同様に「たしかな野党」すな わち体制の補完物に徹しますからなんとか生き延びさせてくださいというものでしかない。こんなことで、日本を根底から変革できると人民が確信し、支持する と思っているのか。人民を侮ってはいけないと言いたい。
ビラまきが終わる頃に登場した岡田民主党代表もお粗末の一語に尽きる。「改革のスピード」を競うだけなら、わざわざ野党に投票する必要などない。要するに、みんな小泉の反動的迫力と必死さに負けてしまっている。
などと憤慨していたら、ゼロのうちに終了。 (富山)

大井町のYさんから

休載

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ニュースNo.202(2005年7月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.202(2005年7月15日発行)◎高裁申し入れ行動
申入書
『社会の鑑』から

□大井町ビラまき報告(休載)

東京高裁第四刑事部に申し入れ (6月22日)

富山さんは無実です
すみやかに再審開始決定を
検察官に証拠開示を命令してください

【富山さんが提出した「申入書」】

11月12日(土)に『きゅりあん』で集会を行います。みなさん、ご参加ください。

□高裁申し入れ行動

6月22日、「かちとる会」は、富山保信さんの再審(異議審)が審理されている東京高裁に対し申入れを行った。

1985年6月26日の二審逆転有罪判決から20年。これまでも、この有罪判決が言い渡された6月に、「かちとる会」は繰り返し申入れを行ってきている。そして、6月は、再審請求書を提出した月でもある(1994年6月20日に再審申立)。

今回の申入れも、前回と同様、係属部の東京高裁第四刑事部の裁判官はおろか書記官さえ会わず、「裁判官会議で決めた」とかで、東京高裁刑事部の訟廷管理 官が応対した。再審請求人本人の富山保信さんが出向いているのにも関わらず、である。会場もかつてのように書記官室ではなく、1階の、しかも裁判所構内か ら一旦外に出た、入り口脇の部屋である。阿藤周平さんが、「裁判所は変わってしまった」と嘆くのも無理ない状況が続いている。

申入れには、富山さん、関東学院大学の足立昌勝先生、国賠ネットの土屋さん、「かちとる会」から坂本さん、うり美さん、山村が参加した。以下、私のメモに基づいて、それぞれの発言の要旨を紹介したい。

東京高裁からは、訟廷管理官の小山田氏、庶務課の角田氏、近内氏らが出席した。

まず、富山さんが用意した申入書を読み上げたうえで、「裁判官にきちんとこの内容を伝えてほしい。昨年の3月30日、長年放置されたあげくに再審請求が 棄却された。即刻、異議申し立てを行い、現在、第四刑事部に係属している。本来なら、第四刑事部の裁判官に直接会って訴えたいというのが、請求人本人とし ての切実な気持ちだ。しかし、それができないというのなら、ここで私たちが述べたことを正確に裁判官に伝えてほしい」と厳しい表情で述べた。

次に、足立昌勝先生が、昨年、第三刑事部に提出された「要請書」とその賛同人について説明した。

この「要請書」は、富山さんの再審請求が棄却されようとしていることに危機感を抱いた93名の方々が賛同人となり、昨年3月、第三刑事部に提出されたも のである。一昨年10月8日に第三刑事部から「求意見書」が弁護団に届いたあと、浜田寿美男先生をはじめとする呼びかけ人の方々の呼びかけに応えて、心理 学者、法学者、弁護士等93名の方々が、「(検察官が開示を拒否している証拠の中には)確定判決の成否を左右しかねない重大な証拠が存在する可能性があ り、真実を追求すべき裁判所として、このような証拠を未開示のまま、再審請求について判断するようなことがあってはならない」「本件再審請求の審理がどの ようになされるかは、日本の裁判所の目撃証言についての認識のレベルがどのような水準にあるかを世界に示すものとなるとともに、今後の日本の刑事裁判の行 方を左右する」「慎重かつ公正な審理のうえで、後世の批判に耐えうるような決定を出されるよう望む」とする要請書に賛同し署名してくださった。足立先生 は、この時、署名した方々を代表して、東京高裁第三刑事部にこの「要請書」と賛同署名を提出されたのである。

