Kさんのご冥福をお祈り致します7月18日、東京の「かちとる会」のKさんが亡くなられました。享年七十七歳でした。ご冥福を心よりお祈り致します。 Kさんとご遺族の意思で、お葬式は「お別れする会」という形で行われました。多くの方が参列され、Kさんの温かい人柄とおつきあ いの広さを偲ばせるお葬式でした。「かちとる会」からは、7月20日のお通夜にはTさん、うり美さん、亀さん、山村が伺い、翌日の告別式には富山さんと山 村が参列し、最後のお別れをしました。 Kさんと「かちとる会」の出会いは大井町の駅前でした。1992年の8月、大井町の駅頭で富山さんの再審開始を求める署名を集め ていた佐藤齊一さんと私の前に、きれいな白髪の男性が立ち止まり署名をしてくださいました。その方がKさんで、ビラに載せていた阿藤周平さんの言葉を見て 「八海事件のことはよく知っていますよ」とおっしゃったのを覚えています。Kさんはその時のことをのちに「真剣に訴えているあなたたちをひと目みて、この 人たちの言っていることは真実だと直感しました。私はその人の目を見ればわかるんですよ」とおっしゃっていました。 その後、Kさんは「かちとる会」の集会に何度も参加され、定例会にも来てくださるようになりました。 富山さんがまだ獄中にいる時、富山さんの手紙を読んで、「国家権力と闘って弾圧を受けているんですね。獄に囚われても不屈に闘っ ている。こういう人は本物だと思う」と共感を寄せておられました。出獄後の富山さんとも意気投合したようで、「富山さんは笑顔がいい」「つきあってみれ ば、誰でも富山さんをいい人だと言うと思う。それをみなさんに伝えたい」とおっしゃっていました。 告別式での献花の時、ご遺族の希望でKさんが好きだったという曲が流されました。ロシア民謡の『バイカル湖のほとり』でした。そ れは1825年、帝政ロシアに叛旗を翻しシベリアに流刑になったデカブリストの故郷への思いを歌ったもので、昨年、Kさんに誘われた音楽会で最も印象に 残った曲でした。その曲を聞いていたら、今年はもうロシア民謡を聞きに行くこともないのだ、ああ、もうKさんはいないのだとたまらなくなりました。 1997年に佐藤齊一さんが逝かれ、今度はKさんと、「かちとる会」にとって、そして私自身にとってかけがえのない人が相次いで亡くなられ、置いてきぼり にされたような淋しさです。 |
真摯にものごとと取り組み、信じることの実現のために誠実に努力するあり方、つまり生き方の根本をつらぬく価値観は、たしかに思想においては敗戦を経て 180度転換したのは厳然たる事実だが、その人格、人間性という領域では辛酸をなめつくすことによって一層磨かれ、豊かに深められることはあっても、損な われることはなかったに違いない。ご先祖は広島から弓の指南役として仕官した、私は元々は軟派なんです・・・愉快な語り口で興味をそそる話題は含蓄に富ん でおり、時のたつのを忘れるほどだった。「富山さんは笑顔が似合いますよ」とよく言われたが、ご自分こそ笑顔の可愛らしさと威厳を両立させて周囲の人々を 魅了してやまなかった。困難で大変なことほど楽しくやろうというのが私のスタイルだが、この点はKさんと一致していたようだ。違っていたのは、どうやらK さんは比較にならないくらい女性に人気があるということで、醸し出される雰囲気には雲泥の差があり、これには最敬礼するほかなかった。 それはともかく、まだまだ語り合いたかったことがあまりにも多すぎる。早すぎますよ、Kさん、話したいことだらけじゃないですか、と言いたい。「逆転有罪」あたりから一期一会を痛感することがふえたが、またしても・・・。 人間としての生き方、あり方を教えられる多くの人に恵まれたこと、これが私の財産にほかならない。まぎれもなくKさんもその一人である。Kさんが逝かれ たことを深く悲しみつつ、心から「ありがとうございました」とお礼を言いたい。そして、Kさんとともにめざした人間として当然のことである尊厳の回復=再 審無罪の実現を誓いたい。とびっきりの笑顔で「Kさん、やりましたよ」と報告できる日のために、Kさんと一致した流儀で進みたい。 (富山保信) |
Kさんは、一見、いかにも好々爺という感じで、芥川龍之介の話に出て来る若者の願いをかなえてやる仙人といった感じの人でした。そして、戦中・戦後の激動を生きぬいた多くの経験を通して、人はどういうふうに感じるかを気づかう心温かい人でした。 私は、Kさんの生き方のほんの一部を垣間見ることができただけですが、それは私にとってかけがえのない財産になりました。ありがとうございました。 佐藤さんに続きKさんと、再審開始・無罪判決をかちとった時に美酒を酌み交わす人を失ったことは非常に残念です。最後まで富山さんの無実を信じ、勝利を 願って闘った人たちの思いを引き継ぎ、再審無罪を必ず実現させ、一日も早く吉報を報告できるように頑張っていきたいと思います。 (亀) |
署名運動を成功させましょう署名運動はなかなか大変な事ですし、私自身の経験から思ってもその御苦労は充分お察しします。 街頭に立ち、何にも御存知ない方々に署名を頂くことは大変なことです。そこで、少しでもこの行動にお役に立てばと思い、私自身の経験から常々心掛けていることを記して見ます。
要するに、身体全体でもって表現し、相手の心の琴線に触れることができるような努力をしてみたいと思います。即ち、挙措、動作、言語、そして真実の誠をもって未知の人に接すると言うことでありましょう。 (K) |
7月の大井町での署名集めは、みなさん仲良く、
でした。 いつもの大井町のYさんから、 「第八歩目(? だめだー。暑さで覚えてない)。旅は始まったばかり、ポカリスエット飲んで、脱水症 状と熱射病に気をつけましょう。タオルとシャワーと睡眠も忘れずに」 という手紙とともに1000円のカンパを頂きました。因みに今回は「第九歩目」で す。ありがとうございました。 |