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ニュースNo.192(2004年9月15日発行)

 

タイトル 無実の富山さんの再審無罪をかちとる会ニュース ●ニュースNo.192(2004年9月15日発行)◎被害者の犯人識別供述が信用できないとして無罪判決―4月19日付大阪地裁判決
「華氏911」私はこう観る

大井町ビラまき報告

せっせとまいています。ご協力をよろしくお願いいたします。

被害者の犯人識別供述が信用できないとして無罪判決 ・・・4月19日付大阪地裁判決 この事件は、被害者の単独面通しによる犯人識別供述の信用性を否定し、被告人を無罪とした事例である。
判決内容から、事件の概略、犯人識別供述についての裁判所の判断を紹介する。
事件は傷害被告事件で、犯人(女性)が、被害者(男性)に、電気ポットやスタンド式金属灰皿で顔面や頭部を多数回殴打するなどの暴行を加え、傷害を負わせたというものである。目撃条件

(1)被害者は明るい場所で約二~三時間にわたり犯人と一緒にいた。
(2)犯人と被害者はまったくの初対面。
(3)被害者の視力は、裸眼視力が両目とも単眼で〇・三、両眼で〇・五の近眼だったが、事件当時はメガネをかけていなかった。
(4)被害者は「ほろ酔い状態を少し越えたぐらい」の状態だった。

犯人識別供述

被害者は、事件当日の被害届では、「犯人の女は、身長一六〇センチ位、髪は肩位の長さで黒色でした。女は、自称D年齢二九歳、体格中肉でした」というも ので、「街中どこででも見かけるような極めて抽象的な犯人像しか述べていなかった」(判決文)。
事件から四ヵ月も経過した後、警察で一回目の単独面通しを行っている。
一回目の面通しを行う際、被害者は、警察から「犯人を捕まえたので顔を確認して欲しい」との連絡を受けて警察に赴いている。
一回目の面通し後に作成された警察官調書で、被害者は「角顔で目が細く、あごのとがった感じの女」などと犯人の容貌についての具体的特徴を供述、その後 の検察官調書、二回目、三回目の単独面通し後作成された警察官調書、公判廷での証言と、回を負うごと、また、時期が後になるほど、より具体的で詳細な犯人 の特徴を語るようになっている。

裁判所の判断

この犯人識別供述について、判決は、「複数回にわたる単独面通しとこれに先立って行われた警察官の強烈な暗示・誘導による決定的な影響なくしてはおよそ考えられないものである」と断じている。
そして、「犯人識別供述の危険性は、他の供述証拠と異なり、その供述自体に内在しているのであって、その意味では、その信用性のいかんは供述者の中立 性・誠実性、供述の一貫性、供述態度の誠実さなどとは関わりが乏しいといわざるを得ないし、また、供述者の犯人識別の確信度とその識別の正確性との間には 有意的な関連性を認めないのが、近時の認知心理学上の知見でもある」とし、「(被害者の犯人識別供述は)もともと観察の正確性自体に問題を内包していたこ とに加え、長期間経過後に行われものであり、しかも、複数回にわたる、いきなりの単独面通しとこれに先立つ警察官の強烈な誘導的言辞によって決定的かつ回 復困難な不当な暗示・誘導を受けた状態の下で行われたものであって、到底信用することができず、このように重大な欠陥を内包する同供述を事実認定の柱とし て供することは許されないというべきである」として無罪判決を言い渡している。
さらに、判決は、最後の所で「結論―併せて、当裁判所の所感」として、次のように述べている。
「犯人識別供述は、実務上、有罪立証のための極めて重要な証拠であるとともに、前述のとおり固有の問題性を内在させていることから、その採取の方法や信 用性の判断を誤ると、冤罪の温床ともなりかねない危険性を孕んでいる証拠である。そのため、犯人識別供述の信用性を巡っては、これまでも多数の裁判例や裁 判実務家の論考が蓄積されてきたし、また、近時は、ロフタス等を嚆矢とする認知心理学上の研究成果にも目覚ましいものが認められる。
そして、このような裁判例や諸研究の成果によって、今日ほぼ一致した理解が得られているのは、第一に、犯人識別過程においては、捜査官側において、極力 目撃者に暗示を与えないように勤めなければならないこと、第二に、その意味からして、強い暗示を与えやすい単独面通しはできる限り避けるべきこと、第三 に、犯人識別に関しては、目撃者の初期供述が極めて重要であり、その意味からも、初期供述の保全に可能な限り努めなければならないこと、第四に、その反 面、犯人識別に関する供述者の主観的確信は、あまり当てにならないこと、以上の四点であった」
そして、この事件の捜査過程では以上の四点が無視されていると批判、特に単独面通しについては、「(最高裁判例で)単独面通しの方法は暗示性が強いため できるだけ避けるべきである旨警告を発しているにもかかわらず、本件のみならず、他の事件においても、警察がこの警告を無視して、依然単独面通しの方法を 多用していることは、誠に憂慮に堪えないところである」と警察の捜査のあり方を痛烈に批判し、最後に「今後、大阪府警が、先に述べた最高裁判例を初めとす る近時の裁判例の動向や認知科学上の研究成果に学び、一刻も早く本件のような旧態依然たる捜査方法を改められることを切に要望する次第である」と結んでい る。