第三刑事部は、この多くの方々の要請を踏みにじって棄却決定を下した。

その後、この要請署名は、第四刑事部あてに、さらに拡大して集められつつある。今回の申入れで、足立昌勝先生は「呼びかけ人を代表して要請したい」と、 第四刑事部あてに用意した「要請書」を読み上げ、「この事件は目撃証言が争点となっている事件である。特に私が注目しているのは、この目撃証言について、 0・4の視力しかない目撃者が16・45m先の人物を正確に認識することはできないという、実験に基づいた鑑定書が提出されていることである。科学的見地 に基づいたこの証拠に、第三刑事部は真正面から向き合うことなく、棄却決定を下した。第三刑事部の時に多くの方々から『要請書』に賛同を頂いた。第四刑事 部に再度、さらに拡大して集めて提出したいと考えている。第四刑事部の裁判官には、ぜひ公正な審理のうえで、弁護団の異議申し立てを認める決定をお願いし たい」と述べられた。

富山さんも、「2003年10月8日に裁判所から『求意見書』が届いた。弁護団の意見書が提出されるとともに、多くの方々から、『慎重かつ公正な審理を お願いしたい』という署名が集まった。2カ月くらいの間に、心理学者、法学者、弁護士をはじめとする93名の方々から署名が届いた。これに第三刑事部は応 えようともしなかったのは許せないことだ」と発言した。

足立先生は、さらに、「『法と心理学会』という学会が数年前に設立された。その設立大会で、私と九州大学の先生が富山事件について報告を行い、確定判決 の問題点について批判した。日弁連の研究会でも富山君の再審が検討されている。法律や心理学に関わる多くの方々が、この事件の確定判決はおかしいとしてい る。裁判所がこうしたことをまっとうに見ないでいいのか。なぜ、事実から目を背けようとするのか」と追及した。

富山さんも、「今、足立先生がおっしゃった『法と心理学会』で、目撃証言に関するガイドラインが検討されており、ほぼ完成に近い。今年中にも公刊される 予定になっている。裁判所が目撃証言について審理する場合のガイドラインともなるものだ。ぜひ、裁判官に読んでもらいたい」と述べた。

この後、「かちとる会」の坂本さんが、「僕には、この事件と富山さんがどうにも結びつかない。『有罪だ』とする裁判所が言っている論理は『世にも不思議 な物語』としか思えない。こんなことが通っていいのだろうか。警察は、富山さんの考えとか活動をつぶそうとして、とにかく逮捕したのではないかと思う。真 実がどうかではない。有罪を下した裁判所、再審請求を棄却した裁判所も、事実を審理するのではなく、富山さんの思想を裁こうとしたのではないか」と発言さ れた。

土屋さんは、「国家賠償事件に携わってきた。現在、愛媛の教科書裁判で裁判官の不作為に対して国家賠償を求めている。今日、ここで富山さんたちが述べた ことを裁判官にきちんと伝えてほしい。本当は直接伝えられればいいのだが。あなた方が窓口なのでしょうから、きちんと責任をもって伝えてほしい」と訴えて くださった。

山村は、「一審の時からずっと公判を傍聴してきた。この裁判に携わって30年近くになる。一審、二審の過程の公判を傍聴し続け、この事件の目撃者たちの 証言を聞き、その不確かさに驚いた。デタラメとも言える内容だった。富山さんが犯人ではないこと、目撃証言が誤っていることは、公判を傍聴し続けてよくわ かった。一審の裁判所は、この目撃証言を信用できないと、正当な判断を下して無罪とした。にもかかわらず、二審の裁判官たちは、目撃者たちの証言をきちん と検証しようとせず、目撃者を取り調べた警察官の証言だけを根拠に有罪とした。有罪判決が出された時も傍聴席にいたが、目の前で真実が踏みにじられたと心 底思った。再審請求書をきちんと読めば、富山さんが無実であることははっきりする。きちんとした検討も行わず、この再審請求を棄却した第三刑事部は真実を 見ようともしなかったとしか思えない。第四刑事部の裁判官には、ぜひ事実審理を行って頂きたい。弁護人が再審で提出した目撃証言や鑑定書を調べれば、真実 はたちまち明らかになる。ぜひ、第三刑事部の棄却決定を覆し、再審を開始してほしい」と述べた。

うり美さんは、「10年以上前から『かちとる会』に参加して、この事件に関わってきた。この事件では、目撃証言の信用性が問題になっている。目撃者の供 述を見ると、当初は『165センチ』と言っていた身長が、富山さんの身長に合わせる形で『180センチ』に変わっていく。これは、誰が見ても、どんな素人 でもおかしいと思う。また、『丸顔』が『角張った顔』に変わっていくなど、人を見た印象がこんなにも変わっていくことはあり得ない。しかも、それが、顔、 身長、体格、年齢、すべてにわたって変遷していく。明らかにこの事件の目撃証言は作られたもの、作為を感じる。しかも法廷に出てきた目撃証人はほんの一 部。残りの目撃者の調書をぜひ開示してほしい。富山さんが犯人ではないという証拠が必ずあるはずだ。私は、この事件は難しい事件ではないと思う。公正な目 で見てもらえれば、富山さんの無実ははっきりする」と証拠開示の重要性を強調した。

最後に富山さんが、「1974年の10月3日に事件は起きた。私は、翌年の1月13日に逮捕され、2月3日に起訴された。逮捕された時、なぜ逮捕された のか、私には想像もつかなかった。警察署で罪名を知らされ、血が逆流するような怒りを感じた。やっていないという私の訴えに応え、一審は無罪判決だった が、二審で逆転、有罪となり、その場で収監された。最高裁は事実審理もせずに上告を棄却した。一審無罪、二審有罪なのだから、少なくとも最高裁はきちんと 審理をして判断すべきなのに、それをしなかった。大阪刑務所に服役中の1994年に再審を申し立てた。これまで、5人の裁判官が代わったが、だれ一人きち んとした審理をせず、放置されたまま、中川裁判長は棄却決定を下した。これは門前払い以下である。弁護団や私の主張について答えているのならまだしも、 まったく審理していない。第四刑事部の裁判官には、きちんと向き合った審理をお願いしたい。審理をするのが裁判官の責務ではないか。この事件を支援してく ださっている方に八海事件の阿藤周平さんがいる。何回か申入れにも来て頂いた。今日は体調がすぐれず上京できなかったが、阿藤さんが、真実は必ず通るとい うことを信じて獄中で頑張ってこれたとおっしゃっている。これは私の気持ちと同じだ。また、阿藤さんは、裁判官はきちんと審理せよ、きちんと審理をしさえ すれば、無罪になるのは明らかとおっしゃっている。そのとおりだと思う。正面から向き合ってください」と訴えた。

訟廷管理官の小山田氏は、「わかりました。必ず、みなさんが言われたことを伝えます」と言ったが、訟廷管理官たちの態度を見ていると、今回の申入れの内 容がどれだけ第四刑事部の裁判官に伝わるのか、はなはだ心もとない。しかし、雨の中を、足立先生はじめ、土屋さん、坂本さん、うり美さんと、駆けつけて下 さった方々がいる。療養中のため、残念ながら今回は参加できなかった阿藤さんからも、申入れ直前に、元気の出る手紙が届いた。その阿藤さんの手紙にもあっ たが「横たわる巨大な壁(国家権力)、それに負けずに何べんも挑んでゆく、これこそ真実の闘い」である。「名張毒ぶどう酒事件」の再審開始の例もある。ま だまだこれからだ。諦めた時が負けだ。倦まず弛まず闘いを積み重ね、再審の「厚い壁」を打ち壊したい。真実こそがその鍵だ。うっとうしい梅雨空の下、久し ぶりに晴々とした気分で裁判所を後にした。
(山村)