判決の意義と富山再審

この判決の注目すべき点は、「単独面通しはできるかぎり避けるべきである」という形ではあるが単独面通しを批判している点、初期供述が極めて重要である ことを指摘している点、供述者の犯人識別の確信度とその識別の正確性との間には有意的な関連性を認めないのが、「近時の認知心理学上の知見である」ことを 明示している点、犯人識別のための旧態依然たる捜査方法を強く批判している点である。
特に、「近時の認知心理学上の知見」を明示して、犯人識別供述の信用性を判断している点は、これまでの判例では見られなかったものである。判決は「近時 の認知心理学上の知見」の例として、『目撃証言の研究』(渡部保夫監修)他の文献を引用しており、この裁判官が、目撃証言についての研究に基づいた一定レ ベルの認識を持っていて、そのうえに立って判決を書いたことを窺わせる。
富山再審との関連で言えば、この事件の判決が問題視している単独面通しが、富山事件でも行われている。
また、富山事件では、富山さんとは似ても似つかない「犯人像」だった目撃者の初期供述が、警察や検察の取調べを重ねるごとに富山さんの特徴に似た「犯人 像」に変遷していくが、この事件の判決が「警察官の強烈な暗示・誘導による決定的影響なくしてはおよそ考えられないもの」と批判している点と重なる。
目撃者の目撃条件について、この事件は、「被害者は明るい場所で約二~三時間にわたり犯人と一緒にいた」のだが、「被害者の視力は、裸眼視力が両目とも 単眼で〇・三、両眼で〇・五の近眼だったが、事件当時はメガネをかけていなかった」ということで、判決は「必ずしも明瞭に物事を観察し得る状況にはなかっ た」としている。富山事件では、確定判決が「本件目撃証人中最も良質の証人」とする岩永の目撃条件は、右眼〇・二~〇・四、左眼〇・一~〇・二の視力で、 一六・四五メートル先の人物を目撃したというものである。しかも目撃時間は一瞬に近いものであり、この事件より格段に劣る目撃条件である。
また、確信度の問題は、目撃者が確信的な供述していたからといって、それが正確性には結びつかないことは、富山再審でも鑑定書他で明らかにしてきている。
富山再審を考えるうえで、いろいろな点で参考になる判決であり、富山再審の今後にも影響する可能性がある。こうした判決を書く裁判官が出てきたことの意 味は大きい。「法と心理学会」はじめ、目撃証言についての実績を積み重ねてきた心理学者、法学者、裁判実務家、等々の人々の努力が実を結びつつあるのを感 じる。
「法と心理学会」では、現在、「目撃供述ガイドライン」の作成が進められている。
こうした状況を踏まえた時、富山再審も勝利の展望が見えてくる。必ずや新たな地平を切り開き、再審開始・再審無罪をかちとりたいと思う。 (山村)

「華氏911」私は、こう観る (うり美)かちとる会のニュースで見てください。(頒価100円 お申し込みはここへご連絡ください)
◎無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会
東京都港区新橋 2-8-16 石田ビル4階 救援連絡センター気付 (TEL 03-3591-1301)◎無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる広島の会
広島市西区福島町 1-24-1
Eメール: Eメールtomiyama@io.ocn.ne.jp

 

大井町ビラまき報告

 亀・・・  10
うり美・・・1
山村・・・ 2
富山・・・ 0

今日は夕方4時半から開始。しかし、雨である。台風接近中。
それでもビラの受け取りはそんなに悪くない。さっきからじっとこちらに注目していた店員の女性がわざわざ受け取りに出てきて、店内で読み始めた。これは さい先がよい。時間帯が違うので、通行人もいつもとはちょっと違うようだ。初めて目にするという感じで通り過ぎているなと思われる人がけっこういる。反応 も悪くないぞ。
始めてまもなく、年輩の男性が近づいてくる。ゼッケンに目をやっているのがわかる。いけそうな雰囲気だ。案の定すんなりビラを受け取り、いまにも立ち止 まらんばかりの歩き方で読み始めた。ほとんど立ち止まっている。もう30秒待って、声を掛けたら署名OK間違いなし。

オッ!なんということだ。山村と目を合わせてその前に立つではないか。あーっ、あ、コバンザメにさらわれてしまった。

本家コバンザメにも一人署名。始めてからもう30分たっている。残り30分でなんとか逆転だ。
オッ、いかにも組合活動家然とした中年の女性が足早に歩いてくる。チャンス。胸に「事務局」の名札をつけているではないか。これで署名をとれなかったら とれる人はいない。「再審を求めています」の呼びかけに「(ビラを)もう1枚ください」の返事。これは大丈夫。ところが「駅前で待ち合わせなので、帰り に」。仕方ない、でも署名1名は確保。と思ったら、合流した「仲間」らしき男性たちと時間の確認をしながらそのまま手近なところにいる山村の前に立つでは ないか。それはない!しかも帰りに「(ビラを)もう5、6枚ください。私もえん罪事件を何件も知っています。がんばってください」と私を激励するくらいな ら、私のところで署名してほしかった。うーん、ありがたいことではあるが、署名レースの渦中とあっては複雑な心境だ。

とうとう時間が来てしまった。結局、持ってきたビラはほとんど私がまいたものの署名はゼロ。

コバンザメのためにせっせと労力奉仕したようなものだ。それでもビラをうけとった人の署名をもらえたのでよしとしよう。

本物のハルウララは引退確定。このまま敗退しつづけるとこちらが本物のハルウララになってしまうぞ、という開始前の話題が脳裏によみがえり、次回の署名レースへの奮起を促す。勝たねばならぬ。 (とみやま)

コバンザメさて、コバンザメですが、ご存知の方も多いように、そのまぎらわしい名前にもかかわらず、サメの仲間ではなく、アジやサバと同じ、スズキ目に入ります。
頭の後ろにあるコバン型の吸盤で、サメやエイなどの大型魚にくっついているのですが、この吸盤は何と、第1背びれの変形したものだそうです。
そして、コバンザメ科には、何と8種類もの魚がいるのだとか。
(調査&ホームページ版アレンジ=tyo)

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