□申入書

6月22日の申し入れ当日、富山さんが提出した申入書です。

申入書
私は無実です。しかし、棄却決定という事実を踏みにじる決定が行われました。怒りに耐えません。再審開始こそが、事実に踏まえた正しい決定なのです。
仙波裁判長には、誤った棄却決定を訂正、取り消していただきたい、そして真実の実現にむけて事態を打開していただきたいと心からお願いいたします。
棄却決定は、私の訴えを真摯に検討した結果であるとは、とても考えられません。あらかじめ棄却という結論だけがあって、そのためにのみ腐心した産物と断定せざるをえません。
なぜ第三刑事部は証拠開示を命じなかったのでしょうか。証拠開示問題を論じるどころか、言及さえしなかったのはなぜなのでしょう。
34人分の調書の存在は、捜査責任者が法廷で証言しています。開示されていない調書の中に、私の無実を証明している証言があるに違いありません。だから 検察官は隠しているのです。そうでないというのなら、開示して決着をつければよいではありませんか。
刑事裁判の存在理由は《無辜の救済》にあります。その最後のチャンスともいうべき再審において、十全の審理を保障する証拠開示に背を向ける態度は、怠慢を通り越して裁判官としての職責放棄であり、刑事裁判の使命への敵対であるというべきです。
検察官に証拠開示を命じてください。そして、それにもとづく正しい判断をしてください。
さらに、棄却決定はなぜ科学的知見の導入をかたくなに拒むのでしょうか。なぜ、ことさらに歪曲してまで科学的知見の説得力を否定、無視しようとするのでしょうか。
一例だけあげます。近藤鑑定をご覧ください。16・45メートルの距離からは、視力0・4の人物には初めて見る目撃対象の人相は識別できないという実験 結果が出ています。この絶対的事実を直視してください。そうすれば、棄却決定の誤りが歴然としていることに気づかれるはずです。
私は、これまで繰り返し繰り返し無実を訴えるとともに
「当たり前のことが当たり前のこととして実現される裁判、正しいことが正しいこととして通用する裁判であれば、私の無実は判明すると信じて裁判に臨みました。近代刑事裁判が到達した地平と成果をそのまま適用すれば可能なはずなのです」
と訴え続けてきました。
また、
「誤りを率直に誤りと認めて改める裁判所のあり方こそが日本の刑事裁判を血の通った信頼できるものにし、その前提があってはじめて、『法の安定性』はその名にふさわしいものになる」
と主張してきました。
これらは、至極当然の要請であり、主張にすぎません。それがことごとく裏切られ続けているのです。
1975年1月13日の不当逮捕以来の私の怒りと苦しみは筆舌には尽くせません。
第一審は刑事裁判の原則に忠実に則って正しい事実認定を行いました。ところが、第二審は予断と偏見に基づきほとんど同一の証拠で逆転有罪を宣告するとい う近代刑事裁判が到達した地平と成果をあえて踏みにじる暴挙を働いたのみか、最高裁もこれを容認して日本の刑事裁判を刑事裁判の名に値しないものへとおと しめてしまったのです。この恥ずべき過ちが改められない限り、私が苦しみ―身に覚えのない殺人犯という烙印を押され、真実を訴えているにもかかわらず嘘つ きとして全人格を否定されたままであることの苦痛―から解放されることはありません。解放されるのは、唯一、再審無罪によってのみなのです。
裁判官諸氏に心から訴えます。私の怒りと苦しみを洞察力をもって理解してください。そして、自ら原審に臨み、原判決を書くつもりで虚心坦懐に審理してく ださい。そうすれば、必ず検察官に対する証拠開示命令と棄却決定の取り消しに到達すると確信しています。今度こそ裏切らないでください。切に願ってやみま せん。
2005年6月22日
富山保信
東京高等裁判所第四刑事部御中

□『社会の鑑』(足立昌勝さんのホームページ)から

高裁第四刑事部への申し入れを行っていただいた足立先生のホームページに、早速当日の申し入れ行動の意義が掲載されましたので、許可を得て転載します。
2005年6月22日(水)
富山事件

今日は東京高等裁判所に行き、3月30日に同裁判所刑事第三部で棄却された再審請求の異議審を担当する刑事第四部に、再審開始決定の要請を行った。
富山事件の詳細については、こちら【注:「かちとる会」のホームページにリンク】をご覧ください。そこになぜ再審請求を行うのかとともに、再審請求の基本的証拠が記載されている。
私から見ると、目撃証言が警察に誘導されて現れてきたことと視力の弱い人が実際に現認できないにもかかわらず詳細に供述していることは、まさにその人の嘘を証明している証拠であると思う。
 裁判所は英断をもって再審の開始決定をすべきである。
従来の判断は、これらの証拠に真正面からは答えず、再審を棄却した。このような裁判官は、何を根拠にそのような決定をしたのであろうか。彼らは、自らの胸に手を当てて考えてもらいたい。提出した証拠を検討しないで棄却決定をしたことに深い反省を表すべきである。
刑事第四部は、このような誤りを犯してはならない。人の人生がかかっているのだ。あなたが裁判官として人生を送り、そこから給料を得ているように、彼に も生活がある。裁判官は、何がどのようにして起こったのかを客観的資料に基づいて検討する義務があるだろう。それを行えば、富山保信さんは無罪である。一 日も早く、彼の再審を開始させようではないか。
【『社会の鑑』は、YahooまたはGoogle、MSNで『社会の鑑』を検索してくだされば、すぐ見つかります。 】
2005年6月22日の日誌をご覧ください。

http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~adachi/

 

大井町ビラまき報告

休載

大井町のYさんから

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